
関西では珍しい「笠岡ラーメン」の流れを汲む店
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ラーメンでも寄って帰るか、ということはある。これがわざわざ、JRで垂水駅まで電車に揺られ、山陽バスに乗り継ぎ、用事のない土地で下車してまで食べたいラーメンなどあるだろうか、と聞かれたら、実はある。
新多聞団地の一角、お目当てにしたい親子セット
ロック漫筆家・安田謙一さんには毎度神戸のB面的グルメを教えていただいている。思ったことを縛られずに執筆したいという安田さんの願望から、まずは取材であることを明かさずにおひとりで店へと訪問してもらう。安田さんより原稿を受け取ったのち、編集者である自分が店に交渉し、カメラマンとともに改めて撮影に伺うという姿勢を取っている。原稿を熟読し、モチベーションが最高潮の状態で店へと伺えるのは何とも嬉しい。その後味の感想を安田さんに伝えるのが毎月恒例となっている。
JR垂水駅から山陽バスに乗り継いだ先の新多門センター街。ここには人を呼ぶ店がある。店名は「中華そば いまい」。安田さんから「レンタカーを借りて行ってきた」と聞いた時は、少し驚いた。左党である安田さんからは酒と相性のいい料理や店中心に紹介してもらっていたため、「必ず飲みたいわけではないのか」と思うと同時に、レンタカーを手配してまで食べに行きたいラーメンとは如何に、という感想を抱く。この店の中華そばは、岡山県笠岡市のご当地グルメである「笠岡ラーメン」の流れを汲んでいる。関西では珍しいことに、豚肉ではなくかしわのチャーシューがのっているのが特徴だ。噛みしめるほどに旨みが溢れ出るチャーシューが、真っ黒な醬油スープに浮かぶ。見た目とは裏腹に、味わいはさっぱり。
「いまい」のために胃袋を空けてきた、という日はそぼろセット(ラーメン並+そぼろご飯)880円をお薦めしたい。生卵を追加すれば、脳が喜ぶ親子セットの完成である。
自家製そぼろご飯が付いて880円!新多聞価格に感謝。
2014年に垂水区新多聞センターへ移転した「中華そば いまい」。

Writer ライター

あまから手帖 編集部
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