『健民ダイニング』が30周年。小麦不使用の“GF中国料理店”へ!

神戸・海岸通にある中国料理店『健民ダイニング』が、12月1日にリニューアルオープン。開業30周年という節目の年に、“グルテンフリー(GF)”を掲げた中国料理店へと生まれ変わった。長年地域に親しまれてきた名店が、なぜ小麦不使用の道を選んだのか。その背景と、馴染みがあるのに新しい味わいを取材。
さらに、関西・大阪万博で注目を集めた『GF RAMEN LAB』が週に1回の間借り営業という嬉しいニュースも同時に飛び込んできた。

中国料理でGF? その挑戦は万博から始まった

「きっかけは、大阪・関西万博に出店したGF(ジーエフ:グルテンフリー)ラーメン専門店『GF RAMEN LAB』(※)でした」。
そう話すのは、『健民ダイニング』を運営する、ケンミン食品株式会社 代表取締役社長の高村祐輝さん。「小麦を食べられない来場者が、安心して食べられる場をつくろうと始まったプロジェクトでした。万博開催期間中は、“おいしかった”だけではなく、多くの“ありがとう”の声をいただきました」。

※アメリカ・ボストンで行列のできる人気店『Tsurumen Davis』の大西益央さんと『ケンミン食品(株)』がコラボしたラーメン店。

万博での気づきを受け、『健民ダイニング』でも「小麦粉を一切使わないGFにチャレンジしたい」と、スタッフから声が上がったと言う。小麦の文化が発達している中国料理において果敢なチャレンジ。米醤油、米粉、米油、米粉中華麺など、新たな食材を取り入れ、料理を一から見直したと言うのだから。料理長の松本竜太さん曰く、「豆板醤、甜麺醤など調味料に至るまで、できる限り自家製に切り替えました」。

試行錯誤も多かったようだが、新たな発見があったという。松本シェフ曰く、「調味料を自家製に変えることで、材料に余計なものが入りません。だから、結果的に“丁寧な味づくり”に落ち着いたのです」。素材らしさが引き立つ、優しくて透明感のある味わいに。GFは“制限”ではなく、味わいをよりまっすぐにする手段だった。

内観
全改装した店内。テーブル席のほか、今回新たにカウンター席を設けた。
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GFとは思えない満足感。ランチセットの底力

印象的だったのが、満足度の高いランチセット(1800円)。小鉢で提供される前菜5種に、シェフおすすめの一品料理、そして健民式焼米粉(ビーフン)まで付く、思わず顔がほころぶ内容。
前菜は、八角がほのかに香る「神戸ポークの香料煮込み」に始まり、自社製のビーフンとライスペーパーを使用した「ビーフン入り生春巻き」、香味の余韻が心地よい「淡路どりの冷製ネギソース」など5品。GFでもまったく物足りなさを感じさせず、むしろ素材の力がくっきりと浮かび上がっている。

シェフおすすめの一品料理は、油淋鶏など4種が揃うなか「酢豚」をチョイス。米粉の衣が香ばしく、神戸ポークの旨みがストレートに響く。ケチャップと米醤油をベースにしたあんは、濁りのないクリアな甘酸っぱさで、後味も軽やか。

待ってましたの一皿が、ロングセラーともいえる「健民式焼米粉(ビーフン)」。ビーフンは、しっかりとしたコシがあり、具材もたっぷり。噛むほどに米の香りがふわりと広がる、満足感の高い一皿。従来のファンが求める“健民ダイニングの味”はそのままに、GF化だからこそ生まれた軽やかさも同居する。さらに、プチスイーツも付く充実の内容。

長年通ってきたお客さんにも、新たな驚きと感動を与えてくれるランチセットだ。

ランチセット
ランチセット(1800円)。彩り前菜の盛り合わせは5種の小鉢で提供。メインにはシェフのおすすめ一品料理が登場。さらに、健民式焼米粉(ビーフン)、白ごはんと日替わりのスープ、小さなスイーツや、中国茶もつく充実の内容。
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毎週水曜は『GF RAMEN LAB』が間借り復活。新たな企画も続々

さらに嬉しいニュースがもうひとつ。
大阪・関西万博で人気を博した『GF RAMEN LAB』が、間借りラーメンとして不定期営業を始める。
新たに設けられたカウンター席で、万博で提供していたGFラーメンが味わえるとは嬉しい限り。

また、12月25日(木)には「クリスマス親子(小麦)アレルギー対応ブッフェ」を開催。小麦アレルギーの子供とその保護者を対象に、デザートまで全て小麦不使用のブッフェを提供する予定だ。

間借りGF RAMEN LAB
間借りGF RAMEN LAB
『GF RAMEN LAB』が間借りラーメン店として不定期営業。12月は10(水)17(水)の11:30〜15:30LO。
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30周年の節目に掲げた“GFで再出発”。高村社長の想い

大阪・関西万博で『GF RAMEN LAB』を運営した際、小麦を食べられない来場者が涙ぐんで御礼を伝えてくれたこともあったのだとか。「料理でここまで感謝されるのか、とスタッフ全員が胸を打たれました。そこから“GFに挑戦したい”という声が自然と生まれたんですよ」と高村社長はにこやかに語る。
「弊社のスローガン「HAVE A RICE DAY®︎」※には、“お米でしあわせな世界をつくる”という思いを込めています。この思いを今後も胸に、歩んでいきたいです」。
『健民ダイニング』らしい味はそのままに、食の制限に悩む人も気兼ねなく訪れられる店へ。
30周年の再出発は、食のやさしさと未来を見つめる大きな一歩になるだろう。

※「HAVE A RICE DAY®︎」はエム・シーシー食品株式会社の登録商標。

シェフと社長
高村祐輝社長(写真右)と、料理長の松本竜太さん。
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