パン店の片隅で、見落としがちな隠れ名作

パン店の片隅で、見落としがちな隠れ名作

今月の…お蔵入り

2024.05.29

文・撮影/あまから手帖編集部

パンを買いに行くのが目的のパン店だけに、パン以外の商品にはなかなか目がいかないもの。今回は久々出合った隠れ名作のハナシ。

目次

余ったパンの再利用から生まれたごまクッキー

余ったパンの再利用から生まれたごまクッキー

まさに、小さな巨人。可愛らしい丸いパンにもかかわらず、むっちりずしり。食べ応えがあり、トレンドなんぞどこ吹く風の個性を貫く京都・醍醐の「東風」。

但し、我が道を貫くとはいえ、尖っているわけではない。むしろ、穏やかで笑みの絶えない店主の森 訓子さん。もともと一乗寺で店を営んでいたが、出産を機に地元で再出発。「子供たちにもパンを好きになってもらいたい」という思いが、メロンパンやあんパン、ソーセージパンなどの商品構成に表れている。

あまから手帖6月号のパン特集でも紹介した店だが、誌面で紹介しきれなかった隠れ名作こそがごまクッキー。

「東風」のごまクッキーオーガニックの白ゴマと黒ゴマを使ったごまクッキー230円

事前調査で商品を購入した際に、おまけでいただいたもので、何とはなしに食べてみれば、ザクザクとした食感なのに、柔らかくホロホロとほどけ、程よい甘みとパキっと立ったゴマの風味が相まって旨い!

パン同様、クッキー一粒も小さいのに、余ったパンを再利用したとのことで、様々にブレンドされたであろう各種パンの複雑味が味に奥行を与え、存在感がある。

パンのショーケースの上に、瓶に入れられてちょこんと置いてあり、改めてマジマジとみる。ずっとそこにあったのにも関わらず、まったくその存在を意識していなかった。得てして主役に隠れた名作とはそういうものかもしれない。

現状、金・土曜のみの営業。
興味を持たれた方は是非!

■店名
東風
■詳細
【住所】
京都府京都市伏見区醍醐下端山町2-38
【電話番号】
☏075-572-6002
【定休日】
月・火・水・木・日曜休

6年ぶりのパン特集。食パン、バゲット、クロワッサン、サンドウィッチ、ベーグル、プレッツェル……ししゃもパン(!?)ありとあらゆる「今、食べたいパン」を編集部が激選。

Writer ライター

あまから手帖 編集部

あまから手帖 編集部

amakara techo

1984年の創刊以来、関西グルメの豊かさをお届けしてきた月刊誌「あまから手帖」編集部。 旨いものを求めて東奔西走、食べ歩いた店は数知れず。パン一つ、漬物一つ掲載するにも、関西の人気店を回って商品を買い集め、食べ比べる真面目なチーム・食いしん坊。

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