映画終わりにふらり。『鶏菜ヨコドリ』の21時からアラカルト

仕事柄、一日何本も映画をハシゴすることがある。そんなとき、どんなにお気に入りの店でも、わざわざ遠くまで足を延ばすのは少々億劫。
遅がけに小腹を満たしてくれるちょうどいい店はないものか。好きなものを好きなだけ、ええかんじに食べさせてくれる店。そんなときに重宝するのが、ここ『鶏菜ヨコドリ』だ。

四条麩屋町下ル東入ル。MOVIX京都からも京都シネマからも、頑張ればアップリンク京都からだって歩ける距離なのはありがたい。映画の余韻にふわふわしながら、夜風に吹かれて京の街を歩きたい。

五十家グループの新たなる挑戦は「鶏×旬菜」

鶏菜 ヨコドリ
京都らしい、細い路地の先。
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駐車場横の細い路地を進んだどんつき(突き当り)に、店はある。2024年12月にオープンした居酒屋で、店名が示すとおり、丹波黒どりと旬の野菜を使った料理を供する。

カウンター
1階はカウンター、2階はテーブル席。通常は、セットやコースを提供している。
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大きなコの字カウンターの中央には焼き場があり、紀州備長炭の食欲をそそる匂いが店内に満ちている。

手掛けるのは、京都に留まらず、大阪や神戸までその名を轟かせている野菜料理といえば……の、『五十家グループ』だ。
「畑から直接みなさまのテーブルの上へ」という想いで、自社運営する農園や近隣の提携農家から毎朝収穫される新鮮野菜を各店舗へ配送。京都市内に構える11店舗では、焼いたり、漬けたり、燻したりとそれぞれのコンセプトと調理法で滋味なる野菜を調理している。

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ひとりでも入りやすい21時からのアラカルト

この店の大きな魅力は、21時からアラカルトが可能なこと!
しかも、どこも連日満席の五十家グループ内でも、まだ新しいこちらは、21時以降であれば比較的滑り込みやすいのである。まさに、いまが狙い目。

「アラカルトを目的にいらっしゃるお客様は、一日おひとり、もしくはおふたりといったところ。お好みのものをお好きなように食べたいのは僕も一緒なので、続けていきますよ!」と、店主の横谷さん。

生ビール(アサヒスーパードライ)
生ビール(アサヒスーパードライ)600円。グラスのロゴもかわいい。
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近年、17時/20時の二部制を採用する店が増えている。おまかせコースのみのスタイルも珍しくない。それが心地よいこともあるのだけれど、17時はちょっと早い(なんならまだ仕事してるよ!)ってこともあるし、20時からがっつりコースはしんどいと感じることも。
だからこそ、自分のペースで好きなものだけ食べたい夜はこの店に行きたくなるのだ。

ちょっとずついろいろ食べられる献立設定

ここに来たら絶対に頼んでほしいのが、「ねぎま」だ。
はい、いま、「肉葱肉葱肉」が串に刺さった状態を思い浮かべた人にこそ、黙って食してもらいたい。そんな名物の「ねぎま」が、こちら。

ねぎま350円。
ねぎま 350円。焼き上がった串に目の前で葱をかけてくれるパフォーマンス込みで口福のひととき。
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いかがだろうか。予想の斜め上からくる逸品ではないか。
これでもか!これでもか!!と乗せられる葱。この葱を美しく盛るのも、同店スタッフの大事なスキルなのである。

鶏ももたたき
鶏ももたたき450円。春はキャベツ、夏は万願寺とうがらし、秋冬は葱がたっぷりと添えられている。
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鶏と並んで必食な旬菜は、ぜひ焼野菜を。走りから名残りまで、旬の滋味をじっくり焼き上げてくれるので、野菜本来のもつ旨みを存分に楽しむことができる。
これからの季節は、大根が主役の座を奪う。まずはじっくり炊いて、トロトロジュワ~になったものを天ぷらにした一皿は、唸らずにはいられない。

例えば、蓮根。添えられている金山寺味噌に注目あれ。酒に合わせるにはやや甘いと感じることの多い金山寺味噌に柚子胡椒が和えられていて、この味噌だけで酒が進むこと間違いなし!

焼野菜
焼野菜(蓮根)300円。野菜によってはこの味噌ではない場合もあるので、気軽に訊いてみてほしい。「呑める金山寺味噌、付いてますか!」と。
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茶碗蒸し
茶碗蒸し 450円。
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季節の野菜がたっぷり入った茶碗蒸しもおすすめの一品だ。いまなら、丹波しめじ・舞茸・椎茸の3種のきのこを餡かけ仕立てに。添えられた紫蘇のマイクロハーブから感じる紫蘇の香が食欲をそそる。
ちょっとずつあれこれ味わえる小ぶりなポーションも、遅がけおひとりさまには嬉しい計らいだ。

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特集「20時からの楽しみ」

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writer

椿屋

tsubakiya

映画は「ひとり、劇場で!」がモットーの映画ライター。2024年鑑賞数は267本。人生の映画ハシゴ最高記録は1日7本。各媒体で、着物・グルメ・京都ロケ地といった切り口のレビューを担当する。超大作から自主映画まで、ノンジャンルな雑食。