熟成が育てた旨み、パルミジャーノ・レッジャーノ

千年近くもの間、伝統を守り、作り続けられてきたチーズの王様、パルミジャーノ・レッジャーノ。11月1日からの約1カ月間、パルミジャーノ・レッジャーノ フェアを、大阪の『日本酒とイタリアンレストラン リトミチタ』と隠れ家和食店『阿波座 なが友』という個性的な2軒にて開催。両店がフェアのために工夫した新作料理を誌面にてご紹介。新たな美味しさが見つかるはず。

茹でたてのパスタの上から、パルミジャーノ·レッジャーノをたっぷり削る。複雑な香りと程よい塩味と深い旨みでパスタが感動的にグレードアップ。魔法のように料理を美味しくする最高の調味料として、もちろんそのままワインのお供に。このチーズは私たちの食卓でも身近な存在だ。その美味しさの秘密をちょっと覗いてみよう。 
パルミジャーノ·レッジャーノは中世に、北イタリアの修道院が保存食として作ったのが始まり。その後、千年に亘って同じ場所、同じ3つの材料、本質的に同じ製法で作られている。EUが定める原産地名称保護=PDOに基づき、生産地、原材料、製法が厳格に規定されており、生産地は主に北イタリアのエミリア=ロマーニャ州と一部のロンバルディア州にまたがる指定地域(※)。材料は新鮮な生乳と塩、凝固酵素のみ。添加物や保存料は一切使わず、職人が熟練の技でチーズを作り、12カ月以上熟成させるという伝統の製法が守られている。
※パルマ、レッジョ・エミリア、モデナ、ポー川右岸のマントヴァ、レノ川左岸のボローニャの5つの指定地域で作られる。

パルミジャーノ·レッジャーノの製造
10

12カ月もの熟成期間を終えると、検査員が1個ずつチーズを分析。厳しい検査基準を満たしたもののみが「パルミジャーノ・レッジャーノPDO」と称する権利を与えられる。外皮の焼き印が合格の証しだ。
消化の良さ、体内に吸収されやすい形で含まれる豊富なカルシウム、リンやミネラルの供給源であること、添加物・保存料不使用、そして五感に訴える心地よい風味—その数々の特性はすべて、製品本来の品質に由来している。
こうしてできたチーズは、タンパク質、ミネラル、カルシウムなど多くの栄養素を含んでいるが糖質はゼロ。その上、長い年月によって育まれた天然由来のアミノ酸が豊富ゆえに、たまらない旨みがある。さらに科学的研究により、40カ月熟成のパルミジャーノ・レッジャーノはセレンとクロムの供給源であることも明らかになっている。

草を食べる牛
10

では、王様のチーズを味わおう。まずはひと口サイズにかち割ってそのままで。ナイフでスライスせずに割るのが肝要。長い熟成が育んだアミノ酸の結晶·チロシンによるジャリジャリとした独特の舌触りをぜひ体感したい。そして冷蔵庫から出したばかりなら、常温に戻してお試しを。香りが開いて芳醇な味わいが楽しめる。

パルミジャーノ・レッジャーノの魅力を イタリア料理のシェフが和食の料理人に伝授する

料理人対談
左:日本料理『阿波座 なが友』長友 俊介さん 右:イタリア料理『リトミチタ』櫻木 美早季さん
10

「当たり前に日々使っていますが、この機会にちょっと勉強して改めてパルミジャーノ·レッジャーノの凄みを知りました」とは『日本酒とイタリアン リトミチタ』シェフの櫻木美早季さん。「うちは和食ですが、修業先も〝和洋〟を店名に謳っている店で、うちでもパスタをコースに入れたりします。チーズも大好き」という『阿波座 なが友』店主の長友俊介さん。フェアを前に、イタリアンのシェフから和食料理人へ、パルミジャーノ·レッジャーノを料理するヒントを伝授していただくことに。

長友(N):僕はこのチーズの香りと旨みが大好きなんです。
櫻木(S):熟成が長いからこその旨みの強さと独特の食感が魅力ですね。この風味を守るために厳しい規定を設けて、限られた土地で伝統の技法を大切に作られているんだそうです。職人の誇りがそのままチーズになったみたい。
N:すごい匠の技を守られているんですね。熟成はどれくらい?
S:平均24カ月でしっかり熟成。それ以上も可能だそうです。
N:熟成が進むとどう変わりますか?
S:ミルキーな感じよりナッツのような香ばしさが出ます。もろもろっとした独特の食感も強くなります。
N:保管(※)はどうされていますか?
S:どんどん消費するのであまり長く貯蔵してるわけではないのですが、ラップに包んで冷蔵庫へ。熱が苦手なので涼しい場所で保管します。

