名建築・芝川ビルに隠れ家イタリアン『isolata』オープン
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大阪・淀屋橋にあるモダン建築・芝川ビル。その敷地内にある築100年超の木造建築がリノベーションして「芝川ビル HANARE」として生まれ変わり、一棟まるごとレストランへ。1月よりプレオープンを開始したイタリアンレストラン『isolata(イゾラータ)』が2月21日より本格始動しました。
名建築・芝川ビル
大阪・淀屋橋に建つ芝川ビルといえば、大阪有数のモダン建築。昭和2年、船場の豪商・芝川家6代目当主の芝川又四郎により自家事業用事務所として建設されました。現在は商業施設として利用されていますが、教育にも関心のあった又四郎の意向で、戦前は名門花嫁学校「芝蘭社(しらんしゃ)家政学園」として使用されていた歴史もあります。
南米マヤ・インカの装飾が美しい鉄筋コンクリート造りの芝川ビル。登録有形文化財にも指定されています。
築100年超の空間でイタリアンを
そんな花嫁学校時代に、洋裁室(ミシン室)として使用されていた一棟を、建築家であり近畿大学建築学部准教授の高岡伸一さんが大幅リノベーション。生まれ変わって「芝川ビルHANARE」と名付けられ、イタリアンレストラン『isolata』が誕生しました。芝川ビルの入り口から入り、おしゃれなアプローチを抜けると、レストランの扉が。この隠れ家感にワクワクしない人はまずいないでしょう。
芝川ビル本館と『isolata』を結ぶアプローチ。(撮影:増田好郎)
都心の隠れ家レストランは、入口のサインも控えめ。
扉を開けると、吹き抜けが心地よいレストラン空間が現れます。カジュアルさがありつつも、柱には穴や傷、ペンキの跡などから伝わってくる重厚感。「空襲で木造の建物がほとんどない中で残った貴重な建物。必要な補強をしつつ、傷などはあえてそのままにしています。100年の歴史を感じながら食事を楽しんでもらえったら」と髙岡さん。
内観。写真の奥がキッチン。リノベーションの際に底上げしたことで、客席よりも低い位置に厨房があり、カウンター席から見下ろせます。(撮影:増田好郎)
カウンターからのぞくキッチン。
ロフトのような2階席。(撮影:増田好郎)
壁のいたるところに傷や穴が。特に印象的なのはえぐれたような跡がある2階の太い梁。
本場でも経験を積んだ斎藤シェフ
この空間で腕を振るうのは、斎藤章仁シェフ。リーガロイヤルホテル大阪や、セントレジス大阪のイタリアンレストランに勤務した後、イタリアに渡り現地のレストランでも経験を積んだ料理人です。
isolataの料理イメージ。ランチは5500・7700・11000円、ディナーは7700・11000・16500円の各3コースずつ。
オープンのレセプションでは、ひと口ずつのおしゃれなアテ3種が提供されました。フルーツトマトのマシュマロ、パルミジャーノのサブレと猪のパテ、あおさ海苔チップス 帆立とアンチョビクリーム。
『isolata』で提供するのはコース料理。「郷土料理や、日本風にアレンジした料理を多皿のコースで提供したいです」と斎藤シェフ。ワインはイタリアのものを中心に、料理に合うものをセレクトしていくとか。
オープンの背景
『isolata』のオープンの背景には、実は2つの大きな企画がありました。まず、千島土地株式会社が所有する古い木造建築をレストランへとアップサイクルする「芝川ビルHANAREプロジェクト」。ここに協働した(株)ケイオスが、志のある料理人の独立開業を支援するコンテスト、「チャレンジキッチン淀屋橋」を開催しました。これに挑戦し、優勝してオーナーシェフとなったのが斎藤シェフというわけです。
まだ改装中の「芝川ビル HANARE」を初めて下見に来たときから「イタリアにも通じる歴史や温かみを感じました」という斎斉斎藤シェフ。この場所にちなみ、イタリア語で「離れた」を意味する「isolata」を店名にしました。
贅沢な大人の秘密基地のような空間で提供される洗練されたイタリアン。知っていたら自慢したくなる一軒です。
「芝川ビル HANARE」外観。建物自体は、芝川ビルよりもさらに古いものなのだとか。(撮影:増田好郎)
■店名
Isolata
■詳細
【住所】大阪市中央区伏見町3-3-1 芝川ビルHANARE
【電話番号】06-6732-8056
【営業時間】11:30~15:30(13:30 LO)、17:30~22:00(19:30 LO)
【定休日】月曜、第2・4日曜
https://www.instagram.com/isolata_hanare/
Writer ライター
あまから手帖 編集部
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