京都・金閣寺エリアに四川牛肉麺専門店『茶盤寺(さばんじ)』登場!

京都・金閣寺エリアに四川牛肉麺専門店『茶盤寺(さばんじ)』登場!

門上武司の「今月の一軒!」

2023.03.06

文・撮影:門上武司

メニューは「牛肉麺」一択。編集顧問・門上がトリコになったのは、中国・四川出身の主人が作る刺激的な一杯でした。シンプルかつ印象的なビジュアル、そしてクセになる味わいに、何度も訪れたくなります。

目次

故郷の味を再現! コクとキレが見事に調和する クセになる、唯一無二の味わい 店舗情報

故郷の味を再現!

昨年12月に開店した『茶盤寺』という四川牛肉麺専門店に向かった。

入ろうとすると海外の人がのれんをくぐって出てきた。こちらの顔を見るなり「この店に行くの?」「はい」「無茶苦茶おいしい。ここのラーメン最高!」と大きな声を出しながら去っていった。初めての店で初めての体験。ラーメンを食べる前から強烈なインパクトを受けた。

この店の存在は、『麺屋棣鄂(めんやていがく:業務用生中華麺製造卸売専門会社)』の社長・知見芳典(ちけんよしのり)さんから耳にしていた。「面白そうです」とのメッセージであった。

店内は旧い町家を見事にリノベーション。スッキリとした空間である。カウンターは長く、厨房も広さがある。

メニューといっても、視線牛肉麺専門で、サイズが並と大のみ。並は120グラム、大は180グラムである。主人は中国四川南充(なんじゅう)のご出身。ふるさとの味を再現したいという想いでこの店を開店させたのである。

『茶盤寺』内観

コクとキレが見事に調和する

『茶盤寺』のラーメン四川牛肉麺(並)1000円。スープは20種類以上の香辛料と牛肉からとるという。若干のショウガや塩分が入り、コクと切れを生み出す。香辛料の力がもたらす風味が抜群。

カウンターに届いた牛肉麺。
まずビジュアルがシンプルだが迫力がある。
やや茶褐色のスープに麺が折り畳まれるように入れられ、その上に牛肉がのる。

香り鮮烈。香ばしく、かつ辛い刺激的な香りが鼻にグサッと突き刺さる。スープを口に含む。まさに四川を想起させるスパイシーさが一気に広がりをみせる。麺をすする。弾力があり、かつ喉越しの柔らかさがある。スープと絡まると、余計にスパイシーさが増してくる。そこに牛肉が加わると、甘みと辛さが増してくるのだ。黒毛和牛のバラ肉をしっかり煮込み、柔らかく仕上げたところに再び香辛料の味をプラスする。この加減が見事で、辛さとスパイシーさ、バラ肉から生まれる甘みが独自の世界を作り上げているのだ。

クセになる、唯一無二の味わい

食べ終わる頃には、入り口でかけられた言葉が実感となっていた。

スパイシーさの頃合い。そして麺との出合いによる味わいの変化。そこに自分の身体がどんどん馴染んでゆくのが分かる。もちろん、このスパイシーさが苦手という人もいるだろうと思う。しかし完成度の高さは申し分ないと強く思ったのである。

店を出てしばらくすると、この味わいが懐かしくなってくるのだ。余韻がやみつきになっている。ラーメンという存在の凄みを感じ、だからこそラーメンがいつまでも多くの人を惹きつけるアイテムなのだ、と理解した。

■店名
『茶盤寺』
■詳細
【住所】京都市北区衣笠馬場町45-3
【電話番号】050-1157-8084
【営業時間】11:00~20:00LO
【定休日】月・火曜
【お料理】牛肉麺並1000円、大1500円。

Writer ライター

門上 武司

門上 武司

Takeshi Kadokami

あまから手帖・編集顧問。年間外食350日という生活を20年以上続け、食事と食事の合間にもおやつをボリボリ…。ゆえに食の知識の深さは言わずもがな。食に携わる生産者・流通・料理人・サービス・消費者を繋ぎ、発信すべく、日々奔走している。

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