チーズ作り
10

N:冷凍はできますか?
S:冷凍すると香りは飛ぶし、食感も悪くなるのでオススメしません。
N:『リトミチタ』さんではイタリアンに日本酒を合わせるんですね。僕はチーズにはやはりワインや最近ハマってるウイスキーで。
S:意外と燗酒が合いますよ。乳酸系の香りのする日本酒にはピッタリ寄り添ってくれます。
N:今度やってみます。僕は自宅では卵かけごはんに、昆布とカツオだしをブレンドした醤油を少し垂らして、このチーズをたっぷりかけて食べるのが大好物でして。

チーズの塊
10

S:あー、めちゃ美味しそう。だしとパルミジャーノ·レッジャーノの相性は抜群なんですよ。旨みの相乗効果。この旨みは和食とも合わせやすい気がします。
N:外側の硬い皮は何かに活用されていますか?
S: スープを取るのに使います。すごくいい旨みが出るんです。味噌汁にも合いますよ。
N:味噌とチーズは発酵食品同士ですもんね。
S:日本人には親しみやすい味わいですよね。
N:これまではパスタとか洋の料理を作るときにしか使っていなかったけど、櫻木さんのお話を聞いて、自信を持ってだしと合わせたチーズ料理を作ってみようと思います。
S:私もぜひ、長友さんの和なチーズ料理、食べに行きたいです。

※食べる前に、少なくとも15-20分前に冷蔵庫から出すのがオススメ。

パルミジャーノ・レッジャーノのクレームブリュレ

コース(8800円~)の先付けとして。パルミジャーノ・レッジャーノを溶かし込んだクリームの旨みで食欲に火をつける、甘じょっぱいスターター。上部はしっかり焦げ目を付けたキャラメリゼを施して、ほろ苦さがアクセントに。合わせる酒は酸味も甘みもしっかりした貴醸酒などがオススメ。

パルミジャーノ・レッジャーノのクレームブリュレ
パルミジャーノ・レッジャーノたっぷりの濃厚クレームブリュレです。フランス産のブラウンシュガー、カソナードの甘みに手伝ってもらって、チーズの塩味とバランスをとり、小粋な先付けに。
10

[ 材料 ]
パルミジャーノ・レッジャーノ … 40g
牛乳 … 100g
生クリーム … 200g 
全卵 … 1個
卵黄 … 2個
カソナード … 適量

[作り方]
① パルミジャーノ・レッジャーノはすりおろす。
② ❶と牛乳、生クリームを鍋に入れ、混ぜながらチーズを溶かす。鍋肌が少しふつふつしたら火を止める。
③ ボウルに全卵と卵黄を入れてホイッパーで混ぜながら❷を少しずつ加える。ザルで濾して、器に入れ、蒸し器で固まるまで火を入れる(15分程度)。
④ 冷やしたら、上部にカソナードをふりかけ、バーナーで炙る。

パルミジャーノ・レッジャーノの 焼きリゾット 海苔のズッパ

コースのスープとして。パルミジャーノ・レッジャーノを3層にして使用。まず鶏ガラスープと共にリゾットに入れる。ウナギと一緒におにぎりにしたリゾットを載せて香ばしく焼く。さらに上からチーズを削り、山椒をパラリで広がる旨みを引き締めて。焼海苔と貝のだしのスープに浸かった焼きおにぎり風に。

パルミジャーノ・レッジャーノの焼きリゾット 海苔のズッパ
焼きおにぎりのお茶漬けイタリアン風。お茶ではなく貝のスープで。貝の強烈な旨みに、パルミジャーノ・レッジャーノの風味や香ばしさを重ねることで、全体がじゅわっとまとまります。
10

[ 材料 ]
生米 … 80g
蒸しウナギ(市販品でも可)… 1/3尾
パルミジャーノ・レッジャーノ … 20g
鶏ガラスープ … 適量
アサリだし … 280ml 
バター … 10g
焼海苔 … 1/2枚
ニンニク … 適量 
オリーブ油 … 適量
塩 … 適量
粉山椒 … 適量

[作り方]
① 鍋に生米を入れ、鶏ガラスープでリゾットを作る(少し柔らかめに)。
② ❶に塩とパルミジャーノ・レッジャーノ、バターを加えて溶かし混ぜ、冷やしておく。
③ ひと口サイズに切った蒸しウナギを型の底に入れ、上から❷を押し込んで固める。
④ 鍋にニンニクとオリーブ油を入れて火にかけ、アサリだしと焼海苔を入れて溶かし、オリーブ油を少し垂らす。
⑤ フライパンにパルミジャーノ・レッジャーノのすりおろしを敷き、その上に❸を置いて両面をカリカリに焼く。
⑥ ❹のスープを器に入れ、❺の焼きリゾットを浮かべて、パルミジャーノ・レッジャーノ(分量外)を削り、仕上げに粉山椒をふりかける。

