柄本 佑さん【後編】「おいしいものほど、食べ終わるのが寂しい。面白い映画みたい」
我々が関西の媒体と聞いて、すぐさまそんなふうに話し始めてくださった柄本 佑さん。
前編 では、最多出演を誇る源 孝志監督との映画づくりを通して、映画『木挽町のあだ討ち』の魅力をご紹介しました。
作中の料理から話題は広がり、後編では柄本さんの「食」へのスタンスや、お気に入りのお店のこと、プライベートでの料理のことまでたっぷりお話していただきました。
食べることは、一日の楽しみランキング1位
――『木挽町のあだ討ち』の食事シーンを観て、改めて料理には人の心やその場の空気を和ませる力があると感じました。柄本さんの中で、「食」はどういったツールとして捉えていらっしゃいますか?
- 柄本:
- 「口悦(こうえつ)」って言葉があるくらい、食べることって儚いものだなって、いつも思います。おいしいものほど、食べ始めると「ああ、もう食べ終わっちゃう……」って終わりを意識するから。それって、面白い映画も同じなんですけど。面白い映画ほど、観終わったときの淋しさが押し寄せてきちゃう、みたいな。
――永遠に続くわけではないからこそ。
- 柄本:
-
そう。しかも、食べられる量も決まってるわけじゃないですか。いくらでも入るわけじゃないから、僕の中では「食」って一日の楽しみの割と上位に……、いや、1位だな。うん。何かを食べることって、すごく好きです。
若い頃はね、お弁当を10分くらいで食べて30分ほどガーっと寝たら超回復してたんですが、加齢と共に、なかなか超回復まで至らないことが増えてきて。
何かを食したら2時間くらい休憩欲しいなって思うようになってきたので、撮影に入るとあまり固形物を食べることがないんですよ。低血糖になったら辛いので、そんなときは果物を食べるくらい。だから、撮影が終わった後の食事を楽しみにしてたり。それが僕にとってすごく幸福な時間なんですよねぇ。
源監督と初のサシ呑み!印象的な2軒とは
――以前、とある番組で人生最高の一品として『スマート珈琲 太秦店』の名物「たまごサンド」をご紹介されていたことがありましたが、京都での撮影期間中の外食事情はいかがでしたか?
- 柄本:
-
みんな撮影の時間がまちまちで、出演者で揃って食事に行く機会がなかったんですが……。
監督とは、クランクインの前に東京で1回、京都で2回ご一緒させていただきました。実は、源監督作品には多く出させていただいてるんですけど、いままでサシで呑みにいったことが一度もなくて。
――念願の、初サシ呑みですね!
- 柄本:
-
監督もいっぱいおいしいところを知ってるから、連れていっていただいたところは僕にとって印象的な店になりました。
京都は、東大路通丸太町東の鉄板焼き『からす』と、その近くにある『聖護院 嵐まる』っていう日本料理のお店。源監督の撮影は京都ばかりだったので、これまでも何人かで一緒にごはんを食べることはあって、その都度、「本当においしいところを知ってるな、この人は……」と唸らされています。
マイブームは、お米を研いでごはんを炊くこと
- 柄本:
-
何年か前に思いついたミートソースのレシピがあるんですけど。ある日突然降りてきたレシピ通りにつくってみたら、まあおいしくて。それをいまだに続けてますね。それをたまにカレーにしてみたり、余ったらカレーうどんにしたり。
料理することで思うことは、奥さんのすごさ。毎日それをやるって。しかも、冷蔵庫にあるもので。僕がたまにやるときには気負って、買い物に行って、取りかかりますけど。それとは全然違うからこそ、いまの憧れとしては、冷蔵庫の中の材料でパパッとつくれるようになりたい。
――あるものでパパッとは、本当の料理上手ですね。
- 柄本:
- それと、僕がハマってやってることと言えば、お米を炊くこと。何だか心が洗われるような気がして。生米を研ぐって、ものすごく精神上いいなって最近思ってます。妙に落ち着くんですよね。
――土鍋で炊くんですか?
- 柄本:
- 土鍋のこともありますけど、それは特別なとき。普段は炊飯器を使っています。ただ、炊飯器にしたって、ちゃんと米研いで炊くってことが、僕にとっていいムーブですね。
――食の話題が盛り上がり、メインカットの撮影をしながらも“おふくろの味”について教えてくださった柄本さん。
お母さまのアルバイト先の賄いをアレンジした「スタミナうどん」(具はトマト・ニラ・にんにく・もやし)や、「包むのが面倒くさいってなって、餃子の中身を中華鍋でそのまま炒めてごはんにぶっかけて、酢醤油かけて食べる。うちでは餃子丼を略して“餃丼(ぎょうどん)”って言ってる(笑)」といった“おかあちゃん話”で、やわらかい笑顔をたくさん見せてくださいました。
そんな柄本佑さんが主演を務める映画『木挽町のあだ討ち』は、2月27日全国公開です。どうぞお見逃しなく!
- 作品データ
- ■タイトル:木挽町のあだ討ち ■原作:永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(新潮文庫刊) ■監督・脚本:源孝志 ■出演:柄本佑 長尾謙杜 北村一輝 瀬戸康史 滝藤賢一 山口馬木也 愛希れいか イモトアヤコ 野村周平 高橋和也 正名僕蔵 石橋蓮司 沢口靖子 渡辺謙 ■公開表記:2026 年 2 月 27 日(金)全国公開 ■配給:東映 ■コピーライト:©︎2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 ©︎2023 永井紗耶子/新潮社 ■映画公式ホームページ:https://kobikicho-movie.jp ■映画公式 X:https://x.com/kobikicho_movie ■映画公式 Instagram:https://www.instagram.com/kobikicho_movie
profile

俳優
柄本 佑
東京生まれ。映画『美しい夏キリシマ』(2003年/黒木和雄監督作品)の主演でデビュー。 2018年に公開した『きみの鳥はうたえる』などでキネマ旬報ベスト・テン主演男優賞ほかを受賞。2023年には監督作品、短編集『ippo』が公開された。2024年にはNHK大河ドラマ『光る君へ』で主人公・紫式部の生涯にわたるソウルメイト・藤原道長役でも話題に。公開待機作として『メモリィズ』(2026年6月/坂西未郁監督)、『黒牢城』(2026年/黒沢清監督)がある。

writer

椿屋
tsubakiya
映画は「ひとり、劇場で!」がモットーの映画ライター。2025年鑑賞数は280本。人生の映画ハシゴ最高記録は1日7本。各媒体で、着物・グルメ・京都ロケ地といった切り口のレビューを担当する。超大作から自主映画まで、ノンジャンルな雑食。
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