「リゾナーレトマム」、産直過ぎるミルクのジェラートと秋のディナー

北海道に行くなら、星野リゾートが展開する「リゾナーレトマム」をおすすめしたい。そして、夕食にはぜひメインダイニング「OTTO SETTE TOMAMU」へ。北海道の大地の美味を生かしたコース料理のなかで、注目したのはシグネチャーのミルクジェラート。同じ敷地内にある牧場から生まれたミルクで作る、“産直過ぎる”名作だ。味わいの要を深掘りすべく、生産の現場も訪ねた。

コンセプトは “美しい組み合わせ”

「OTTO SETTE TOMAMU」は、鈴木將平料理長が、イタリアのピエモンテ州やリグーリア州などの郷土料理を北海道の食材で表現する端正なレストランだ。
コンセプトは、“美しい組み合わせ”を意味する「Bella Combinazione(ベッラ コンビナツィオーネ)」。旬の食材同士やイタリア郷土料理との掛け合わせ、地元の生産者との協力など、多彩な組み合わせによって、新しいおいしさや、ここだけの味を創り出している。

鈴木將平料理長
鈴木將平料理長。「北海道の食材の良さが印象に残る皿」を意識した料理を提供する。
10
星野リゾート トマム
カラフルな建物はトマム ザ・タワー。その右手に並ぶリゾナーレトマムを中心に、ファームエリアや複数の施設を構える星野リゾート トマム。
10

「ファーム星野」のミルクとコラボ

地元の食材が生み出す華やかな料理が次々と提供されるなかに、ヨーグルトのかかったヴェルッタータ(スープ)、パンと共にマスカルポーネ、ホエイと合わせたモクテルなど、ミルクを使ったメニューが鮮やかに織り込まれている。その真打が、シグネチャーでもあるミルクジェラートだ。口に含むと、ミルクのコクと優しい甘さが余韻を舌に残しながら、ゆっくりと溶けていった。濃厚というよりも軽やかで、お代わりOKというサービスに甘えて、何個も食べたくなるおいしさ。実はこの味、この季節だけのものだという。 その理由は、使われている「トマム牛乳」にある。

「OTTO SETTE TOMAMU」ミルクジェラート
通年、コースの締めはミルクジェラート。カッサータ、ティラミス、パンナコッタをイメージしたトッピングと共に。
10

牧場に潜入。“ブレも個性”なミルクジェラート

実はリゾナーレトマムと同じ敷地内には、約100haの広大な牧場があり、この「トマム牛乳」はそこで放牧されている牛たちからの恵み。こだわりの牛乳が作られるファームを訪ねた。

案内してくれたのは、乳牛を育て、堆肥でまた牧場を豊かにするという循環型農業を目指したプロジェクト「ファーム星野」のリーダー・宮武宏臣さん。牛の管理から、牛乳・乳製品の生産・加工・出荷にまで携わるパワフルな人だ。
この牧場では、ホルスタイン、ジャージー、ブラウン・スイスという3種の乳牛を全50頭放牧しており、それぞれ異なる味の牛乳をブレンドして「トマム牛乳」を生み出している。牧場の近くに搾乳用の牛舎があり、お隣が牛乳工場、さらにその隣がチーズ工房と、とにかくすべてが近い。だからこそ、搾乳の翌日という抜群の鮮度で、星野リゾート トマム内の各施設へ届けることができる。

「OTTO SETTE TOMAMU」鈴木シェフ、「ファーム星野」宮武宏臣さん
シェフに撫でられているのは、ジャージーのラビちゃん。「臆病な子なんですが、今日は積極的に写真に入ってきて、いい仕事しますね(笑)。成長を感じます」と宮武さん(写真右)は優しい視線を向けた。
10

「牛乳は子牛のもので、人間のためのものではありません。だから、夏は喉が渇かないようにさっぱりとした味に、冬は冷えないように脂肪が多くなる。それが放牧だと顕著に出るんです」と宮武さん。それに対し鈴木シェフは、「一般的には均一な味を求められることもありますが、僕たちはそのブレを個性として捉えています。だからジェラートのレシピはずっと同じ。牛乳の味が変わっても砂糖で調整したりはしないです」。
そう、あのジェラートは、訪れる季節によって味が違う特別な一皿なのだ。

