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【下山go酒場】三徳山・投入堂の修行登山後、倉吉のクラフトビールで酔う/後編

前編で鳥取県三朝町にある三徳山・投入堂で修行登山をこなし、三朝温泉の修行のような熱湯風呂もクリアしたミツルとおばやし。宿泊地である隣町の倉吉に移動し、下山後酒場の条件に合致した『ブリューラボ倉吉』で念願の一杯にありつく。美味なるクラフトビールに気を良くした二人は、倉吉の夜の街で人気酒場にも足を運ぶことに。

【下山後酒場3箇条】
1.遅くとも16時から営業している。土日祝日のみの営業でも可(下山するのはだいたい夕方早めだからね)
2.下山(登山)口から徒歩圏内、あるいは公共交通機関一本で行ける(すぐ飲みたいからね)
3.立ち飲みではなく、椅子席がある(休みたいもんね)

白壁土蔵の歴史風情溢れる倉吉の町並みを散策

ミツル
本来ならば三徳山山麓の三朝温泉で一杯やりたいところですが、残念ながら我々が掲げる下山後酒場の条件に合致する店が見当たらない。そこで今回は隣町の倉吉で一杯やることにします。

登山口の三徳山三佛寺から倉吉はバスで移動できるので「公共交通機関一本で移動できる」を満たしているしね。
おばやし
なんか距離的に無理があると思いましたが、首の皮一枚で条件をクリアできましたね。でも私達みたいに遠方から三徳山登山をして、麓で一杯やるプランを組むとしたら、やはり倉吉泊で考えるのが現実的ですもんね。
ミツル
しかもその他の条件にもぴったり合致し、この土地ならではの味が楽しめる酒場があれば、もう絶対行くしかない!

その酒場がクラフトビール醸造所に併設された『ブリューラボ倉吉』だ。なにせ開店は11時からの通し営業。平日と日曜は18時までですが、金曜と土曜・祝日は20時までなので、週末ならばゆっくりと下山後酒を楽しめる。18時閉店日でも予約さえすれば20時まで対応してくれるというのが、うれしい限りではないか。
おばやし
地方にある小さな町で条件に合う下山後酒場を探すのは、なかなか至難の業ですものね!早速行きましょう!

お店はJR倉吉駅から少し離れた旧市街地にあるのですね。わあ〜、古い木造の家屋や白壁の蔵などが軒を並べ、とても素敵な雰囲気の町並み。倉吉がこんな町だなんて知らなかったです。
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映画のロケ地にもなった倉吉の白壁土蔵群。水路に架かる一枚石の橋が富の象徴でもあった。手前の白い壁の建物が『ブリューラボ倉吉』。白壁土蔵群のほぼ中心部に位置し、もともと病院だった建物をリノベーションして醸造所併設のレストランにしている。
ミツル
倉吉は古くから鳥取県中部の政治・経済・文化の中心地として栄え、江戸時代には武家屋敷が立ち並んでいた歴史ある町。旧市街地には江戸から明治にかけての家屋が残り、重要伝統的建造物群保存地区にも指定されているのだ。赤い石州瓦と蔵の白壁と黒い焼き板のコントラストが誠に美しいではないか。
おばやし
Wikipediaで調べた知識をそれっぽく語るのをやめてもらえません?

あ、ありましたよ『ブリューラボ倉吉』。なんだかレトロな雰囲気でおしゃれだわ〜。こんにちは〜。

伝統的建造物で昼から飲める『ブリューラボ倉吉』

おばやし
店内に入ってすぐがカウンターで、奥にはテーブル席。さらにその先には中庭があって、白壁の蔵の中にもテーブル席があるわ。意外と奥行きがありますね。ではせっかくなのでカウンターに座って、お店の人とお話しながらビールを頂いちゃおうかしら。私は鳥取らしく季節限定の梨ブリュー(330ml880円)を!
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入口にかかる暖簾は複雑な文様が特徴の伝統工芸品・倉吉絣。

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梨ブリュー(左)とペールエール。ほかにもすぐ近くにある酒蔵の大吟醸の酒粕を使った酒粕ブリューなどもある。
ミツル
ようやくありつける下山後の一杯は、ベーシックで飲み飽きないペールエールにします!しかもたっぷり飲みたいから1パイント(568ml1050円)でお願いします!

