一軒家レストランで堪能する温もり感じるコース料理。宝塚『OSTERIA Erbetta』

宝塚市逆瀬川にあったイタリア料理店『OSTERIA Erbetta(オステリアエルベッタ)』が、2020年に宝塚南口駅近くに移転。庭園の緑が素敵な一軒家レストランで折々の食材を生かしたコース料理を展開中です。

旬の美味しいを詰め込んだコース料理

素敵な一軒家レストラン。予約をして出掛けたい。
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阪急宝塚南口駅から徒歩3分。駅からすぐの住宅地にある瀟洒な一軒家レストラン。こちらはイタリアで修業した岡尾岳史さんの店。以前、逆瀬川にあった『OSTERIA Erbetta』が店名はそのままに2020年に移転オープンしました。
前の店では、ガツンと塩の効いた現地さながらの料理を迫力のあるポーションのアラカルトで提供していました。移転後は昼夜ともに完全予約制のコースのみに。ランチは宝塚界隈のマダム、ディナーは記念日の食事や、個室を利用し一家揃っての会食などで親しまれている様子です。

アンティークの家具やこだわりの器。どこを撮っても素敵な空間で居心地が良い。シェフの調理シーンも楽しめるカウンター席。
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以前は「イタリアではこうだから!」と盛り付けも量も現地仕様の仕立てで、和の調味料やだしなどは一切使わないと決めていた岡尾シェフ。「自分もお客様も一緒に歳を重ねて、たくさん食べられないというお声も増えてきて。身体のことを思うと、少しずつ色々な料理をお出しする方が楽しく食べてもらえるのかなと思って」。
濃厚さや塩の強さではなく滋味深く、後を引かず。美味しかったけど、帰った後に何を食べたか忘れてもらえるような、料理の仕立てを心がけているそう。

料理は夜11000円の季節のコースから。「サンマと茄子の前菜」。料理はすべて取材時のもの。
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和の香りがする前菜は、開いたサンマをシトロンヴィネガーで軽くマリネし、中に新ショウガの甘酢漬けを巻き込み、皮目は香ばしく炙ってあります。オーブンで焼いた秋茄子に、大根おろし、一番だしと醤油、イタリアンヴィネガーを合わせたジュレも添えて。上にナスの皮の素揚げをあしらって食感にアクセントを。全体的に日本の秋を思い起こさせる味わい、だけどイタリア料理の技法も融合したひと皿です。

「国産キノコのガルガネッリ」。キノコから出ただしと少しのクリームを合わせたソースが秋の風味。パルミジャーノチーズをたっぷり削って。
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全国各地の生産者を直接訪ねて、独自のルートを開拓してきた岡尾さん。「秋になったら信州のキノコ取りの名人のおじいさんが、採れたものを送ってくれるんです」と目を輝かせます。この日は「ヤマドリ」「ナラタケ」「ハナイグチ」など名人による希少なキノコがたっぷりと厨房に届いていました。その国産キノコの旨みと香りをショートパスタのガルガネッリに絡ませて。香りと食感が抜群です。

「オステリア」か「リストランテ」か⁉︎

ニュージーランド産仔羊はしっとりとしなやかな肉質。
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この日のメインは仔羊の燻製。信州味噌にハチミツ、バルサミコ酢、ハーブを合わせた特製のソースを少しずつ付けて味わいます。ズッキーニで包まれた付け合せは、イタリア・ウンブリア州の郷土の味、フェンネルのベシャメルだそう。
全体的に素材自体の食感や風味を生かした料理を味わううちに、流れるように展開。年配の人をお連れしても最後まで楽しんでもらえそうな内容です。

靴を脱いで上がる和室を利用した個室(利用は4名〜)が二間ある。落ち着いて食事を楽しみたい方に好評。カトラリーにも箸も置くなど様々な配慮がされています。
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「オステリア」はイタリアにおいてカジュアルな「大衆食堂」を意味しますが、こちらで提供している料理はリストランテさながら。コースの内容は基本的には月替わり。けれど、月に2度通う人、毎週訪れる人などもおり、その場合は適宜違う料理に変更してくれます。「旬の食材を心ゆくまで、ここにしかない仕立てで食べて行ってよ!」と言われているような印象を受けるコース料理。その意味では「オステリア」の精神なのかもしれません。何度となく訪ねたくなるのも納得の、岡尾さんのホスピタリティに満ちています。

新しい店や器、食材など常に探究心を持って歩んできた情熱の料理人。一般の方に向けての料理教室も若い頃から自店で開催している。
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