
【下山go酒場】山陰の名峰・大山で絶景ハイクと人気ローカル回転寿司で腹パン酒/後編
前編では中国地方最高峰の名山・大山を満喫したミツルとおばやし。下山後は大山登山の拠点となる米子市内へ足をのばし下山後酒場を目指す。鳥取県民から直接仕入れた情報によると、地元で絶大な人気を誇る回転寿司店があるらしい。しかも昼から夜まで通し営業らしく、下山後酒場の条件にも合致する。日本海の幸をリーズナブルに満喫できると聞けば、二人の鼻息は自然と荒くなる。
【下山後酒場3箇条】
1.遅くとも16時から営業している。土日祝日のみの営業でも可。(下山するのはだいたい夕方早めだからね)
2.下山(登山)口から徒歩圏内、あるいは公共交通機関一本で行ける。(すぐ飲みたいからね)
3.立ち飲みではなく、椅子席がある。(休みたいもんね)
【下山後酒場3箇条】
1.遅くとも16時から営業している。土日祝日のみの営業でも可。(下山するのはだいたい夕方早めだからね)
2.下山(登山)口から徒歩圏内、あるいは公共交通機関一本で行ける。(すぐ飲みたいからね)
3.立ち飲みではなく、椅子席がある。(休みたいもんね)
発想の転換で米子で回転寿司を酒場使い
- ミツル
- 米子市内にやってまいりました。さすがは山陰一の経済都市、酒場も豊富にありますね〜。しか〜し、中心部で16時から営業している酒場は意外に少ない。
- おばやし
- 確かに・・・。それに、せっかくなら米子らしいお店に行きたいわん。
- ミツル
- そこで今回は事前に鳥取県民の方に聞き込みして、地元で絶大な人気を誇るローカル回転寿司店『すし弁慶』で下山後の一杯を敢行することにする!時に居酒屋の枠に縛られず、柔軟な発想で事に当たるのも重要なのだ。
- おばやし
-
(その情報を仕入れたの私な…)
いや駅から徒歩15分て・・・下山後の身にはちと厳しい・・・。
- ミツル
- 何を言っておる!「登山とは下山後に酒場まで行くことだ」と先人が言葉を残している。それを踏まえたうえで体力の配分をするのが、一流のハイカーなのである。
- おばやし
- (疲れてんのにホントうるさい…)ま、タクシーを使っても1000円もかからない距離。皆さんは無理せずタクシー移動をおすすめしますわよ〜!
行列必至のデカネタが魅力『すし弁慶』と米子の夜
- ミツル
-
やってまいりました!『すし弁慶』!週末は行列ができる人気店ながら16〜17時くらいならスムーズに入店ができることが多い。これはつまり、夕方早くに下山するハイカーのための配慮と言っても過言ではない。
大山登山を計画中の皆さんには、ぜひとも『すし弁慶』の入店時間から逆算した登山計画を練っていただきたい。
- おばやし
-
お店側が配慮したのではなく、ただ単に平日の16時くらいから寿司を食べて酒を飲むような飲んべえが少ないだけの話でしょ?でも、入店時間から逆算した登山計画はアリかも? せっかく米子に来たのだから、たっぷり山陰の海の幸を味わいたいもの。
ミツル
見たまえ、この清潔感のある店内、そして先程述べたように、お客さんも少なめで、ゆったりと寿司を楽しめそうではないか!
- おばやし
-
(この喋り方なんなんだろう…)大手チェーン店とは違って、コンパクトな造りですね〜。回転寿司店とは言え、どこかアットホームな雰囲気はやはりローカルチェーンならではかも。
あ、カウンターの中では職人さんがサクから寿司ネタを切ってます!わわわ〜向こうでは厚焼玉子を焼いてます!これは楽しみだわ!
さてと、タッチパネルで注文注文!ふむふむ、お寿司は一皿基本的に2貫で120円から620円までということね。それでは、まずは生ビール(520円)を2つとマグロ三昧(3貫420円)、新商品のカニ茶碗蒸し(350円)、ムラサキイカ竜田揚げ(350円)をチョイス!ビールが進みそうな揚げ物もしっかりあるのが嬉しい!
ミツル
寿司屋で最初から揚げ物かい!では私は境港産黒鯛ガーリックバター炙り(330円)に、思い切って<極上>中トロ(440円)にしておこうかのう。
おばやし
では乾杯〜!たはーーー!やっぱり下山後のビール、しかも大山のハードな山登りの後は最っ高!しかも見て下さいこのマグロ三昧のネタの一つ一つの大きさ!中トロは程よく脂がのって美味。茶碗蒸しもしっかりカニの身が入って食べ応えあり。もうこれだけに人気の秘密が分かるわっ!
- ミツル
-
黒鯛ガーリックバター炙りは、さすが地元境港産だけあって、クロダイの身がぷりぷりしておる。バターとともに炙ったことで香ばしさがプラスして、う〜んビールが進む!