ぐびぐび〜ぷはぁ〜!あ〜うまいですな〜。軽い口当たりながらコクがあって、何杯でも飲めそうです。
おばやし
梨ブリューは鳥取県産王秋梨のほどよい甘みとジューシーな味わい。一気に飲みたくなるけど、じっくりチビチビといただきますわ。え〜と、アテは何にしましょうかね〜。では本日の盛り合わせ(1650円)をオーダーして、二人でシェアしましょう!
ミツル
こちらのお店は、2020年に代表の福井恒美さんが中心となって仲間を集めて創業。昭和初期の建物を改装し、クラフトビール醸造所兼レストランに仕上げた。恒美さんはもともと農業など、全く別の仕事をしていた異色の経歴の持ち主でもある。

倉吉出身であり、キリンビール創立の発起人の一人で、社長なども歴任した磯野長蔵の功績を知ってほしいという願いも、ここを始めるきっかけのひとつなのである。今まさに「伝統」✕「新しい」をコンセプトに、世界一おいしいビールを目指して、奥さんの千草さんや醸造長の北中佑汰さんと共に日夜汗を流しているのである!
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自らがビールを注いでくれる代表の福井恒美さん。大相撲佐渡ケ嶽部屋をモチーフにしたシャツが目を引く。まだ20代の若き醸造長の北中佑汰さん。本場ドイツで腕を磨くことを夢見ている。
おばやし
しかしまぁ、同店のホームページに書いていることを、よくもスラスラと我が物顔で語れますわね〜。

ワオ!本日の盛り合わせが出来上がりましたよ!私の大好きなソーセージに鳥取名物豆腐ちくわも載ってますわ。ボリューム満点ですね〜。
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ビールによく合うアテが並ぶ本日の盛り合わせ。中央が鳥取名産の豆腐ちくわ。濃い黄金色が特徴のIPA。タイミングさえ良ければ生ホップを追加する「追いホップ」が楽しめることもある。
ミツル
さらに自家製ザワークラウトが付いてくるのもうれしいね。目玉焼きの卵は地元の「いのちの卵」。ビール醸造の工程で残った栄養ある麦芽粕を餌に、平飼いで育てられた鶏が産んだもの。つまり麦芽粕と卵を交換してお客さんに提供しているわけだ。
おばやし
次の一杯は、ゴールデンエール(レギュラー300ml 770円)にしますわ。う〜ん、繊細な味わいでビールが苦手な人にも飲みやすいかも。ぷりっとした食感の豆腐ちくわともピッタリ。
ミツル
私の次の一杯はIPA!大量にホップを使い、苦みがガツンと来るクラフトビール好きにはたまらない味わいです。実はこちらでは3年ほど前から自家製ホップを栽培して、毎年8月末にはフレッシュホップを使用したビールも登場します。ぜひ味わってみたいものですなぁ。

また通常は6種類を「本日のビール」として提供してますが、先ほどの梨ブリューなど季節限定のビールもおよそ4種類をラインナップ。全部飲み干したら、酔いつぶれてしまいそうなので、小グラス3種類飲み比べセット(1100円)などを活用して賢く飲みたいものです。
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中庭の蔵の中にもテーブル席がある。DJイベントなども開催する。広いスペースが確保されているので、ザックなども気兼ねなく置くことができる。タップから提供される本日のビールは黒板に掲げられている。
おばやし
修行登山と熱湯温泉のあとなので、いくらでも飲めちゃいますね!あ〜シアワセ。

それにしてもさっきから気になって仕方がないのが、恒美さんが着ているアロハ風シャツにある「佐渡ヶ嶽部屋」「琴桜」の文字・・・。自称好角家の私にとって、売って欲しいくらいの魅力的なアイテム!
ミツル
何を隠そう2024年に大関に昇進した琴櫻関は、祖父が倉吉出身の第53代横綱・琴櫻(1974年引退、2007年没)なのである。そんな縁もあり、多くの倉吉の人たちは、孫の琴櫻を応援しているとのこと。大相撲開催中はこちらでもテレビで観戦しながら、ビールを楽しめるのだ。
おばやし
なんて素敵な街なの!ぜひ今度は大相撲開催中に足を運びます!

そろそろ日も暮れてきましたし、せっかくなら地元で人気の酒場にも行って、倉吉を満喫したいですわ。いかがです?ちょっとハシゴしたい気分ですわ。
ミツル
望むところよ!では、旧市街地よりも賑わっているとされるJR倉吉駅周辺に移動しましょう。この近くのバス停「赤瓦・白壁土蔵」から倉吉駅行きの路線バスに乗れば10分ほどです。バスの頻度もそれなりにあるので意外と便利です。
おばやし
ろ、路線バス?タクシーでなく?
ミツル
その町を知るには路線バスに乗れ、という格言もある・・・はず。路線バスの移動は、旅情をさらに盛り上げてくれるマスト交通機関だ。つべこべ言わず、さあ行きますよ。
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ブリューラボ倉吉から徒歩約3分のバス停からJR倉吉駅へ向けてバスに乗り込む。

