
気さくな黒服さんのいるフレンチ・レストラン『L'esprit de COEUR DE FRANCE』
団田芳子の「わたホレ新章」
今回は、とっても美味しいのに、『あまから手帖』本誌ではまだお披露目できていないお店をご紹介。いろんな方にオススメして、いつも大感謝されるフレンチ・レストランです。特に今の時季限定の「オマール海老と桃のマリネ」が超オススメなのです!
毎年絶対食べたい!桃がある時季限定スペシャリテ。
果物屋さんの店先に並ぶ桃を見る度に、あの味が舌の上に蘇る。甘じょっぱくて酸っぱくて、爽やかな初夏のジューシーなあの味。
ああ、今年も早く食べに行かなきゃ! 『L'esprit de COEUR DE FRANCE(レスプリ・ドゥ・クゥー・ドゥ・フランス)』のスペシャリテ、「オマール海老と桃のマリネ」。
「桃はビネグレットソースに漬け込んでおいて、お客様がいらしてから、オマール海老に火入れして、冷たいドレッシングにさっと一瞬浸けます」とシェフの橋本充史さん。
オマール海老とフルーツの相性の良さはよく知られているし、桃との組み合わせも珍しくはないのだけど。この店のこのひと皿は―。オマール海老と桃、それぞれの甘さをソースとドレッシングの上品な酸味が取り持って…。初夏の爽やかさが口の中いっぱいに広がるような口福をくれる。
これが「オマール海老と桃のマリネ」アラカルト・バージョン。大きな爪の下に桃が半個分。オマール海老は半身が贅沢に盛り込まれている。このスペシャリテを組み込んだランチコース8000円、ディナーコース18000円もあります。
ここは、昔、三越デパートがあった「ザ・北浜プラザ」の2階。黒い壁にロゴが光るエントランスからして、とってもスタイリッシュ。
背筋が伸びる洒落たエントランス。でもこの奥には、優しい居心地が待っている。
モノトーンのモダンなインテリアがオシャレな店内。
黒をベースにしたモノトーンのモダンな店内には、ピシリとダブルクロスを敷いた大きめのテーブルが9卓。大きな窓から堺筋が見下ろせる一番奥の角っこが私のお気に入り。顔を覚えてくれているマネージャーの國武浩紀さんがやって来て、「何から飲まれます?」と笑顔で迎えてくれる。
18ほどの席数のホールに、ブラックスーツのサービスの方が4人。しかも、全員がその胸元に金のソムリエバッジを光らせている。ワインはざっと2000本はストックされているという。街場のレストランとは思えない贅沢な布陣だ。
だけど、國武さんはじめ、サービスの皆さんの優しい接客で、ゲストはみんなリラックスした表情。「ええーっほんま?」「ほんまですよ」と隣のテーブルのご夫婦とサービスの方の会話が何やら盛り上がっている。
左が橋本シェフ。カラフルでセンスフルなお料理は、優しいお味。右が國武さん。いつもまろやかな居心地を創ってくれる。
「出来るだけワガママに応えたいです。厨房は大変かもしれませんけどね」と國武さんが茶目っ気たっぷりに笑う。
「何でも言ってください。出来る限りのことをします」という姿勢は、オーナーの坂口俊郎氏の信条なのだろうか。私なども、ちょいちょいワガママを言ってしまうが、「かしこまりました!」とあんまりかしこまらずに飄々とリクエストに応えてくれるので、とっても助かっている。
いつだったか、「野菜とかいろんなクリームブリュレがあって美味しいねん」と宣伝し過ぎて、「いろんなブリュレを食べたい」と友人がワガママを言いだして。そしたら、ホワイトアスパラやレモン、イチゴなどのブリュレを、橋本シェフが特別にいっぱい作っておいてくれた。優しさにジーンときた。
そんな肩肘張らない居心地の中で供される料理は、これぞと言いたい華麗なフレンチ。モノトーンの店内で、リモージュのカラフルなお皿と、色鮮やかなお料理が映える。クラシカルな手法とモダンな軽やかさが融合していて、いつも新鮮な驚きと感動をくれる。
メインの羊肉のロースト タイムの香り。ジューシーなお肉にまったりとしつつ、軽いソースがよく合う。赤ワインをグラスで!
今日も、お腹も心も満たされた。「デザートは私の分も、甘い物好きの連れにあげたいんですけど」と言えば、國武さん、「了解です」と、8品を1プレートに盛り合わせてくださった。目の前でスイーツ男子は満面の笑みだった――。
あ、でも、いつもいつもワガママ言ってるわけではないのですよ。念のため。
ランチのデザート2人分盛り合わせ。大分地鶏の卵のプリンにグレープフルーツのプリン、アメリカンチェリーのタルトにレモンケーキ、抹茶ムース、ミルクのジェラート・枇杷のコンポート載せ、ヨーグルトのジェラート・フルーツのジュレ掛け、ピスタチオのマルジョレーヌ。
■店名
『レスプリ・ドゥ・クゥー・ドゥ・フランス』
■詳細
【住所】大阪市中央区高麗橋1丁目7−3 ザ・北浜プラザ2階
【電話番号】06-6223-7088
【公式サイト】https://cf.stt-group.jp/
Writer ライター

団田 芳子
Yoshiko Danda