『すし弁慶』はこの道笑町店以外に、鳥取・島根で『回転寿司 北海道』という名の回転寿司店を5店舗展開しているのだ。山陰にありながら「北海道」という店名は、もともと先代の社長で創業者が、機械化や効率的なシステムを導入した北海道の回転寿司店でノウハウを学び、それにちなんでのこと。
当初は北海道からネタを仕入れていたが、近年は境港を中心に地元の魚にも力を入れるようになった。人肌にこだわったシャリ、さらに大きなネタを目の前で切り分けるといった、エンターテイメント性が受けて、山陰屈指の人気ローカル回転寿司チェーンへ成長したのである!
人気のネタのひとつであるマグロは、毎年5〜7月頃は境港の競りに参加して生本マグロが味わえる。それ以外の時期でも全国から選りすぐりのマグロを仕入れているのだ。
- おばやし
-
さっきからなんなんですかその口調…。で、受け売りの口上もう終わりました?
え〜と次のお寿司は、やっぱり超<特製>厚焼玉子(190円)ですね!さらに日本海らしく紅ズワイガニ(420円)、生ズワイガニ(620円)もいただきますわよ!
この厚焼玉子、すごい分厚いし、ちゃんと中にシャリも入っている!カステラのような甘さもあるけど、だしの味わいもします〜。そして生ズワイガニの甘くみずみずしい。さすがですわ!
- ミツル
-
私は鮮魚軍艦(190円)に〈漁師風〉イカ醤油漬け(190円)をいただくことにしましょう。
鮮魚軍艦はその日のネタに使った魚の数種類を切り落として盛り付けた一品。今日はシマアジとカンパチなどがのって、非常にお得!イカの醤油漬けも沖漬け風の味で日本酒が飲みたくなるのう。
- おばやし
-
前編に続き、注文からそこはかとなくミツルさんのケチ臭さが漂いますね!せっかくなら豪華なネタを頼めばいいのに。
ふぅ〜私はもうお腹いっぱい!今日もハードな一日だったし、なんだか眠たくなっちゃった・・・。ここは滋養強壮として、東郷湖産鬼蜆使用のシジミ汁(350円)をいただきます!
ミツル
米子の夜は、まだまだこれからです!あ、そういやまだ鳥取の地酒を飲んでない。すし屋のあら炊き(330円)をつつきながら、日本酒・鷹勇で締めるとしますかね。
- おばやし
-
それにしても大きくて鮮度抜群のネタ、しかもリーズナブルとなれば人気になるのは当然ですね。米子駅からちょっと離れているけど、来る価値はある下山後酒場!注意すべきは人気店だけに60分の制限時間があることですね。
それではごちそうさまでした〜!
さあて、お腹も満たされたけど、もうちょっと米子を楽しみたいわ。お魚はたっぷり食べたから、ちょっとお肉も食べたい気持ち・・・。
ミツル
その底知れぬ食欲には呆れますね・・・。では米子駅前に戻って、鳥取和牛をアテにもう一杯やるとしますかね。実は駅前に、鳥取産のお肉がちょこちょこ食べられる焼肉店『もくちゃんホルモン店』という店がある。オープンして1年半ほどだが、人気を集めている店なのだよ。
- おばやし
- (もくちゃんホルモン店に到着)こんばんは〜。カウンターだけの小さいお店だけど、どこかノスタルジックな雰囲気で落ち着きますね!え〜と飲み物は、私は疲労回復のためクエン酸の摂取を目指し男梅サワー(500円)とサガリ(1200円)とツラミ(770円)をいただきますわ。
- ミツル
-
私はやっぱり瓶ビール(630円)で決めたい。そしてアテは希少部位のコリコリ(600円)にします!
お!突き出し(330円)が出てきましたよ!今日は鳥取県産豚のもくちゃんタンです。ガーリックパウダーと一緒に焼いて、好みに応じてレモンで味わいます。大量のガーリックパウダーに一瞬怯みますが、食べてみると香ばしくてお肉の味を引き立てる。タンの歯ごたえもいいですねぇ。
コリコリは、その名の通りコリコリした食感が心地よくアテとして最高!あ〜やっぱり日本酒も飲みたくなってきた。では、鷹勇なかだれ純米吟醸(800円)をお願いします。う〜ん上品な味!
- おばやし
-
サガリもツラミも柔らかでいくらでも食べられちゃいそうだわ。鳥取県って海の幸だけでなくお肉もおいしいのね〜。
さっきまで疲れて眠かったけど、お肉を食べて元気が出てきましたよ!なになに?ソース焼きそば(720円)にもくちゃん冷麺(880円)もあるわ!それにたまに鳥取名物牛骨ラーメンもあるみたい!頼んじゃおうかな〜。
- ミツル
- まだ食べるんか!私はもう少し米子の夜の街を散策することにしますよ。では、また明朝!
