𩹨濁羹?牛繊肉?「旧桜宮公会堂」で、明治の晩餐を再現した激レアコースを今だけ!
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昭和10年築の「旧桜宮公会堂」で、明治時代の料理を再現したコース「明治の饗宴」が6月28日まで供されている。今の値段で15万円ほどというプレミアムなコースの全容とは…⁉
実はひっそりレストランとして営業している、旧桜ノ宮公会堂
入り口ではクラシック音楽が流れ、荘厳な雰囲気の旧桜宮公会堂
個人的な話で恐縮だが、私の自宅から徒歩3分ほどの場所にある「旧桜宮公会堂」。休日にはウェディング用に着飾った男女が出入りし、一般人が立ち入りできるとは思ってもみなかった。
そんな「旧桜宮公会堂」から、「明治時代の饗宴料理を再現したフレンチのコースを始めます」という知らせが届いた。ここってレストランだったのか。しかも堂々と中に入れるチャンス!とあって、鼻息荒くお邪魔した。
伝統的建築物の中で食事ができるとは感激だ
そもそもこの建物は明治4年築の向かいの造幣局正面玄関を移築し、昭和10年に明治天皇記念館として建設。戦後は公会堂や図書館として使われたのち、2007年から閉鎖されていたが、2013年に結婚式場・レストランとして蘇った。
今回のイベントは、明治天皇も味わった(と想像される)当時の料理を、歴史的文献を紐解いて再現し、コースで供するというもの。
豪奢なシャンデリアが照らすメインダイニングで、隣接する重要文化財「泉布観」の内部や歴史をCG映像で鑑賞しながら味わえる。
「泉布観」内部は通常非公開なので、映像に興味津々
「𩹨濁羹」は「???のスープ」だった!
コースは明治の饗宴A(4品)4300円と、B(6品)5800円の2種。本日いただくのはBなのだが、献立を見て「…?」。
「𩹨濁羹」「蒸鮭凍凝物」「紅楚蟹男爵油製」「牛繊肉フィナンシエール盛合」「天門冬牛酪被汁」の文字が並ぶ。えっ中華料理?と訝ったが、登場したのはれっきとしたフランス料理だった。
エビの殻からもエキスを抽出した、超濃厚なビスクスープ
「前菜の𩹨濁羹(えびだくかん)です」と言われて供されたのは小さなスープ。なんでも、当時はザリガニを使うのが正当だったそうだが、現在はザリガニではなくオマール海老を使用。いわゆるビスクだ。
宝石をちりばめたような美しい一皿
続いて現れたのは「蒸鮭凍凝物」。説明によると香草を利かせたサーモンのショーフロア(加熱した魚や肉を冷やしてソースをかけた料理)に、コンソメのジュレを合わせた一皿だ。卵黄とマヨネーズでコーティングしてあり、ジュレの涼感が口の中をさっぱりさせる。
コンソメの旨み、サーモンの塩味、ソースのコクが三位一体に
ベシャメルソースを使用した「クロケット」が日本でコロッケに
「紅楚蟹男爵油製」は字面から見てジャガイモかな?とは想像したが、なんとズワイガニのクリームコロッケ。油製ってそういうことか。なめらかなベシャメルソースと甘みのあるトマトソースを絡めながらいただく。
牛フィレ肉はポワレで。サクッとフォークでほぐれる柔らかさ
そしてメインは「牛繊肉フィナンシエール盛合」。牛繊肉=牛フィレ肉とは…。赤ワインソースにはトリュフ入りと贅沢だ。上のマッシュポテトがしっとり口でとろける。コースに合わせたワインペアリングもいただいたが、1930年代にもあったというシャトーの赤ワインがどっしりして牛肉にピッタリ。
カイエンペッパーを添えるのも昔からのレシピに準じているという
驚いたのが「当時のコース料理は、お肉のあとにアスパラガスが出されたそうです」というシェフの説明。メインの後に供された「天門冬牛酪被汁」は、アスパラのオランディーズソース(バターとレモン果汁と卵黄を使用して乳化したソース)がけ。アスパラにこのソースを合わせるのはフレンチでは伝統的な手法。
プリンはイチゴやクリームを添えたパルフェ風
デザートはショコラ ヲ プディング。チョコレート濃度が高く、プリンというよりガナッシュと言っても良いほど。下のアプリコットジャムやミントの酸味のおかげで後味が爽やか。ウエハースのトッピングもレトロ感を演出している。
最初に供されたモエシャンも、明治時代に饗宴でふるまわれたそう
年齢的にウェディングには(呼ぶ方でも呼ばれる方でも)もう縁がないと思っていたが、旧桜宮公会堂にこんな形で入館できると知って、小躍りしたくなった。
「明治の饗宴」以外でも、普段からレストランとしてランチやディナーを味わうことができるという。千鳥足になっても自宅から3分。7~8月はビアホールも開催するらしいから、こりゃ困った(笑)。
■店名
旧桜宮公会堂
■詳細
大阪府大阪市北区天満橋1-1-1
050-5306-8500
「明治の饗宴 特別コース」は6月28日(金)まで。予約は下記より
https://www.tablecheck.com/ja/shops/sakuranomiyakoukaidou/reserve
Writer ライター
あまから手帖 編集部
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