
食べるほどに里山が育つ!?「京都缶*環づめプロジェクト」
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「京タケノコカレー」に「京の鴨肉コンフィ」。このユニークな缶詰を作っているのは、とある京都の小さなコンサルティング会社。「京都缶*環づめプロジェクト」に込めた想いとは?
嵯峨野生まれの、タケノコカレー
2010年に京都市内で創業した『アドプランツコーポレーション』は、里山や森林などの自然環境を再生・維持するため、地域と連携したさまざまなプロジェクトを手掛けるコンサルタント会社。現地でのモニタリング調査やシミュレーションなどを通じ、その土地ならではの自然再生・維持の方法を提案するとともに、副産物を商品化して地域の収益につなげる6次産業化の取組みを行っています。
地域性苗木の購入と植栽の様子
その一環として2019年に立ち上げたのが「京都缶*環づめプロジェクト」。
第一弾となった「京タケノコカレー」は、京都の大原野や嵯峨野の名産であるタケノコを有効活用するために生まれた商品です。この地区は美しい竹林が有名ですが、「観光地から離れた竹林は荒れ放題で手間がかかる」と維持が難しくなっていたところへ、同社がカレーの缶詰作りを提案。30年前に廃校になった小学校から譲り受けた大釜を使い、地元の人々の手で掘ったタケノコを煮て、手作業でカレーの原料を仕込みます。その後、京都の缶詰工場でカレー缶に。
種類は「京タケノコと豚肉のレッドカレー」「京タケノコと牛肉のキーマカレー」「京タケノコと鶏肉のグリーンカレー」「京タケノコとしめじのチキンカレー」の4種あり、どれもスパイスをしっかり利かせた本格派。このカレーによって地元に雇用を創出するだけでなく、1缶の収益のうち50円を「京都の自然を守るための環境保全活動」に役立て、森林の植樹・維持管理、竹林の伐採・維持管理、作業道の修復、間伐材のチップ化等に活用しています。
京のタケノコカレー1缶(180~200g)972円
あのフランス料理も缶詰に!
そして第二弾が「京の鴨肉コンフィ」。京北中江町では昔から農薬を使わない合鴨農法が盛んでしたが、合鴨は鶏に比べて羽毛が抜き取りにくいこと、日本では合鴨の消費量が少ないことなどから、成長した鴨の販路がないことが問題でした。加えて、高齢化や若手就農者の不足により稲作自体が衰退し、耕作放棄地が目立つようになっていました。
そこで同社は、フレンチの伝統的保存食にヒントを得て、合鴨を低温の油でじっくりと煮る「コンフィ」にすることを発案。合鴨の脂肪は融点が26℃ほどと人間の体温よりも低いため、口どけが良く、缶詰にしても旨みが感じられるのが特徴です。「京の鴨肉コンフィ」は、山椒、柚子、黒酢、生姜、粒マスタード、黒胡椒の6種で味付けし、日本のお米にもお酒にも合う味わいに。塩分やカロリーが控えめなので、ご飯のおかずからおつまみ、非常食、健康食まで、幅広い食シーンで活躍します。
このコンフィも、1缶につき20円が京北中江町の田園風景を守るための6次産業化促進の活動資金に充てられます。
京の鴨肉コンフィ1缶(30g)410円
竹林が生んだお米とは…
さらに、京都嵯峨野は竹林だけでなく水田も美しい景観として歴史的風土特別保存地区に指定されています。同社は嵯峨地域の田園風景を守る「嵯峨地域農場づくり協議会」の事務局を務めており、地元の農家の人々とともに米づくりもスタートしました。
この「古今嵯峨米」は、その取組みで生産されたお米の「きぬひかり」。土壌に竹林整備をした後に発生する竹チップを混ぜることで、ケイ酸を多く吸収し耐病性・耐倒伏性が増し、品質が向上するのだそう。味わいはあっさりしており、粘り気が少ないことから、カレーライスや調理用としても最適です。
玄米と白米のレトルト商品もあるので、「京タケノコカレー」「京の鴨肉コンフィ」と併せてお取り寄せしてみてはいかが?
古今嵯峨米レトルト280円
■店名
『アドプランツコーポレーション』
■詳細
【電話番号】075-708-8587
【公式サイト】https://www.addplants.co.jp/
※京の鴨肉コンフィ、古今嵯峨米の購入は電話かメール(addplants@gmail.com)にて
Writer ライター

あまから手帖 編集部
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