チェンドルと奈良の“おかず氷”
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奈良には氷室神社という、氷と関わりの深い神社があるんです。奈良=かき氷というイメージもすっかり定着した今、新たなムーブメントは“おかず氷”であります。
チェンドルで免疫が付いた。
今夏はいろんなかき氷を食べた。9月下旬にシンガポールのチャイナタウン・コンプレックス内、大規模なホーカーズで食べたチェンドル(かき氷)。これが今年のラスト・氷となるかと思っていたが、そうならなかったのは11月号の奈良特集で、「かき氷はおかずです。」なんてコーナーを担当することになったからだ。
もう少しチェンドルの話をしておこう。ホーカーズで向かった店は、専門店を謳っていながらメニューは1種類だけという潔さ。名を「OLD AMOY CHENDOL」という。東南アジアで広く親しまれているチェンドルは、1杯あたり100~200円ほどで食べることができる。定番の材料はココナッツミルクに小豆、グラマラッカシロップ、そして少しギョッとするような緑色のクネクネとした物体・チェンドルゼリー。
「OLD AMOY CHENDOL」のチェンドル、日本円にして250円ほど。(写真=編集部)
チェンドルゼリーはパンダンという葉から抽出したエキスを使って色付けしたゼリーで、主に緑豆粉を使って作られている。その見た目に反し、チェンドルの主役はコイツだ!と思えるほど氷と相性がいい。人は見た目で判断してはいけないというが、食べものも同じである。これは冗談抜きに3杯はいける美味しさだった。
そんな経験をしたものだから、おかず氷?面白れぇじゃねーの、と強い気持ちで店を回ることができた。中華系かき氷やワサビを使用したかき氷など、チェンドルのインパクトを越えてきそうな氷たちの中から、1軒をピックアップ。
奈良のおかず氷は別格だった。
奈良市にある「氷匠 ル・クレール」では、フレンチシェフである吉崎公浩さんが、週替わりで2種、おかず氷ならぬフレンチ氷を提供している。おかず氷=変化球のイメージしかなかったが、こちらの氷を一度食べてみて欲しい。王道氷も裸足で道を空けてしまうような、別格の味わいが存在する。
こちらはメニュー名を「スーパーモロチー」という。氷を覆っているのは、たっぷりのトウモロコシクリーム。加糖はせず、野菜の甘みで塩梅を調整している。溶けても美味しいので、最後は冷製スープ感覚で飲み干してほしい。
Writer ライター
あまから手帖 編集部
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