名工にも愛された、創業以来の名物「切飴」。京都・三条『御所飴本舗』

スイーツを心から愛する京都人、ライター・小林明子さんがときめいたおすすめの最旬スイーツをご紹介します。

大正元年創業の飴専門店が原材料を一新

初代の中西利一さんが店を構えた時の店名は「小枝屋商店」。自身も飴職人である3代目社長・中西康拡さんは「祖父は、小枝が大枝に、やがて大木に育つようにとの願いを込めたそうです」と話す。

昭和26年に店名を「御所飴本舗」に変更。112周年を迎えた令和6年に店舗をリニューアルすると同時に、原材料も一新。すべての飴のベースになっているのは、オリゴ糖を多く含む、吸収が穏やかな事でも知られる北海道産の「てん菜糖」。そこに国産果実や抹茶、ほうじ茶などで色や香りをプラスして、約20種の飴を昔ながらの銅鍋で手作りしている。

お茶が欲しくならない甘さすっきりの飴

愛媛県産のブラッドオレンジ、フランス・ヴァローナ社製のカカオマスを使うイマドキの飴から、貴重な糯米製の米飴をふんだんに使う黄金色のぜいたく飴まで、様々な飴が並ぶ。なかでも、創業当初から多くのファンに愛されている名物が「切飴」だ。

御所飴本舗切飴
琥珀色に輝く「切飴」。
御所飴本舗パッケージ
大入袋896円。
御所飴本舗パッケージ
パッケージもリニューアル。ケース1004円。
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枝のような棒状に成型してから2㎝ほどの長さにカットする飴で、プレーンのほか、大豆入り、黒糖胡桃入りの3種を展開している。 「創業当時の屋号だった“小枝”は、この飴の形に因んだと聞いています。特に切飴は、名工の誉れ高かった河井寛次郎さんの好物で、木彫りの容器に入れて持ち歩かれていたそうです」。 舐めた後にお茶が欲しくなるような強さではなく、おだやかな甘さでほっこりさせてくれる切飴のパッケージに描かれているのは、康拡さんの干支でもある龍。その手に握られているのは、願いを叶える如意宝珠ならぬ、口福を誘う御所飴かも?

新店の看板メニューや、老舗の新作など、トレンドを押えたスイーツたち。手土産や自分へのご褒美に。

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writer

小林 明子

kobayashiakiko

京都在住フリーライター。缶入りクッキー、ワッフル、薯蕷饅頭、そば餅…、これらの名店に徒歩で行ける京都市の烏丸御池近くに生まれる。自動的に甘いもの好きが出来上がりました。