食が教えてくれた人生で大事なこと/黒沢祐子【食べる門には福来たる】
だからこそ、本当は一番大切にしたいはずの自分の心を置き去りにしがちです。自然体で丁寧な生き方にファンの多い、ウエディング・ライフスタイルプロデューサーの黒沢祐子さんに、「食」を軸に自分を喜ばせるためのヒントを教えていただく連載「食べる門には福来たる」。
最終回では黒沢さんの人生を振り返りながら、コラムタイトル「食べる門には福来たる」に立ち返ります。
30代、“週1で夜ラーメン”だった頃
一年間続けたこのコラムも、ついに最終回を迎えました。
食にまつわるあらゆる話をお伝えしてきましたが、今回は改めて、食が私の人生を大きく変えたこと、食が教えてくれたことをお話したいと思います。
30代から40代前半ぐらいまでは仕事に全部のエネルギーを注いでいて、一年のうち300日くらいは外食をしていました。お昼ごはんにお弁当を持参するわけでもなく、夜はとにかく人と会うことを大切にしていたので常に外食。流行りのお店に行って丁寧に作られたお料理や空間を味わうのはいい経験になったけれど、日々の自分の心や身体を気遣うことはできていなかったと思います。
くたくたに疲れた日は、夜遅くに銀座で“ラーメンとビール”がお決まりでした。週1ぐらいで通っていたかも。
その一方で、インスタでは朝のスムージーを爽やかにアップしたりして。「この人ちゃんとしてそう」というイメージを持たれていたかもしれないけれど……あの時は決して素敵なライフスタイルではなかったかなと思います。
40代中盤、心を癒したのは自分のための料理
そんな暮らしを大きく変えたきっかけは、第一回でもお伝えしたコロナ禍です。離婚も経験して、一人で鎌倉へ。港区の暮らしとは正反対の、自然に囲まれた凪のような落ち着いた日々のなかで、少しずつ自分に向き合うことができました。
当時チャレンジしたのが、コロナ禍で人と繋がるために始めたインスタライブ。ワインを飲みながらおつまみを作るんですが、フォロワーが増えただけじゃなく、新鮮な食材を市場で買って、自分のためだけに料理を作る幸せも見出せたと思います。この自分のためだけに作る料理を通して、生産者やシェフといった作り手への感謝も深くなりました。
メンタルのコンディションもお肌の調子も昔より良くなったのは、食事のおかげだと思っています。
ご縁の“結び直し”も。自分も相手も赦せる50代へ
食事、引いては暮らしを大切にすることで健康や穏やかさを手に入れました。
自分が自分のことを一番理解してあげて、許したり、奮い立たせたり。その繰り返しこそ自愛で、心身の健康にとって大切なことだと、50歳を迎えるいま改めて感じています。
そして、自愛ができるからこそ、周りの人を大切にする“他愛”もできるはず。何歳になっても出会いや別れがあるし、親しい人と考え方がズレていくこともあります。若い頃は一度無理だと思ったことはずっと無理だったけど、自愛があればご縁の“結び直し”もできるんじゃないかと最近気づきました。
自分も赦せるし、相手も赦せる。そんな人間になりたいです。
食べる門には福来たる
最後に、タイトルの「食べる門には福来たる」に戻りましょう。私の座右の銘である「笑う門には福来たる」にかけた言葉ですが、昔の私ならしっくりきてなかったかもしれません。
「食という字は人を良くすると書く。家で食べるごはんが一番だよ」。子どもの頃に親に言われていた言葉の意味が、いまはよくわかります。その一方で、私はレストランという場所もやっぱり大好き。空間のデザイン、お客さまのファッション、音楽……すべて含めて、ずっと私の表現の源になってきたことは間違いありません。
これからも感謝を忘れずに、ワクワクしながらおいしいものを味わっていきたいと思います。
食べることは、生きることそのものだから。

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連載「食べる門には福来る」ウエディング・ライフスタイルプロデューサーの黒沢祐子さんに、「食」を軸に自分を喜ばせるためのヒントを教えていただきます。自分も、大切な人もハッピーになれるヒントが満載。
writer

黒沢祐子
yuko KUROSAWA
ウェディング・ライフスタイルプロデューサー。
東京、神戸で7年以上ウェディングの現場を経験し、「より密にお客様と対峙したい」という思いから、2008年よりフリーランスへ。会場探しから共に行うスタイルが好評で、2016年にYUKOWEDDINGを設立。現在までに1000組以上のカップルを担当する。
一方で、2020年の鎌倉移住をきっかけにライフスタイル事業をスタート。現在は東京を拠点に、美容、ファッションなど総合的にプロデュース。2022年より、プライベートサロン「Y’s room」を主宰。
instagram@yukowedding
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