子どもとごはんvol.16:ピッツァ登場!親子の日が加わった神戸・元町『ヴィーコロ』
今回訪れたのは、神戸・元町の名もなき路地にあるカウンターのリストランテ『ヴィーコロ』。大人の隠れ家として知られてきた人気店が、2025年3月より月に1〜2回「Family Day」という子連れ可能な特別営業を実施している。その日だけの特製ピッツァを目当てに、家族で出かけよう。
周囲を驚かせた開業5年目の変化
米国の消防署で100年前に使われていた扉や英国サッカーの控え室で選手を癒したヴィンテージの椅子など、ストーリーのある調度品に加え、磨き込まれた厨房や調理道具にまで“美学”を随所に感じる端正なカウンターレストラン。
メニューには長年作り続けるスペシャリテが揃い、「ワインと食事を楽しんで欲しい」考えから、開業当初のドリンクはワインのみ。
オーナーシェフの田邉成雄さんのイメージは、その端正な空間と哲学を感じる料理から自身の中にどっしり構えるスタイルを大切にするザ・職人だ。
だから「ヴィーコロにFamily Dayという子連れ歓迎の日ができたらしい」と聞いた時には心底、驚いた。田邊さんが大切にするスタイルの中に、食事とワインを嗜む“大人の時間や場”があると思っていたからだ。
すると
「これまで子連れで来たいと言ってくださるお客様がいたのですが、大人だけで話したいときや、子どもには聞かせたくない会話をするときもありますよね。お子さん連れの親も気を使うし、双方に良くないのでこれまではお断りしてきました。ところが、そうした声が増えたことや私の心境が変わって、日にちを分けてやってみるか、となったんです」
少し前に自身も結婚し、めでたく妻が懐妊。
「Family Dayをすれば出産経験のあるお母さんが来てくれて、妊娠出産時期にパートナーがすべきことや子育て経験談を聞けて私も学べるし、一緒に来てくれたご主人もお子さんが生まれたときのことを思い出すきっかけになると思ったんです。周囲には驚かれましたよ(笑)」
食感を追求。この日だけ出合えるピッツァ
2025年3月からスタートを切った「Family Day」は、いつもの黒板メニューに加えて、この日だけのために3ヶ月かけて開発したというピッツァを3種類用意。
「神戸のピッツァを食べ歩いたところ、モチッフワッとした食感が多かったため、当店はカリッフワッを目指しました」と田邊さん。
複数の小麦粉の配合を研究し、提供の3日前に練って48時間発酵・熟成。ピッツァのためだけに(!)新たに導入したピザ窯で焼き上げると、店内に小麦粉が焼けるふくよかな香りが充満する。
焼きたてのピッツァは、ミミがカリッと香ばしく中心はソースとチーズの旨み、ふんわり生地のハーモニーがたまらない。じっくり引き出した小麦の旨みが噛み締めるごとに迫ってくる。大人がワインのアテとしても楽しみたい味わいだ。
今後はピッツァ教室も!?
現在「Family Day」は「早めの晩御飯を食べて早めに帰って、家族の時間もゆっくりとってから、お子さんは早めに寝るイメージで」と、日曜や祝日の13時〜18時に。
中には子どもたちと触れ合いたくて、早い時間からサクッと飲みに訪れる大人の常連客も。ほんわか温かい空気が流れるという。
「いつかは子どもに向けたピッツァ教室も開きたいですね。子どもがいろんな体験をできる場にしたい」と田邊さん。夏に誕生した我が子を想いながら話すパパ目線の言葉の数々が優しい。
「普段の営業も、Family Dayもめちゃくちゃ楽しんでいます」
子連れに嬉しいポイントまとめ
・乳幼児からウェルカムのFamilyDay(月に数日、Instagramにてお知らせ)※大人だけで来店もOK!
・離乳食持ち込み可
・子ども用カトラリーあり
・子どもが好きな特別メニュー(ピッツァ)あり
data
- 店名
- ヴィーコロ (VICOLO)
- 住所
- 兵庫県神戸市中央区下山手通3-5-5 新安第一マンション 1F
- 電話番号
- 078-585-5341
- 営業時間
- 18:00〜24:00(土曜は14:00〜23:00、日曜は13:00〜18:00)
- 定休日
- 不定休
- 交通
- JR元町駅、地下鉄県庁前駅から徒歩3分
- 席数
- カウンター9席

writer

佐藤 良子
satoryoko
料理取材に徹して20年の食ライター。歴史が好きなため、料理史の観点から見るレストラン取材がライフワーク。日々賑やかな小学生2児の母。
instagram@ryocosugar
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