名物女将がいる焼鳥の人気店へハシゴする

おばやし
ふぅ〜倉吉駅に到着!思いの外、路線バスの利用客が多くて驚きました。さあ、どこに連れて行ってくれるのですか?
ミツル
倉吉駅前にほど近い『とり甚』です。地元民はもとより出張のビジネスマンまで、倉吉に関わる全ての老若男女に支持される店です。ほらご覧なさい。我々が予約した席以外は、全部埋まっておる。予約必須の人気店というのが分かるでしょう。
おばやし
ホントだ!オジサマたちばかりかと思えば、若い女性グループもいて客層が幅広い!しかもカウンターやホールで、せわしなく働く男子たちがみんな若くてかわいい!
ミツル
彼ら以上に注目すべきは、焼き場で黙々と串を焼く女将の橋谷省子(せいこ)さんの存在だ。年齢は不詳だが、スタッフの男子を華麗に操りつつ、料理にも集中しておる。かと思えば会計時には、カウンターから出て、お客一人ひとりとコミュニケーションをとる。常人とは思えない視野の広さとバイタリティを持つ女性なのだ。
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この日はたまたまタイミングが悪く、瓶ビールを他社のジョッキで飲む羽目に。それでも許せてしまうほのぼのした雰囲気。香ばしいネギの香りとしっかりとした塩味が、酒を進めるねぎ間を「鷹勇」と共に味わう。
おばやし
ほんとだー。なんか独特のオーラが漂ってます・・・。ともあれ、まずは懲りもせずに瓶ビール(アサヒ、キリン中瓶各750円)から始めましょう!なになに?ちょうどいいグラスがない?うわ、キリンの瓶ビールをサントリーのジョッキで飲むの?

ぷはあ〜。これはこれで飾らない飲み方で楽しいかも!ではアテは、ゲソ(250円、以下各1本)、牛バラ(350円)、せせり(240円)、ねぎ間(220円)、つくね(250円)!そして、シメに焼きむすび(300円)をお願いします〜。
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しっかりした歯ごたえと旨みが特徴のせせり。ボリューム感が嬉しくなるつくねはタレで味わう。
ミツル
ほんと良く食べるね〜。しかもシメに毎度のごとく炭水化物とな。私はビールに続いて、鳥取の地酒「鷹勇」本醸 生貯蔵(300ml 930円)をいただこうかのう。スッキリとした後味で心地よいお酒ですな〜。
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スタッフイチオシのレバー。レアな焼き加減とクリーミーな舌触りがいい。 女将さんの愛情を感じるハート型の焼きむすび…だが、半分に割って食べたおばやし。
おばやし
わ!串が来ましたよ。どれもビッグサイズで食べ応え十分!塩味がストレートにガツン!と利いた味付けで、これはお酒が進むやつ。しかもかわいい男子たちが串を刺してくれている姿を見れば、その味わいもひとしおです。


ミツル

それもそうだが、絶妙な焼き加減と塩加減をコントロールしている女将さんの技ですよ。スタッフおすすめのレバー(340円)なぞ、ほどよいレア感を残した焼き上がりは見事としか言いようがない。そのねっとりとした旨みを「鷹勇」がさらに引き立ててくれる。


おばやし

ほんとどれもおいしいですね〜。あ、女将さんがやってきた!デザートにリンゴのサービスですって?ありがとうございます。しかも予約したから、会計が5%オフ!?なんて素敵なお店なのかしら。人気の理由が分かるかも!


ミツル

それはそうとリンゴを食べる前に、シメの焼きむすびを食べたまえ!

なに?もうお腹いっぱいだから、それを包んでもらって持って帰るだと?これは一度と言わず、何度も三徳山に修行登山して、六根清浄を叩き込む必要がありそうですなぁ…。
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中央が女将の橋谷さん。心温まる接客で親しまれている。ご主人は琴浦町でも同じ店名の『とり甚』を経営している。

profile

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藤川 満

神戸在住のフリーライター。全国各地の低山と酒場をフィールドに飛び回る。日本酒をこよなく愛し「日本酒では全く酔わない」が口癖。編書に「にっぽん百低山 吉田類の愛する低山30」(NHK出版)がある。 instagram@fujikawamitsuru

obayashi

おばやし

兵庫県宝塚市在住の独身アラフォー編集者。酒と酒場好きで、年々大きくなる身体に危機感を覚え山登りに目覚めるが、一向に痩せる気配なし。最後の晩餐は雑煮。

脱力系山歩き酒飲み連載「下山go酒場」

ベテラン酒飲みハイカー・ミツルと、初心者ハイカー・おばやしが下山後の至福の一杯を求めて関西の山を中心に痛快トレッキング。

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