台湾発のレジェンドロースター『TASTER'S COFFEE』が世界初の実店舗をオープン

2011年、台北に創業して以来、台湾にいち早くスペシャルティコーヒーの魅力を広めてきた『TASTER'S COFFEE』。いまや世界的な評価を得るパイオニアが、2025年12月、神戸に初の姉妹店をオープンしました。日本初上陸にして、世界初の実店舗として話題のショップでは、世界中から厳選したトップオブトップのコーヒー、コーヒーの葉を使ったユニークなリーフティーなど、台湾発の新たなコーヒーカルチャーを身近に体感できます。

国際的に活躍する台湾のコーヒーレジェンド

元町駅から山手に歩くこと5分ほど。『TASTER'S COFFEE』がオープンしたのは、兵庫県庁にほど近いエリア。初の実店舗を神戸に出店したのは、創業者のジェイク・フーさんと街の深いご縁によるもの。

「ジェイクさんにとって神戸は、月に1度は仕事で訪れている馴染みのある街。コーヒーショップとしての初めての実店舗だけに、納得できるコーヒーのクオリティを提供するために、じっくりとお店を始めるにはぴったりの場所でした」とはマネージャーの小川桃世さん。ジェイクさんは、薬品研究者からコーヒーの世界へと転身したユニークな経歴の持ち主。アメリカでスペシャルティコーヒーの魅力に出合って、その奥深い魅力に傾倒。研究者ならではの科学的なアプローチで、おいしさを追求し始めたのが、今に至る原点にあります。
2011年に、コーヒーの焙煎所兼研究室として台北に『TASTER'S COFFEE』を立ち上げ、ECサイトでの豆の販売もスタート。以来、さらなる探求を深めると共に、世界各国のコーヒー競技会のヘッドジャッジを務めるなど、10年以上にわたって国際的なコーヒーシーンの第一線で活躍しています。

「何よりの強みは、感覚に頼らず検証とデータを積み重ねて追求してきた、スペシャルティコーヒーのクオリティ。工程ごとに細かく目を配る精緻な仕事が生み出す風味の違いを感じていただきたい」と小川さん。創業以来、世界のコーヒーシーンで活躍し、母国では“台湾スペシャルティコーヒーの父”とも呼ばれるレジェンドのコーヒーを、誰もが気軽に味わえるのは世界でここだけです。

『TASTER'S COFFEE』の店主
世界中のロースターやバリスタからも信頼が厚い、創業者のジェイク・フーさん。
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『TASTER'S COFFEE』の店内
2階のイートインスペースでは、コーヒーに関する多彩なイベントも開催される。
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世界トップクラスのクオリティを体感

時季ごとに入れ替わるコーヒーは、いずれも各国産地のオークションで上位の評価を得たトップオブトップの豆を吟味。「スペシャルティコーヒーが広まった今だからこそ、あえてセレクトを絞って、他にないコーヒー体験を楽しんでもらえれば」と小川さん。浅煎りで、豆本来の繊細な風味を引き出すには、生豆のポテンシャルが重要です。さらにジェイクさんは世界中の生産者を訪ね、前職の経験を生かして生豆を精製する独自のプロセスも研究。独自の精製方法を施すことで豆の個性をより際立たせ、同じ銘柄でもまったく異なる風味を生み出しています。

中でも注目は、本拠でもある台湾・阿里山のスペシャルティコーヒー。阿里山といえば高山茶の産地で有名ですが、近年は新たなコーヒー産地として世界的に評価を高めつつあります。台湾 嘉義 鄒築園 阿里山 ゲイシャ JHナチュラルは、現地の品評会で1位を獲得した豆に、JHプロセスと呼ばれる独自の精製を経た最高峰の一杯。ふくよかな果実味と酸味に加えて、烏龍茶を思わせる清々しい余韻が後を引きます。ちなみに、独特のフォルムのカップも自らデザイン。繊細なフレーバーをよりクリアに感じられるよう、淵に沿って薄く広く液体が口に広がるよう設計されています。

『TASTER'S COFFEE』のコーヒー淹れるところ
店舗での抽出には、理論的に構築されたレシピと器具を使用。どのスタッフが淹れても変わらない風味のクオリティを再現できる。
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『TASTER'S COFFEE』のコーヒー
台湾 嘉義 鄒築園 阿里山 ゲイシャ JHナチュラル2200円。ゲイシャ種の華やかなフレーバーと、烏龍茶を思わせる阿里山のテロワールが響き合う。
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茶芸の国ならではのコーヒーリーフティー

ここでしか味わえないという意味で、見逃せないのは、コーヒーの葉を、台湾伝統の高山茶の製法で加工したリーフティーです。台湾 阿里山 鄒築園コーヒーリーフティーには、希少なゲイシャ種の葉を使用。烏龍茶と同じ半発酵の技術で引き出される、濃密な甘みと爽やかな芳香に、思わず目を見張ります。「コーヒーの葉を香り高いお茶に加工する技術は、他の国では真似できないもの。ここだけで楽しめる、テイスターズオリジナルの一杯です」と小川さん。よもやコーヒーの葉に、これほど芳醇な味わいが秘められていようとは思うまじ。古くから茶の伝統文化を持つ台湾ならではの一杯です。

『TASTER'S COFFEE』のコーヒーリーフティー
台湾 阿里山鄒築園コーヒーリーフティー1200円。とろりと蜂蜜のような甘みが広がり、発酵由来の芳香が後味に爽やか。柚子の花のフレーバーを付けたティピカ種のリーフティーもあり。
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オリジナルの抽出アイテムにも注目

厳選されたコーヒーの数々に加えて、新たなコーヒー器具の開発も手ける『TASTER'S COFFEE』。店内には、オリジナルアイテムも販売しています。凹んだリブで湯の抜け落ちを防ぐ「CT62シリーズ」や、サイフォンの構造を取り入れた「GX2 V2ドリッパー」など、抽出理論に基づいて設計された器具で、お家でコーヒーを淹れる楽しみを提案しています。
「ここでは、パブリックカッピングやバリスタのポップアップなど、月に一度、気軽に参加できるイベントを開催しています。スペシャルティコーヒーのクオリティの基準を体感することで、コーヒーの選択肢を広げ、より楽しみが増すことを伝えていければ」と小川さん。今後は、コーヒーのラインナップも徐々に幅を広げていく予定とか。訪れるたび、世界のコーヒーシーンに触れられる貴重な一軒です。

『TASTER'S COFFEE』のボトル
鮮度を保つため、アルミ製ボトルで販売するコーヒー豆はプレゼントにもぴったり。
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『TASTER'S COFFEE』のグッズ
プロも注目のドリッパーのほか、店で使用するカップも販売。
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writer

田中慶一

KEIICHI TANAKA

学生時代からのコーヒー好きが高じて、全国各地で訪れた喫茶店・カフェは1000軒超。老舗喫茶から最新のコーヒーショップまで取材に携わり、情報誌を中心に執筆多数。関西の喫茶店の系譜を辿った著書も刊行。