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【下山go酒場】山陰の名峰・大山で絶景ハイクと人気ローカル回転寿司で腹パン酒/前編

「登山の後の一杯は、登頂にも勝る至福の瞬間!むしろそれ目的に山に登る」と語る“酒飲みハイカー”ミツルさんとアラフォーの自称山ガール・おばやしが、初心者向けトレッキングと「下山後すぐに酒が飲める店」を訪ね歩く。
前回、鳥取県三朝町にある三徳山・投入堂での修行登山に挑んだおばやし。その結果、悟りを開くどころか、欲望のまま飲み食いを続け、もはや以前のダイエット宣言は形骸化。気持も新たに次に挑むのは日本百名山の大山。下山後の一杯は、鳥取県民が熱愛するという噂のローカル回転寿司と聞き、再び食へのモチベーションが高まる。一方の登山に関しては、1709mという標高に若干不安を抱いているようだ。

【下山後酒場3箇条】
1.遅くとも16時から営業している。土日祝日のみの営業でも可(下山するのはだいたい夕方早めだからね)
2.下山(登山)口から徒歩圏内、あるいは公共交通機関一本で行ける(すぐ飲みたいからね)
3.立ち飲みではなく、椅子席がある(休みたいもんね)

歩きやすいがひたすら登りの夏山登山コース

ミツル
大山登山口にやってまいりました!今回は最もポピュラーな夏山登山コースを登っていきます。そして下山後は、米子市内にある鳥取県民絶賛のローカル回転寿司で一杯やります!

まずは大山寺の参道から登山口に向かって進んで行きましょう。しばらくすれば堂々たる大山の姿が森の先に見えます。さすがは日本百名山のひとつ。登山欲をそそられますね〜。
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左登山口周辺から見える大山。右は入山届を記入して投函するおばやし。
おばやし
たしかにすごい迫力!あんなところまで私が登ることができるのかしら。それに標高が1700m超えって、なんだか大変そう・・・。
ミツル
登山口周辺の標高は、すでにおよそ800m。標高差約900mと考えれば六甲山最高峰に登るようなものです。しかも夏山登山コースは地元の小学生ですら遠足登山で登る道。これまで鍛錬を積んできたおばやしさんなら大丈夫でしょう。ただし油断は禁物。しっかりと装備を整えて挑みましょう。
おばやし
はい!登山口近くの駐車場でトイレを済ませて、入山届を提出してと・・・。では行きますか。あ〜下山後の回転寿司が楽しみだわ〜。
夏山登山口にある旅館『雪花荘』で登山用のおにぎり弁当を受け取ってからスタート。夏山登山コースは、しっかりと整備され迷うことはない。1合目から始まり、10合目(弥山山頂)まで続く道標を励みに登り、絶景が展開する山頂を目指す。下りは同コースをピストンする登り3時間、下り2時間半の行程。下山後は登山口にある温泉で汗を洗い流し、お土産を物色。車で米子市内へ移動し、地元で人気の回転寿司店へ。
おばやし
げげげ。スタートからどこまでも続く石段!歩きやすいのはいいですけど、先が思いやられるわ〜。

周囲はヒノキの巨木が立ち並び、どこか厳粛な雰囲気。ところどころに石垣が現れて、昔からこの道が使われていたのでしょうね。
ミツル
この周辺にはかつて大山寺の100を超える僧坊が立ち並んでいた。それだけ大山が古より厚い信仰を集めていたのが分かろう。文豪・志賀直哉もこの地に宿泊し、大山に登って、その経験を元にあの名作「暗夜行路」を書き上げたことは有名じゃ。
おばやし
さっき看板に書いてあったやつね。

