帰ってきたキン肉マン・シェフ。イタリアン『RISTORANTE con fuoco(コンフォーコ)』
団田芳子の「わたホレ新章」
拙著『わたホレ』に、“キン肉マンのヤンチャなイタリアン”と題して紹介した『イ・ヴェンティチェッリ』。残念ながら閉店してしまったけど、2022年、大阪・茶屋町『RISTORANTE con fuoco』に浅井卓司シェフ就任のお知らせが。キン肉マン・シェフがステキな舞台を得て、帰ってきました!
オモシロ美味しい独自ワールド全開!
賑やかな大阪・茶屋町の路地を入ると、テイクアウトのスイーツなど食べながらそぞろ歩く女子やカップルがいっぱい。
そんな一画にある洒落たビルの上階に潜むリストランテは、一際大人の雰囲気。個室はシャンデリアが豪華なサロン風。シックで落ち着いたメインダイニング。L字カウンターの中には、キン肉マン・シェフこと、浅井卓司さんの笑顔。
オープンキッチンを囲むカウンター。座り心地の良い椅子が配されている。ほかにテーブル席も。
専用の出入り口を備えた個室。クラシカルな雰囲気がオシャレ。
浅井シェフは、東京の『リストランテ サバティーニ青山』を皮切りに、大阪は肥後橋の『リストランテ カラバジオ』を経て、イタリアへ。2年半の本場での修業を終えて、帰国後、2002年に苦楽園にて独立。2013年に大阪は靱公園横へ移転した『イ・ヴェンティチェッリ』は、カジュアルな雰囲気とパワー溢れるお料理で大人気。私にとっても、お気に入りの一軒だった。
なのに、2018年に閉店。なんで閉めたん?と改めて訊ねてみたら。
「あの頃、色んなオファーがあったんですよ。独立して15年経って、他のことにチャレンジしてみたいなと思ったんです」。決して寡黙ではないけど、あちこち話が飛びながらボソボソしゃべる浅井シェフの言葉を、キュッとまとめるとこんな感じ。
そうして幾つかの場所でシェフとして、またメニュー開発などに携わって、2022年『RISTORANTE con fuoco』総料理長として、大阪に帰ってきてくれた。
シェフ・浅井卓司さん。“キン肉マン”からちょっとスリムになりました。
素晴らしくオシャレな舞台を得たシェフ。その皿の上のヤンチャぶりは、健在。
例えば、コースの始まりは、ライムの皮を裏返しにした器に、ツブ貝のコンフィを盛りつけた「ぷちぷちNADA88」……? 「NADA88」とは、灘の酒蔵『沢の鶴』×大手農機具メーカー『ヤンマー』(『RISTORANTE con fuoco』は『ヤンマー』のグループ会社)のコラボによる酒米プロジェクトから誕生した純米大吟醸酒。新しい酒米「OR2271」の旨み溢れる美味しいお酒。そのきれいな果実香がまずふわりと立ち上り、海ぶどうと生胡椒のプチプチ食感も楽しくスタート。
「ぷちぷちNADA88」と名付けられた先付け。面白くて、ちゃんと美味しい!
前菜は、穴子。ドライのプチトマトを飾った穴子は、何とイタリア風幽庵煮になっている。甘酸っぱい穴子って面白い。
またある時は、真っ赤なリゾットが登場。靱公園時代にも、鮒寿司リゾットとか、苦味に仰け反ったホップの芽のリゾットなど、ユニークなアイデアが爆発していたことを思い出す。
穴子のイタリア風幽庵煮の一品。柔らかい穴子がふんわりとろける。
ビーツとフォアグラの情熱リゾット。真っ赤な姿にビックリするも、味わいは優しい。
浅井シェフの独自ワールド全開! 一体どこからこんなアイデアが湧いてくるのでしょ。
「ここは大阪やし。笑かしてナンボじゃないけど、何か爪痕残したい。ガチガチの郷土料理もできるけど、まぁ、それは他のシェフにお任せして、皿の中は僕の個性を自由に発揮したいから」と、浅井シェフ。
本場イタリアできちんと基礎を叩き込まれてきたからこそ、自由にはばたく大きな翼を持っているのだな。そして、お母様がファッションデザイナーだったとかで、創造力はDNAに刻まれている模様。
『ヤンマー』は、農産物・水産物を応援するコラボにも力を入れておられるので、野菜やお米などなど、豊富なヤンマー食材に刺激されて、これからもオモシロ美味しい独自ワールドをパワーアップして魅せてくれるはず。
総料理長という立場は忙しそう。浅井シェフに会いたいときは、事前にお電話でお確かめの上、ご予約を。
■店名
『RISTORANTE con fuoco』
■詳細
【住所】大阪府大阪市北区茶屋町4-4 茶屋町ガーデンビル4階
【電話番号】06-6373-8830
【公式サイト】https://confuoco-umeda.com/
Writer ライター
団田 芳子
Yoshiko Danda