大阪名物・河内鴨ならココ!炭火焼と鴨鍋の店、大阪・難波『おら鴨』

大阪名物・河内鴨ならココ!炭火焼と鴨鍋の店、大阪・難波『おら鴨』

団田芳子の「わたホレ新章」

2022.12.20

文・撮影:団田芳子

鴨肉はお好き?苦手というアナタも、これを食べれば開眼しちゃうかも。大好物というアナタは感動するはず――。拙著『私がホレた旨し店 大阪』発刊5年後の今、あの店の続きの物語をお届けしています。今回は、大阪名物・河内鴨(かわちがも)が味わえる『おら鴨(がも)』へ。あの上村クンは今…。

目次

憎めない店主・上村クン 毎朝仕入れる新鮮な河内鴨 焼きも鍋も入ったお得なコース 店舗情報

憎めない店主・上村クン

大阪人が胸を張って案内できる法善寺横丁。コテコテばっかりちゃいますねん。大阪ミナミにも、しっとり情緒あるこんな路地も残ってますねんよ―。 その南側の参道に鎮まる水掛不動さんからクルリと振り向くと、串カツの『だるま』がある。その上の3-4階が、河内鴨料理の専門店『おら鴨』だ。

“わたホレ”では、店主・上村貴也クンのことを「憎めない変人クン」と紹介した。経歴や店を始めた経緯など、その変人ぶりはしっかり“わたホレ”に書いたので、ご興味あらばそちらをどうぞ。と、宣伝はこれくらいにして、ここではその憎めなさをちょっと追加。

拙著が出てすぐの頃、出版社がプロモートの一貫としてサイン会を催してくださった。お友達も含めたくさんご来場いただいたが、「では最後にご質問があれば」と会場に水を向けるも、誰も手を挙げない。そこへ「ハイ!」と元気よく声を上げたのは上村クン。「219ページ掲載の『おら鴨』です!」と。会場はドッと沸いた。この景気づけのお陰で、その後たくさんの手が挙がった。ちゃんと空気を読んで助け船を出してくれたのね、アリガト。

大阪・難波 炭火焼と鴨鍋の店『おら鴨』店主・上村貴也さんこの方が店主・上村クン。大学院で土壌汚染の研究をし、ゼネコンに就職したのに、いきなり会社を辞めて鴨料理屋を始めた変な人。

こういう人だから応援したくなるのは当然。だけど、もちろん、美味しいものを出してくれないとね。

毎朝仕入れる新鮮な河内鴨

豊臣秀吉が「大阪の民よ、鴨を飼いなはれ」と奨励して以来、昭和40年代まで大阪は鴨の名産地だった。合鴨の全国生産量の半分以上を担っていたほどだ。安い輸入品に押された今、その大阪・松原で唯一『ツムラ本店』が伝統を繋いでいる。

『ツムラ本店』の代表・津村佳彦さんと言えば、今やテレビにもちょくちょく取り上げられているので、ご存知の方も多いはず。拙著『ポケット版大阪名物』(新潮文庫・共著)では、「お日様の差し込む2000坪の清潔な鳥舎で雛たちは走り回って育つ。エサは、肌白くロースの赤身はきれいな小豆色になるよう配合。抗生物質は入れない。安心して生で食べられる」と紹介した。

本当にビックリするくらい旨い鴨だ。『おら鴨』は、その『ツムラ本店』から毎朝届く河内鴨を使っている。

焼きも鍋も入ったお得なコース

焼き、鍋、両方を味わえる、おら鴨流コースをいつも選択する。焼きだけ、鍋だけというコースもあるけど、どちらも外せないから。コースの内容は小鉢2種、サラダ、本日の鴨逸品、炭火焼3種盛り(焼き野菜付き)、鴨鍋、〆うどんまたはそば、そしてデザートが付く。

お酒が進む小鉢などのあと、炭火焼の盛り合わせが登場。きれいな小豆色の鴨ロースを炭火で片面だけ炙って、葱の山の上へ。たっぷりの葱をくるむようにして、爽やかなポン酢味でいただく。ウマウマ。

大阪・難波 炭火焼と鴨鍋の店『おら鴨』炭火焼盛り合わせ

大阪・難波 炭火焼と鴨鍋の店『おら鴨』炭火焼盛り合わせ鴨ロースは焼き過ぎ厳禁。山盛りの葱とともに。

そして、鍋もやっぱり外せない。鴨のダシってなんでこんなに旨いのでしょう。これを味わわない手はない。そして、〆にはうどんを投入。ダシを余さずいただきます。

大阪・難波 炭火焼と鴨鍋の店『おら鴨』鴨鍋もも肉の脂は甘く、野菜は鴨だしでたまらない旨さに。

大阪・難波 炭火焼と鴨鍋の店『おら鴨』日本酒(楯野川 純米大吟醸 源流冷卸)日本酒もいろいろ。550円~。山梨『勝沼醸造』のワインも揃ってマス。

『おら鴨』は、2022年12月で創業15年を迎えた。河内鴨の旨さに衝撃を受けて、「この鴨肉の専門店をやろう!」と素人なのにいきなり店を作ったわりに、スゴイやん。「いやぁ、河内鴨が美味しいから」と、上村クンはニヘラと笑った。この人たらしの魅力も大きいな。

大阪・難波 炭火焼と鴨鍋の店『おら鴨』個室画像大小の落ち着く個室が9室。掘りごたつ式の個室はプライベート感いっぱいで、お忍びデートにもイイ感じ。

■店名
『おら鴨』
■詳細
【住所】大阪市中央区難波1-5-24 だるま難波本店ビル3-4F
【電話番号】06-6211-1528
【営業時間】17:30~22:00(土日祝日は17:00~22:00)
【定休日】不定休、年末年始とお盆
【公式サイト】http://www.oragamo.com/oragamo/

Writer ライター

団田 芳子

団田 芳子

Yoshiko Danda

食・酒・大阪を愛するフリーライター。旅行ペンクラブ会員。小宿の会塾長。料理人には怖れと親しみを込め“姐(ねえ)さん”と呼ばれる。講演、TV・ラジオ出演も。著書に『私がホレた旨し店 大阪』(西日本出版社)、 『ポケット版大阪名物』(新潮文庫・共著)ほか。

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