ふぅ。ベンチのある開けた場所に出ました〜。早速休憩しよっと!って、まだ一合目にも到達してないの!?うそでしょ?
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一合目周辺のどこまでも続く石段を登っていく。一合目手前の阿弥陀堂で早くも息が上がりうつむき加減のおばやし。
ミツル
登山口からわずか15分で休憩とは、相変わらず成長が見られないですな。この阿弥陀堂がある休憩スポットのすぐ先が一合目です。ここからは石段ではなく、横木で作られた階段になります。森もヒノキから徐々にブナなどの広葉樹になり、明るい森へと変化していきますよ。
おばやし
確かに気持ちの良い森だわ〜。それに道沿いにはかわいいアジサイが顔を出して癒やされる〜。
ミツル
大山の二合目周辺から上に広がるブナ林は、西日本最大級の規模。しかも太平洋側と日本海側のブナ林のそれぞれの特徴を併せ持っているのが大山のブナ林。その多様性から生き物の宝庫でもあり、昆虫は1000種類以上、野鳥に至っては日本に生息する3分の1の種類が生息するとも言われているのだ。
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二合目周辺から上に広がるブナ林。登りが続くものの道幅は広く歩きやすい。
おばやし
ハイハイ分かりましたよ。え〜と、ここが三合目。一合を15分刻みに登って、結構順調なペース!さてと休憩休憩。ドライフルーツでも食べよっと。ファミマの桃のドライフルーツが私のお気に入り!
ミツル
相変わらず食べることには貪欲ですな。もう少ししたら五合目で行者谷コースと合流します。そして避難小屋のある六合目では、迫力ある山頂と日本海を眺めることができますよ。さあ登れ登れ!
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三合目で行動食のドライフルーツをたべるおばやし。登山道沿いには様々な色をしたアジサイが姿を見せる。

花々が彩る山頂で巨大おにぎりと絶景を堪能

おばやし
どっこいしょっと。五合目からはちょっと傾斜がきつくなるけど、道はしっかり整備しているから、なんとか登れます!

周りの木も少し低くなって、空が近くなった気がします!爽やかな風も吹いて、気持ちいい!あ、やりました〜、六合目に到着です!避難小屋の前でみんなが休憩してますわ。それに眺めもいい!
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六合目にある避難小屋からの眺め。右端の最も高いピークが大山山頂(弥山)。 七合目から続く急登に挑むおばやし。体力を消耗するが眺めはいい。
ミツル
ほぼ中間地点となる六合目は、休憩スポットに最適な場所。弥山山頂から標高1729mの剣ヶ峰に連なる山並みが迫るように展開し、視線を転じれば美しい日本海の姿も確認できますよ。

さあ七合目からはぐっと斜度が増し、足場の悪い急登になります。気合を入れつつも、休み休み行きましょう!
おばやし
むむむ。確かに登りごたえがあります。小学生は本当にこの山に登っているのかしら。ふぅ〜やっと1500m超えました!あ〜しんど。うわ〜、いつの間にか雲の上まで来てますね!

お!ついに八合目!ここからは稜線に整備された木道歩きになりました。木道の両側にはダイセンキャラボクの群落が広がって、色とりどりの花も咲くお花畑になってます。素敵!

まさにこの木道は、天空の散歩道、いや天空の架け橋、そう天空の桟橋だわ!あ!山頂避難小屋が見える!山頂はもうすぐそこですね。
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稜線に整備された木道を歩く。背後には米子の町並みが広がる。
ミツル
確かにこの木道歩きはテンション上がりますね〜。ただし、木道は狭いので、他のハイカーとすれ違う時は、譲り合って進みましょう。
おばやし
やった〜!登頂成功!すごい!この眺めはまさに絶景。眼下には米子平野と日本海。さらにその先には島根半島も見えます。

日本海の反対側はどこまでも連なる中国山地の山々。360度が見渡せるパノラマに感動です!さすがは日本百名山!

しかも山頂付近は木道が階段状に広がって、まるで天空を見渡す舞台の客席みたい。腰掛けるのにもちょうどいいから、登山口の近くで買ってきた「爆弾おにぎり弁当」をここで食べましょう!

