奈良『枯淡』の滋味深い季節料理は、コースでも単品でも

近鉄奈良線新大宮駅から徒歩1分。ビルの奥に佇む『お料理 枯淡(こたん)』でいただけるのは、四季を映した美しく繊細な味わいの和食。テーブル個室もあるので、宴席や会食にもお薦めです。

店主は和食ひと筋40年!

奈良の老舗料亭『菊水楼』で10代から13年以上腕を磨いた店主・水川正則さんが独立したのは1999年。和食ひと筋に約40年研鑽を続ける水川さんが作る料理は、派手過ぎず、けれども程よく趣のある仕立て。旬の食材を真っ直ぐ生かした、品のある味わいが魅力です。

奈良・新大宮『枯淡』の店主・水川正則さん
店主の水川さんと奥様の多満喜(たまき)さん。屋号『枯淡』の意味は、あっさりしていて趣があること。まさに水川さんの料理そのもの。
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コースは、季節感溢れる料理の連続

料理はコースと単品を選べますが、最初は流れに身を委ねられるコースがお薦めです。

例えば、とある春の夜のコース。一品目の八寸は、薄桃色の雲龍紙の上に小鉢を寄せた雅な装いで現れます。春を直前に身を肥やした赤貝のてっぱい(からし酢味噌和え)を盛るのはぼんぼり型の珍味入れ。吟醸酒で洗った甘エビの酒盗は花びら型の陶皿に。
ひな祭りを連想させる器使いに、季節感の表現を大切にする水川さんならではのもてなしを感じます。

奈良・新大宮『枯淡』夜コースの八寸
八寸の一例。甘エビの酒盗、イイダコの旨煮、白身魚のすりみたっぷりのふわふわ玉子カマボコなど。
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八寸に続く椀物は、ほろ苦い菜の花を添えた玉子豆腐とアイナメ。マグロ節を使った旨み深いだしに中にひらひらと浮かぶのは、桜の花の塩漬け。ほんのり甘い春の香りで春を演出します。

コースは夜なら8250円から(全7品)。昼はボリューム控えめのミニコース4400円(全6品)が女性に人気です。

奈良・新大宮『枯淡』夜コースの椀物
玉子豆腐とアイナメの椀物。脂ののったアイナメは程よい弾力。ほんのり甘く炊いた椎茸が和む味わいです。
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単品なら、必食は朴葉焼き

単品で自由に頼みたいという方にお薦めしたいのが、コース料理のメインに登場することも多い朴葉(ほおば)焼きです。元々は飛騨高山の郷土料理で、香り高い朴葉の上で味噌と共に肉やキノコを焼く料理。こちらでは八丁味噌など3種の味噌をブレンドした甘辛い味噌を使用。炭コンロを使って、多満喜さんが目の前で焼いてくださる手厚いサービスも好評で、開店からの名物です。

食材は定番の黒毛和牛ロースのほか、仕入れ状況次第で牡蛎や豚ロースなども選択可能。焼け焦げる味噌の芳ばしい香りが食欲をそそります。

奈良・新大宮『枯淡』の朴葉焼き
牡蛎の朴葉焼き1980円(写真はコースのメイン料理の場合)。
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カウンターの奥にある個室は、2名様から最大10名様までご利用可能。お子様連れの方も気にせず寛ろげます。駅からすぐで、しっかりコースでも単品を好きなだけでも選択自由。使い勝手の良さも、長年人気が衰えない理由です。