「ファーム星野」牛舎
搾乳は朝と夜の2回。
10
「ファーム星野」牛舎
種類や個体、出産の時期にもよるが、1頭あたり1日25~40ℓも採れるというから驚愕。
10
「ファーム星野」チーズ工房
モッツァレラのほか長期熟成タイプなど、5~6種類を製造している。
10

秋のコース、主役は「ELEZO」の鹿肉

「素材を生かす料理を」というシェフの哲学は、秋のメイン「鹿肉と葡萄のアロースト」にも表れている。「秋の鹿は、冬に向けて栄養を溜め込むので、旨みも強い。旬のブドウと合わせたら間違いないと思いました」とシェフ。

扱う鹿肉は、信頼する豊頃町の食肉料理人集団「ELEZO」から、旨みと柔らかさのバランスの良い2才のメスの熟成肉を仕入れている。塩・コショウを振ったら表面をフライパンで焼き、休めてオーブンと予熱でふっくらと火入れ。ブドウはセミドライにして味を凝縮。それらのまとめ役にと、ミルクで炊いただけの根セロリのピュレを敷いた。仕上げはスパイスとスーゴ・ディ・チェルボ(鹿のだしのソース)で。その工程は、本当にシンプルだ。だからこそ、噛むほどに力強い旨みが溢れる鹿肉、フレッシュさを残したブドウ、爽やかな根セロリと、素材そのものの味が一体となり身体に伝わってきた。

「OTTO SETTE TOMAMU」鹿肉と葡萄のアロースト
10
「OTTO SETTE TOMAMU」鹿肉と葡萄のアロースト
秋のディナーコース(全8品)18000円のメインディッシュ、鹿肉と葡萄のアロースト。北海道とイタリアのワインで構成されたワインペアリングは9500円。9月1日~10月31日まで提供。
10

北海道や「ファーム星野」の味をほかでも

ビュッフェやワインハウス、秋限定のアフタヌーンティーなど、リゾナーレトマムで北海道や「ファーム星野」の味に触れる機会はほかにも。ぜひ連泊して、滞在スケジュールに組み込んで。

森のレストラン「ニニヌプリ」
ビュッフェスタイルの、森のレストラン「ニニヌプリ」。夜は「ファーム星野」のチーズを使ったピッツァが名物。
10
TOMAMU Wine House
北海道のナチュラルワインを中心に常時16種類のワインが30㎖400円から楽しめるTOMAMU Wine House。
10
ファームアフタヌーンティー
芝生の真ん中でいただく秋のファームアフタヌーンティーは9月1日~10月15日まで。「ファーム星野」の乳製品を使用した小菓子とセイボリーが全9品。放牧されている3種の牛乳に合わせたミルクティーも。
10

recommend

読まれている記事

『あべのハルカス近鉄本店』お菓子売り場がリニューアル。百貨店初&関西初が続々!

兵庫・伊丹『KUROPURI』。フレンチのシェフが手がける「クロワッサン」と「プリン」の専門店

京都『和菓子&ワイン 養老軒』が届ける フルーツ大福とワインの楽しみ方

「りくろーおじさんのチーズケーキ」おいしい理由&並ばず買える方法も

安田淳一監督【前編】待ってました! 日本アカデミー賞「侍タイ」スピンオフドラマ放送。独占インタビュー

『資さんうどん』広報がこっそり教える!「実はコレも食べてほしい」隠れた名物

『粟玄』の和洋[大阪]老舗おこし屋のモダンな名品

絶対に失敗しない「くたくたブロッコリーのタラコスパゲッティ」『寺町コロンボ』のひと手間レシピ

【番外編】俳優・津田寛治さん絶賛の「おたべ」。進化系、変化球に驚き!

ギネスビールが生む深いコク。大阪・中津『IRISH CURRY』の名物ポークカレー