【店名】リトミチタ
【住所】大阪市中央区安堂寺町2-1-14
【電話番号】06-4392-7771
【営業時間】12:00~20:00(前日までに要予約)
【定休日】不定休
【料金】月替わりコース8800円~、日本酒ペアリング込みコース15000円。

レトロなビルの1階を昭和モダンにリノベーションして2020年にオープン。人気イタリアンでスーシェフまで務めた櫻木さんと、日本酒を愛する“ご酒人”の藤井ひかるさんがタッグを組んだ、イタリアンと日本酒で創る新しいスタイル。日本の食材とイタリアンの技法を組み合わせた櫻木さんの繊細な料理と酒のマッチングに酔いしれて。
10

パスジ肉の東寺揚げ パルミジャーノ・レッジャーノと米のソースで

おまかせコース(13200円)の肉料理として。東寺揚げとは、湯葉の名産地とされる京都の古刹・東寺に由来した湯葉を使った揚げ物。スジ肉の土手煮を生の平湯葉で巻いて揚げ、お米とチーズを炊いて裏ごしした白いソースと、土手煮のだしの2色のソースでいただく、メインになる一品。

パスジ肉の東寺揚げパルミジャーノ・レッジャーノと米のソースで
パルミジャーノ・レッジャーノは和のだしや味噌と相性が良いと知り、思い切ってチーズを全面に押し出しました。チーズの旨みと、味噌と湯葉と和だしが、がっぷり四つに組んだ食べ応えある一品です。
10

[ 材料 ]
スジ肉の土手煮(市販品でも可)… 30g
生の平湯葉 … 1枚(30g)
(ソース)
生米 … 10g
合わせだし … 120ml
パルミジャーノ・レッジャーノ … 20g
淡口醬油 … 適量
(衣)
パルミジャーノ・レッジャーノ … 10g
水 … 50ml
天ぷら粉 … 50g
海苔 … 適量
大葉 … 適量

[作り方]
① 生米と合わせだしで粥を作り、裏ごしする。その5分の1程度のパルミジャーノ・レッジャーノを加え、淡口醬油で味を調えてソースを作る。
② スジ肉の土手煮を生湯葉で巻き、水で溶いた天ぷら粉にパルミジャーノ・レッジャーノを加えた衣を付けて揚げる。
③ ❷を皿に盛り付け、❶のソースと、土手煮の煮汁を皿にかけ、大葉、針海苔を天盛りにする。

【店名】阿波座 なが友
【住所】大阪市西区阿波座1-10-18
【電話番号】06-4395-5674
【営業時間】17:00~23:30(LO)
【定休日】日曜休、不定休あり
【料金】一品770円~、おまかせコース13200円、日本酒1合1320円~。

阿波座『なが友』内観jpg / 長友 俊介さん
大阪の料亭や京都の店を経て、ミナミの名割烹『和洋遊膳 中村』で長年研鑽を積んだ長友さんが、2017年に開いた店。シンプルな店内はカウンターにテーブル席もあり広やか。品書きに造り、炊物、焼物に加えて洋物とあるのがこの店らしい。真っ当なお造りにカレーやパスタまでお好みで楽しめる。割烹入門編としてもオススメ。
10
10

recommend

読まれている記事

『あべのハルカス近鉄本店』お菓子売り場がリニューアル。百貨店初&関西初が続々!

兵庫・伊丹『KUROPURI』。フレンチのシェフが手がける「クロワッサン」と「プリン」の専門店

京都『和菓子&ワイン 養老軒』が届ける フルーツ大福とワインの楽しみ方

「りくろーおじさんのチーズケーキ」おいしい理由&並ばず買える方法も

安田淳一監督【前編】待ってました! 日本アカデミー賞「侍タイ」スピンオフドラマ放送。独占インタビュー

『資さんうどん』広報がこっそり教える!「実はコレも食べてほしい」隠れた名物

『粟玄』の和洋[大阪]老舗おこし屋のモダンな名品

絶対に失敗しない「くたくたブロッコリーのタラコスパゲッティ」『寺町コロンボ』のひと手間レシピ

【番外編】俳優・津田寛治さん絶賛の「おたべ」。進化系、変化球に驚き!

ギネスビールが生む深いコク。大阪・中津『IRISH CURRY』の名物ポークカレー