門上武司の旅vol.16:山村の生産者と訪問者を共に喜ばせるオーベルジュ、徳島『ペルトナーレ』
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四国イチ小さな町のオーベルジュ
仕事柄、日々全国を旅しているが、四国に足を踏み入れる機会は少ない。食いしん坊が足を向けたくなるような情報がなかなか届いてこないのだ。かつては香川に何度も通ったレストランもあったが、シェフが東京に移住し、レストランの形態も変わって、訪れることがなくなった。
ところが今回、僕が愛してやまない、東京・国領にあるイタリア料理店『ドンブラボー』のシェフ・平 雅一さんから「徳島に素敵なイタリアンを出すオーベルジュがありますよ。この前、行ってきたんです。門上さんもぜひ!」と強力な推薦を得た。平さんが薦めるならと徳島・上勝町まで足をのばしたのだった。
京都から名神・中国道などを経て、淡路島を縦断し、徳島に渡る。そこから県道で小一時間ほど山中に分け入れば現れる、四国でいちばん小さい町と言われる山村に、『ペルトナーレ』はある。
“媒介者”としての料理人
旧い民家を改築した建物の1階には、L字型のカウンター。中には焼き台があり、折しも夕食どき、表原シェフが機敏な動きを見せている。このライブ感と、日本家屋ならではの温かな雰囲気にひたりながら食事を楽しめるのは、ここならではの特長と言えるだろう。
この日、僕はランチコースを選んだ。コースはメインを選択できるプリフィクスというスタイルを採っている。
まずは、柿とストラッチャテッラのサラダだ。柿は、地元で取れる刀根柿(とねがき)。これに、細かく割いたモッツァレラチーズと生クリームを混ぜ合わせたストラッチャテッラ・チーズを絡める。柿の甘さとチーズの酸味、コクが見事な調和を生み出している。心地良い幕開けとなった。
続いては、モクズガニの手打ちタリオリーニである。ソースはモクズガニの味噌とスダチ。
カニ味噌の濃厚な旨みをスダチの酸味が引き締めて、いいアクセントになっている。タリオリーニの弾力のある歯応えとカニ身の味わい、ソースが三位一体となって、食べ手の気持ちを高めてくれる。
「柿もそうなんですが、町周辺の食材の作り手は高齢化でだんだん少なくなっています。生産の現場を活性化させるためにも、僕たちが率先して使っていかなければ。この場所で仕事をする者の役割だと思っています」と表原さんは語る。食材の生産者を潤し、その食材を目当てに訪ねる人を集める、その循環の媒介者としての料理人、という自負がビシビシと伝わってくる。
名店の薫陶をうけ、地産地消の先へ
次はアメゴのソテーである。アメゴは、四国に生息湖川が多い淡水魚。上勝町では勝浦川という清流で獲れるそうだ。シンプルなソテーで味わう。皮目をしっかり焼いてあるアメゴに対して、野菜はほぼ生に近い状態で、噛めばあふれる旨みや水分がソース代わりになる。
「この地で取れる川魚がメインで、海の魚はほぼ使いません」。牛肉は黒毛和牛の阿波牛がメインで、ジビエ類については北海道から鹿を送ってもらうこともあるという。
出身は、ここ徳島。この町のために自分ができること、やるべきことは何か、毎日模索中だと語る表原さんは、地産地消のその先へとエネルギーをみなぎらせる36歳。これから何度も四国へ渡って、じっくり付き合っていきたい一軒である。
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- 店名
- ペルトナーレ
- 住所
- 徳島県勝浦郡上勝町福原古川71
- 電話番号
- 080-3165-7153
- 営業時間
- ランチ/土~月曜12:00~15:00(13:00LO)ディナー/水~日曜18:00~22:00(21:00LO)※バータイムは23:00LO
- 定休日
- 火曜、不定休あり
- 交通
- JR徳島駅から車で1時間
- 席数
- カウンター8席、テーブル4席
- メニュー
- ランチコース7700円、ディナーコース12500円(アラカルトでの注文も可)。
- 公式サイト
- https://pertornare.jp/
- https://www.instagram.com/pertornare/

writer

門上 武司
kadokamitakeshi
関西の食雑誌「あまから手帖」編集顧問。年間外食350日という生活を30年以上続けるも、いまだ胃袋健在…。ゆえに食の知識の深さはいわずもがな。
食に携わる生産者・流通・料理人・サービス・消費者をつなぎ、発信すべく、日々奔走している。
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