雄大な大山を眺めつつドライブ気分で観光
- ミツル
-
(一夜明けて)昨日は大山登山に下山後には寿司と焼肉を堪能できて、大満足の遠征でしたね。さて今日は帰るだけなのですが、せっかくなので寄り道をして帰ろうと思います。
まずは鳥取発祥の白バラ牛乳を使ったソフトクリームが食べられる農産物直売所『ふれあい村アスパル』。続いては大山山麓にある植田正治写真美術館!植田正治は鳥取が生んだ世界的写真家です。生涯鳥取を離れず、空と海、そして砂丘を背景にした独特の演出写真で知られています。
大山で足腰を鍛え、下山後酒場で地元の恵みを堪能し、最後は芸術で感性に磨きをかける。これぞ、酒飲みハイカーの理想的な旅の姿と言えよう。
おばやし
ミツルさんの言動からは何ひとつ芸術性を感じることがないですが・・・。
(ふれあい村アスパルにて)うわ〜、店内にはあれこれ目移りしちゃいそうなほど、新鮮でリーズナブルな野菜が並んでますわ! あ、ありました『白バラみるくショップ』!
白バラ特製ソフトクリーム(400円)は、大山山麓にある人気レジャー施設『大山まきばみるくの里』を含む直営店だけでしか提供していない限定品らしいです。白バラ牛乳を使ったソフトクリームは濃厚でいて、すっきりとした甘さ。う〜ん満足満足。
- ミツル
-
私はいくつか野菜を買って帰りますよ。さて、植田正治写真美術館へ向かいましょう!
おばやし
(植田正治写真美術館にて)見てくださいよ、この風景!美術館の前の畑にはヒマワリがたくさん!その背後には昨日登った大山がそびえて、絵画のような風景ですわ!ステキ〜!
それに館内からも大山を望むことができます!じっくり作品を鑑賞しよっと。
- ミツル
-
数ある植田正治の作品の中でも、鳥取砂丘を舞台に人をオブジェのように配置した「砂丘シリーズ」は有名。前衛的な作風のものから、どこか温かみを感じさせる人物写真まで、幅広い作品が並んでいる。
中でも私が一番好きな作品は、奥さんと子どもたちをモデルに撮影した「ボクのわたしのお母さん」。子どもたちがお母さんの着物の両袖を引っ張り合う、ほほえましい風景に心打たれ、つい涙が止まらなくなる・・・。
おばやし
ふ〜んそうなのですね・・・。でも、モノクロ写真なのに古さを感じさせない感性は流石ですね!現代にも通用するおしゃれな写真もたくさんありますね〜。時間を忘れて見入っていまいます。
でもそろそろ帰らないと・・・。大山はもちろん、その麓周辺も季節が変われば、また違った風景が楽しめそうですね。今度は秋の紅葉時期に来ようかしら。ミツルさん、また連れてきてくださいね〜。
profile

藤川 満
神戸在住のフリーライター。全国各地の低山と酒場をフィールドに飛び回る。日本酒をこよなく愛し「日本酒では全く酔わない」が口癖。編書に「にっぽん百低山 吉田類の愛する低山30」(NHK出版)がある。 instagram@fujikawamitsuru

fujikawa
おばやし
兵庫県宝塚市在住の独身アラフォー編集者。酒と酒場好きで、年々大きくなる身体に危機感を覚え山登りに目覚めるが、一向に痩せる気配なし。最後の晩餐は雑煮。
data
- 店名
- すし弁慶 道笑町店
- 住所
- 鳥取県米子市道笑町4-137-1
- 電話番号
- 0859-23-6781
- 営業時間
- 11:00〜21:45(LO)
- 定休日
- 無休
- 交通
- JR米子駅から徒歩15分
- 席数
- カウンター19席、テーブル24席
- 店名
- もくちゃんホルモン店
- 住所
- 鳥取県米子市明治町102
- 電話番号
- 0859-33-9020
- 営業時間
- 18:00〜23:00
- 定休日
- 無休
- 交通
- JR米子駅から徒歩3分
- 席数
- カウンター10席
- 店名
- 白バラみるくショップ
- 住所
- 鳥取県西伯郡日吉津村日吉津1450 JAグリーン西部ふれあい村「アスパル」内
- 電話番号
- 0859-27-0313
- 営業時間
- 9:00〜17:00
- 定休日
- 無休 ※1/1~3を除く
- 交通
- JR米子駅から車で17分
- 店名
- 植田正治写真美術館
- 住所
- 鳥取県西伯郡伯耆町須村353-3
- 電話番号
- 0859-39-8000
- 営業時間
- 10:00〜17:00
- 定休日
- 火曜(祝日の場合開館、翌日休館。展示替え時期と12/11〜2月末は休館)
- 交通
- JR米子駅から車で20分

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