台風直撃の日に取材できた奇跡。「楽洛亭」店主の男気に感謝!
今月の…お蔵入り
覚えているだろうか、8月15日の台風直撃の日のことを。交通機関はほぼストップ、百貨店も休業。「楽洛亭 日本橋店」の取材もこりゃ延期だろうと思ったが、店主のおっちゃん(81歳)が凄まじい男気を見せた。
懺悔します。店主の携帯を聞かなかった私が悪い
そもそも私が悪いのだ。通常、お店の取材をする場合は事前にロケハンし、店主と顔を合わせておくのが鉄則。しかし今回は異例中の異例で、ライターのうらともえさん(肉食家)が食事ついでにアポを取ってくれており、私は取材までに伺うことができなかった(挨拶に行こうと思った日に熱中症でダウンしてました)。
日本橋で半世紀以上。昔は朝9時まで営業していたそうだ
なので店主の緊急連絡先を知らない。前日に「明日やめときましょうか」という連絡ができない。店に電話し続けても一向に出ない。で、15日の当日を迎えた。
テッチャン600円、赤身盛合せ3人前2700円と破格
そもそも地下鉄もバスも動いていないので、カメラマンもライターも足がない。ただ、市内を走る地下鉄だけは通常運行していた。私は幸い、店のある難波まで行けそうだ。取材は14時から。カメラマンに「今日は店主が店に来れないので多分中止だと思うけど、私だけ現場に行ってみます」と伝えた。店主がいなくても置き手紙だけしておこうと考えたのだ。
だがカメラマンは「撮影できなくても構わないから、念のため僕も行きますよ!こちらも地下鉄動いてるし」とのこと。ありがとう山口さん…。
取材1時間前につながった電話。「やりますよ」!
そうして13時頃、ダメ元で店に電話をかけてみた。すると、出た。「今日、大丈夫ですか…⁉」の問いに、おっちゃん「やりますよ!」。
ガーリックステーキが名物。しこたまニンニクが摺り込まれている
ちなみにおっちゃんは店に住んでいるわけではないので、どこかから来てくれたのだ。しかもこの日は定休日なので、取材のためだけに。しかしどうやって来たんだろう。
小躍りしながらうらさんにも連絡し、タクシーで駆けつけてもらった。約束通りの14時から、何事もなかったように取材スタート。現場で思った、「この人たち全員プロ根性すごいなー!」と。
タンは手切りでこの美しさ!スライサー超えのカッティングスキル
おっちゃん淡々と肉を切る。うらさん焼きまくって喰いまくる。一部始終をレンズで追うカメラマン。外で雷がガラガラ鳴っているのを誰も何とも思わない。香ばしい煙に私の腹がぐうっと鳴っているぐらいだった。
「うらさん、いつも一心不乱に食べてるよ」とおっちゃんが言っていた
ああ、良い店だ。50年も続く歴史と、兄弟全員が焼肉屋をやっていること、「肉は生き物だからね」なんて話を聞きながら痛感する。
「今日よく来てくださいましたね」と改めてお礼を言ったら、「えっ、だって約束してたから」とさらっと返された。シビレるなあー!
おっちゃんはシャイなので決して写真には出ない
ちなみに3人前以上出していただいた焼肉、うらさんがペロリと全部平らげてしまった。あ、私この店の味をまだ知らない。今度食べにくるしかない。次は晴れてると嬉しいなあ。
■店名
楽洛亭 日本橋店
■詳細
大阪府大阪市中央区日本橋1-20-11
06-6633-2981
16:00~23:00(LO)
月・火曜休
日本橋駅から5分
Writer ライター
あまから手帖 編集部
amakara techo