気取らず、コレコレ!な焼鳥の妙味

気取らず、コレコレ!な焼鳥の妙味

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2023.09.28

文・撮影/あまから手帖編集部

焼鳥の頃合い店を探すのは難しい。高くて旨いは当たり前だが、安くて旨いがなかなかない。安すぎる店は巷にあふれかえっているのに、なかなか味が伴わなかったり…。が、久々のスマッシュヒット! 堂々紹介!

目次

焼鳥の魅力を再認識させられる串の数々 サブメニューにも主力級の手間を投入 店舗情報

焼鳥の魅力を再認識させられる串の数々

炭は備長炭で、味付けは全国に名を馳せる銘柄鶏を使い、その旨みを十二分に引き出すべく、選りすぐったブランド塩は贅沢に振りかける。檜一枚板のカウンターで、限定日本酒と共に味わう焼鳥も一興に違いないが、旨くて当たり前な気もする。

長引く物価高と円安の状況下にあって、一部の高所得者やインバウンド旅行客より、世の趨勢は庶民。目がくらむような勘定の高さに、ビクビクおののきながら食す焼鳥では、折角大枚をはたいたところで、味はおろか、腹のどこに収まったかさえ分からない。

炭も鶏も、ブランドにこだわらずとも、旨い焼鳥店は確実にある。
そんな一軒が大阪・難波の「スタンドあいだ」だ。

焼き台は狭く、オーダーが立て込めばすぐに一杯になってしまうが、これも店主がすべての串を、納得のクオリティで提供できるギリギリのサイズ。ゆえに、超一流の鶏を使わずとも、しっかり焼きをチェックする分、ねぎまはふっくらジューシーに、まさにコレコレと膝を打ちたくなる味わいに仕上げる。

店内は煙がモクモク威勢よく上がり、エアコンも利く場所と利かない場所があるくらい、まったく気取っていない店なのだが、焼鳥に真摯に向き合う店主の思いは、串一本一本からしっかり伝わってくる。焼鳥の魅力を再認識させられるようだ。

サブメニューにも主力級の手間を投入

串はどれも薦めたいが、
サブメニューで特筆すべきは焼きおにぎりだ。

最初は真っ白で大きなおにぎりが、焼き台を所狭しとコロコロ転がる。串のオーダーが入るたびに、あっちこっち移動させられ、そうしているうちにハツが去り、つくねが去り、また新たな串が並んでなお、焼きおにぎりだけはずっとコロコロコロコロ。

実に20分以上転がりながら、じっくりあぶられ、最後は醤油ベースのタレをたっぷりつけてジュージュー焼きあげられる。外側はせんべいのようにカリっと香ばしい味わいで、中はふっくらと米の食感を残し、とろりとした卵の黄身を割ってガブリといけば、こちらもおかわりしたくなる逸品。

店主曰く、
「焼きおにぎりばかり注文が入ると、とても対応が難しくなるので本当は載せてほしくないのですが……」

とはいえ、もともと、「他所で旨い焼きおにぎりに出合ったことがないから」と、店主自らが開発した自信作。推しメニューの一つであることに間違いない。

焼きおにぎりは店が空いている時に頼むのがベストだが、混んでいる時は、時間がかなり掛かるため、早めのオーダーを心がけたい。

「スタンドあいだ」の焼きおにぎり大将こだわり焼おにぎり330円

■店名
スタンドあいだ
■詳細
【住所】
大阪府大阪市千日前2-3-24 久富千日プラザ2階
日本橋駅から徒歩5分
【電話番号】
☏06-6585-7925
17:00~23:00(LO)
不定休

Writer ライター

あまから手帖 編集部

あまから手帖 編集部

amakara techo

1984年の創刊以来、関西グルメの豊かさをお届けしてきた月刊誌「あまから手帖」編集部。 旨いものを求めて東奔西走、食べ歩いた店は数知れず。パン一つ、漬物一つ掲載するにも、関西の人気店を回って商品を買い集め、食べ比べる真面目なチーム・食いしん坊。

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