那智勝浦の旅①夕食目当てで訪れたい料理旅館『万清楼』

伊勢海老にアワビ、生マグロ、鯛、和牛……。高級食材をこれでもかとばかりに盛り込んだ会席料理。実は、那智勝浦きっての巨大リゾート『ホテル浦島』の姉妹館『万清楼』が今、料理目当てで泊まりたい料理旅館として人気急上昇中です。宿自慢の「至宝会席」の豪華な内容をレポートします!

『ホテル浦島』とはまた違ったラグジュアリーな宿

『万清楼』の歴史は1987年に始まり、2024年9月に温泉や食事処をリニューアル。そのタイミングで“ラグジュアリーな夕食「至宝会席」付きのプランを新たに設けました。

万清楼の目の前にある観光桟橋から『ホテル浦島』まで船が出ているので、食事前に名物の大洞窟温泉を満喫しておくのがオススメ。

『万清楼』の外観と客室
客室数は30部屋。マンモス旅館の『ホテル浦島』とは対照的です。
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伊勢海老、アワビ、生マグロと贅沢三昧のコース

支配人曰く「至宝会席はこの旅館史上一番豪華なコースです」とのこと。伊勢海老、生マグロ、アワビ、鯛、和牛(熊野牛)……と高級かつ運気もアップしそうな食材のオンパレードです。

『万清楼』の献立
夕食は1階にある和風レストラン「老松」で。内容は季節(3~4か月)で変わります。
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料理長の杉田孝司さんは、関西や東海、九州など全国のホテルや旅館で修業を積み、10年ほど前に「浦島」グループへ。30歳から料理長としてトップに立ってきた経歴を素地として、2025年10月に万清楼の調理場を任されました。

今回紹介する「冬の至宝会席」には、伊勢海老を1本半使っているとのこと。もちろんすべて地元の食材にこだわり、市場に毎日出向いて仕入れます。「一度来られたお客様に同じ料理はお出ししないよう食材や調理法を変えています」とは、小宿ならではの細やかな気配りです。

『万清楼』の料理長
和食1本で腕を磨いてきた杉田さん。
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料理はすべて「鰹は使わず、マグロで出汁を取る」

前菜の前に何やらお椀が供されました。「献立にはないスペシャルです。マグロ節の出汁とマグロのつみれを味わっていただくためのお吸い物です」。なんとこちらの宿の料理、出汁はすべて鰹節ではなくマグロ節で取っているそう。「鰹だと酸味が強くなってしまいますが、マグロは甘みがありクセも少ないので」とのこと、他の旅館でもなかなか見ないマグロ愛の強さです。

『万清楼』の前菜
前菜の内容も季節替わりですが、焼き伊勢海老は必ず登場。
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前菜盛り合わせは、焼き伊勢海老、マグロのレアカツ梅ソース、マグロ南蛮漬けなどお酒が進む品々。伊勢海老は殻まで香ばしく焼き上がり、中の味噌部分はもちろん、脚まで食べそうになる勢いです。

『万清楼』のお造り
アワビは1個丸ごと! 奥の金紙の中は、ごま油が香るマグロユッケ。
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「これ全部食べて良いの⁉」と聞きたくなるほど豪華絢爛なお造り盛り合わせ。伊勢海老、アワビ、生マグロ、クジラ、鯛、ブリ……。伊勢海老は直前まで生きていただけあり、噛むとプリッ!と音が出るほどのみずみずしさ。マグロはキハダとメバチの食べ比べです。

クジラも那智勝浦の名産で、正直苦手だった私も「これは魚と肉を超えた新たな食材かも」と驚くほどの滑らかな舌触りと食感。ニタリクジラだそうですが、ニンニクおろしと甘めの醤油でいただくと未体験の美味です。

『万清楼』のお造りのイクラとくじら
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『万清楼』の料理
「海老芋白扇揚げ」は、杉田さんの和食の技が生きた一品。卵白を加えた衣でサックリと海老芋やエビの頭、アスパラを揚げ、やはりマグロ出汁に浸しています。
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『万清楼』の料理
1個80~100gの大きなアワビを今度は丸ごと陶板焼きに。仲居さんが切り分けてくれます。
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アワビはお造りでもまるまる1個登場しましたが、追い打ちのように陶板焼きにも丸ごとデーンと1個鎮座。生きたまま塩で絞めて、余計な水分を抜くため旨みが詰まっています。バターを溶かして口へ運ぶと、生のコリコリ食感とは違ったソフトな歯応えに。お造りで1個食べたのを忘れたかのように磯の風味に恍惚となってしまいます。

海の幸だけでなく「熊野牛」も味わえる

魚介料理を連打した後は、肉も負けじと「熊野牛」がはりはり鍋でお目見え。他の地域では食べられない地元ブランド牛で、赤身に程よい弾力があり、霜降りでも脂がくどくないのが特徴。水菜と一緒に湯通しし、すき焼き風に溶き卵で味わいます。

『万清楼』の料理
和歌山県産の水菜、シイタケなどと、これもマグロ節の出汁で。
『万清楼』の料理
クジラの竜田揚げとカニ真丈の天ぷらも添えられています。自家製山椒塩で。
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すでに腹パンになっていますが、「揚げ物です」と、巨大な伊勢海老の天ぷらが運ばれてくるので目を疑ってしまいます。明らかにこのコース、2人前ほどの量。「ほとんどの方が途中から“明日の朝食に回して”と仰います」と笑う仲居さん。そうでしょうね!

フードファイターの大会並みの品数

フードファイターの大会のように、まだまだ料理が出てきます。生で食べられるキハダマグロのトロは、鉄板でジュッと焼いて豪快にステーキに。自家製のポン酢が脂のコッテリ感をさっぱりと味変してくれます。

〆かと思いきやかぶら蒸し。鯛の身とかぶらを真薯にして酒蒸しし、薄味仕立ての餡で仕上げてあります。梅の産地でもあるので、ところどころに梅ソースを使っていますが、こちらも梅肉入り。甘酸っぱさが良いアクセントになっています。

さすがにギブアップというファイナルラウンドで「白ご飯もご用意できますが、さらっと味わえる“そば米”の雑炊をどうぞ」とのお声。こちらにも南高梅が入り、不思議と胃にスルスルと落ちていきます。

『万清楼』の料理
生でも味わえる鮮度なので、中がレアでもOK。
『万清楼』の料理
柚子が利いた優しい餡にほっこりします。そば雑炊は、そば米がプチプチした食感。この後はデザートの抹茶ムースも登場。
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昭和レトロな『ホテル浦島』と連泊がおススメ

料理は1品1品、時間をかけて味わうので、最後のほうはかつてないほどの満腹感が押し寄せます。確かに食べきれない量ですが、残す人はおらず「明日の朝食に何品か回す方が多いですね」とのこと。「高級食材」と聞いて思い浮かぶ限り海の幸が一挙に味わえる「至宝会席」、一度は体験してほしいものです。特に、同グループの「ホテル浦島」と1泊ずつ泊まって、それぞれの違いを比べてみると面白いかもしれません。

『万清楼』の料理
これで1人前(!)。でも魚中心なので胃もたれはしません。
『万清楼』の外観
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writer

amakara.jp編集部

amakara.jp

関西の食雑誌「あまから手帖」(1984年創刊)から生まれたwebメディア「amakara.jp」を運営。カジュアル系からハレの日仕様まで、素敵なお店ならジャンルを問わず。お腹がすくエンタメも大好物。次の食事が楽しみになるようなワクワクするネタを日々発信中。