うわ〜、でか!これはマジで爆弾!一個でもお腹いっぱいになるボリューム。それにひとつのおにぎりに昆布、ちりめん山椒、梅の具材が3つも入ってます!こりゃ大満足。せっかくなのでもう一個も食べちゃおっと!
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ウッドデッキのように整備された木道が広がる山頂。山頂避難小屋にはトイレ(使用する際は協力金として500円必要)もある。

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山頂付近を彩る花々。Webサイトから予約できる『雪花荘』の爆弾おにぎり弁当は680円。
ミツル
すごい食欲ね・・・。一休みしたら、下山を始めますよ。下りもたっぷり2時間半かかりますからね。気合を入れ直してくださいよ!
おばやし
はいよーっ!
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無事山頂に立ち意気揚々とするおばやし。

ひとっ風呂と土産物色に事欠かない登山口周辺

おばやし
下山も結構疲れました・・・。ほんとに登りと同じコースなのか?と思えるくらい、だらだらと長く感じましたよぅ。最後の石段は、微妙に歩幅と合わなくてリズムが狂って余計シンドイ。
ミツル
そう、下りこそ慎重に。疲れが溜まっているから、踏ん張りが利かなくなって怪我をしがちですから。でも、なんとか無事に戻ってこれましたね。ご苦労さまです。
おばやし
はい!お疲れ様でした。下山届を提出して、ミッション完了!っと。
ミツル
では、せっかくなので登山口のすぐ近くにある日帰り入浴施設・大山火の神岳温泉豪円湯院に立ち寄って、汗を洗い流しましょう!
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大山寺参道沿いにある豪円湯院の入浴料は中学生以上790円。源泉水を飲むこともできる。湯上がりには自慢の豆乳も味わいたい。
おばやし
(入浴後)あ〜気持ちよかった。豪円湯院は大山に一番近い入浴施設で、下山後の立ち寄り湯にちょうどいいですね。地下1200mから湧く無色透明のお湯は、弱アルカリ単純温泉。さらりとした肌触りでさっぱりします。露天風呂からは緑が見えて、身も心も癒やされました。
ミツル
湯上がりに味わう豆乳もおすすめ。源泉を使用して作られた豆乳は、大豆のコクがありながら、スッキリした味わいなのだ。有数の豊富な大山は古くから豆腐作りも盛んだったのですよ。
おばやし
大山のお土産も買わないといけませんね。豪円湯院の隣にある『大山参道市場』にも寄ってみましょうよ〜。
ミツル
『大山参道市場』は、大山とその周辺の特産品を豊富に取り揃えている。焼き立てのパンが楽しめるベーカリーカフェ『SANDO』も併設して、登山や下山の前後のショッピングに便利な施設なのだ。
おばやし
うわ〜、どれもこれも魅力的で何を買うか迷っちゃいます!ちょっとした山の道具も扱っているので、登山客にはありがたい存在ですね〜。

え〜と、大山そば、白バラ牛乳のかりんとう、大山のハトムギ茶、それになんかよく分からないけど、巨大な鳥の置物まで買っちゃいました!

ミツル

…その置物、本当にいるの?

おばやし

ええ、連れて帰らぬわけにはいかない可愛さがありましたから。ミツルさんこそ何を買ったのですか?

ラベルもついてない安いそばに、お買い得の規格外のせんべい詰め合わせ!? 相変わらずケチくさい買い物しますわね〜。

ミツル

名より実を取るを実践したまでよ。さてと買い物も済んだし、下山後酒場が待つ米子市に向けて出発しますよ。夏山登山口から米子市中心地まで車でわずか30分。ホテルに荷物を預けたら、酒場へと直行です!

後編へつづく。
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特産品だけでなく大山山麓で採れた小麦を使ったパンや軽食を提供するカフェも併設している『大山参道市場』。

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藤川 満

神戸在住のフリーライター。全国各地の低山と酒場をフィールドに飛び回る。日本酒をこよなく愛し「日本酒では全く酔わない」が口癖。編書に「にっぽん百低山 吉田類の愛する低山30」(NHK出版)がある。 instagram@fujikawamitsuru

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おばやし

兵庫県宝塚市在住の独身アラフォー編集者。酒と酒場好きで、年々大きくなる身体に危機感を覚え山登りに目覚めるが、一向に痩せる気配なし。最後の晩餐は雑煮。

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【下山go酒場】山陰の名峰・大山で絶景ハイクと人気ローカル回転寿司で腹パン酒/後編  

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