15年目も、人気不動のイタリアン『イル ルォーゴ ディ タケウチ』

大阪・福島区にあるイタリア料理店『イル ルォーゴ ディ タケウチ』。オーナーシェフの竹内啓二さんは、大阪市内でコンセプトの異なる4つのイタリアンを展開しています。
テレビ出演などで多忙を極める竹内シェフですが、営業日は毎日、本店の厨房に立ちゲストをもてなします。独立して15年目を迎えた今の店づくり、味づくりについて伺いました。
子どもメニューにはオーダーメイドのパスタを用意してくれる、家族でも訪れやすいお店です。

お客さんに元気になってもらえる店に

2010年にオープンした『イル ルォーゴ ディ タケウチ』。大阪キタの人気イタリアンの一軒であり、昼夜問わず満席の日々が続きます。
オーナーシェフ・竹内啓二さんのスタンスは、ずっと変わらず「おいしいものを食べて、心も身体も元気になってもらえる店に」ということ。

竹内啓二シェフ
竹内シェフは1977年岡山県生まれ。調理師学校卒業後、「ポンテベッキオ」などで腕を磨く。2010年に『イル ルォーゴ ディ タケウチ』を開業。現在は本店のほか、『マチェレリーア ディ タケウチ』、『トレーロタケウチ』、『リクペラーレ タケウチ』の4店舗を展開する。
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そのために「まずは素材ありきです」と、竹内シェフは話します。
毎朝、大阪中央卸売市場に出向き、旬魚を目利き。「ちょっと遅い時間に出向くと、安くで仕入れられることもあるんです。魚屋さんはその日のうちに売り切りたいですから」。
長年、市場通いを続けるからこその信頼関係の賜物。そんな素材はランチに活用することで、この時世に1100円の2種から選べるパスタランチ(季節のスープ、サラダ、おかわり自由の自家製パン付き)を叶えてくれます。

一方でディナータイムは、アラカルトとコースの両軸で展開。なかでも竹内シェフが「今、食べてほしい」と話す3品をご紹介します。

日本の旬を皿のなかに投影

コース料理の前半に欠かせないのが「旬魚のカルパッチョです」と竹内シェフ。
「僕自身、お造りが大好き。何よりも魚介は季節感を出しやすいですから」。この日は、千葉県産の初鰹と、泉州の水茄子をサラダ仕立てに。カツオはもっちりとした食感で、なんとも清々しい旨みが広がります。水茄子はリンゴのようなフレッシュ感を主張。そこに、トマトやケイパー、アンチョビなどからなるプッタネスカソースがイタリアらしさを強め、ミントの葉の爽やかな余韻へと続くのです。

ディナーコース6600円(全5品)より。この日の前菜は、千葉県産 初鰹のカルパッチョと水茄子のサラダ仕立て ミント香るプッタネスカソース。単品2100円でも提供する。
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炭火料理の後に、〆パスタ

メインの料理が「炭火焼」というのも、開業当初から変わりません。「炭火を使い続ける料理は、素直においしいですから」。
この日のオススメは「オーストラリア産 仔羊の炭火焼」。骨付きロースを炭火で炙った後、80℃のスチームコンベクションオーブンでゆっくりと熱を入れ、最後に炭火で炙り完成。

炭火焼
アラカルトの炭火焼メインより。オーストラリア産 仔羊の炭火焼とリンゴのマルメッラータ4800円。
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断面は美しいロゼ色。頬張ればスッと歯が入る柔らかさ。炭の香ばしさとともに、仔羊のピュアな風味と脂のコクが広がります。リンゴのマルメッラータ(ジャム)の優しい果実味が、仔羊の旨みをより一層、引き立たせるのです。

料理のクライマックスはメイン料理、ではないのが竹内シェフ流。 「魚や肉料理は、胃袋全開の調子のいいタイミングに味わっていただきたくって。そして日本人は、食事の最後に炭水化物を食べたいじゃないですか」と、〆めにパスタを推奨するのです。そんな、日本人の琴線に触れるフレキシブルなメニュー構成も「また食べに行きたくなる」理由の一つ。

”前回よりも、おいしい”を目指して

独立して15年を経た今もなお、竹内シェフはある1点を意識して日々、厨房に立ちます。
それは「少しだけでもいいんです。お客様に、"前回よりも、おいしかった”と感じていただけるように」。

素材の目利きや仕入れはもちろん、味づくり、さらには店づくりに至るまで、日々の小さなアップデートを積み重ねているのです。だからこそ、この店を愛するゲストは多く、15年を経た今も輝き続けています。

カウンター
色とりどりのタイルが印象的な店内。竹内シェフやスタッフとのコミュニケーションを楽しみたいならカウンター席へ。家族や友人とゆっくり過ごしたいなら店奥にあるテーブル席へ。
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テーブル席は2箇所あり。店入ってすぐの窓際に2席。店奥には8席あり、壁側はベンチシートになっていてリラックスできる。
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ワイン
ワインはイタリア産に特化。北から南イタリアまで、各州の土着品種を用いた銘柄も取り揃える。グラスワイン(1000円〜)は、赤白共に常時5種ほどを用意する。
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