チェンドルと奈良の“おかず氷”

チェンドルと奈良の“おかず氷”

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2023.10.25

文:「あまから手帖」編集部 / 撮影:木村華子、編集部

奈良には氷室神社という、氷と関わりの深い神社があるんです。奈良=かき氷というイメージもすっかり定着した今、新たなムーブメントは“おかず氷”であります。

目次

チェンドルで免疫が付いた。 奈良のおかず氷は別格だった。

チェンドルで免疫が付いた。

今夏はいろんなかき氷を食べた。9月下旬にシンガポールのチャイナタウン・コンプレックス内、大規模なホーカーズで食べたチェンドル(かき氷)。これが今年のラスト・氷となるかと思っていたが、そうならなかったのは11月号の奈良特集で、「かき氷はおかずです。」なんてコーナーを担当することになったからだ。

もう少しチェンドルの話をしておこう。ホーカーズで向かった店は、専門店を謳っていながらメニューは1種類だけという潔さ。名を「OLD AMOY CHENDOL」という。東南アジアで広く親しまれているチェンドルは、1杯あたり100~200円ほどで食べることができる。定番の材料はココナッツミルクに小豆、グラマラッカシロップ、そして少しギョッとするような緑色のクネクネとした物体・チェンドルゼリー。

「OLD AMOY CHENDOL」のチェンドル。「OLD AMOY CHENDOL」のチェンドル、日本円にして250円ほど。(写真=編集部)

チェンドルゼリーはパンダンという葉から抽出したエキスを使って色付けしたゼリーで、主に緑豆粉を使って作られている。その見た目に反し、チェンドルの主役はコイツだ!と思えるほど氷と相性がいい。人は見た目で判断してはいけないというが、食べものも同じである。これは冗談抜きに3杯はいける美味しさだった。

そんな経験をしたものだから、おかず氷?面白れぇじゃねーの、と強い気持ちで店を回ることができた。中華系かき氷やワサビを使用したかき氷など、チェンドルのインパクトを越えてきそうな氷たちの中から、1軒をピックアップ。

奈良のおかず氷は別格だった。

奈良市にある「氷匠 ル・クレール」では、フレンチシェフである吉崎公浩さんが、週替わりで2種、おかず氷ならぬフレンチ氷を提供している。おかず氷=変化球のイメージしかなかったが、こちらの氷を一度食べてみて欲しい。王道氷も裸足で道を空けてしまうような、別格の味わいが存在する。

「氷匠 ル・クレール」のスーパーモロチー。

こちらはメニュー名を「スーパーモロチー」という。氷を覆っているのは、たっぷりのトウモロコシクリーム。加糖はせず、野菜の甘みで塩梅を調整している。溶けても美味しいので、最後は冷製スープ感覚で飲み干してほしい。

『あまから手帖』11月号奈良に行きたくなる。

Writer ライター

あまから手帖 編集部

あまから手帖 編集部

amakara techo

1984年の創刊以来、関西グルメの豊かさをお届けしてきた月刊誌「あまから手帖」編集部。 旨いものを求めて東奔西走、食べ歩いた店は数知れず。パン一つ、漬物一つ掲載するにも、関西の人気店を回って商品を買い集め、食べ比べる真面目なチーム・食いしん坊。

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