東大阪に健在! 新世界の御三家の一軒『串かつ ちとせ』
ルーツは新世界ジャンジャン横丁
創業は昭和24(1949)年。戦後、焼け野原になった新世界。バラックが建ち始め、復興のための作業員、つまり日雇い労働者が大勢集まっていた。「食べに行くとこがないので、うちの父や叔母が闇市で肉を買ってきて、細かく刻んでメリケン粉やふくらし粉でなるべく量を増やして、お腹いっぱいになるようにと工夫したのが新世界の串カツの始まりやと聞いてます」とは、マスターと呼ばれる店主の田中裕之さん。
「ソースは一斗缶に入れて、みんなで囲んで、串を缶に浸けて食べるから、二度漬け禁止のルールができたんやそうですよ」。何と串カツのルーツを作った一軒だったとは。
「ちとせ、どこ行ったんや?」
「うちはカウンター13席だけの小さい店やったけどね」と田中さん。ではなぜ八戸ノ里へ?「父が兄弟姉妹でやってたんですが、体調や高齢を理由に店を閉めようかということになりました。その頃、僕は貿易商社でサラリーマンやっててんけど、一発何んか面白いことできるかなと思って。『やらしてもらえるならやってみたい』と思ってね」。40歳で調理師専門学校へ行き、夜は居酒屋でアルバイトして1年半、開店の準備をしたのだそう。
「新世界でやることも考えたけど、ちょうどインバウンド客が新世界に押し寄せて安売り合戦が始まってた。そこに参戦するより、地元でやるのもいいかなと」。生まれ育った東大阪にて、2008年5月にオープン。
「『ちとせ』はどこ行ったんやって、一部で噂になってたようでね」、ネットの掲示板に串カツちとせのファンによるコミュニティーがあり、客の一人がそこに“ちとせ八戸ノ里に発見。お父さんもおる!”と書き込みを。「そのお陰で、古い馴染み客も訪ねてきてくれるようになりました」。
その後、数年の間、75歳まで店に出ていたお父さんも、今は引退して悠々自適ライフを楽しんでおられるらしい。
変わらないソースと新作串カツ
2026年5月に移転18周年を迎えた店は、ご近所さんや家族連れ、新世界時代からの古馴染みなどで毎夜賑やか。ワイワイ楽しく盛り上がっているわりに、なんとなく皆さん上品で秩序が保たれているのは、マスター・田中さんのお人柄によるのだろうか。
さて串カツだ。人気の10本をセットした2860円がお得だし、まずはここから攻めるべし。「新世界時代は串カツ13種だったけど、こっちはファミリーも多いから」と、串カツも40種、サイドメニューもバラエティー豊かに揃っている。夏ならハモ、冬は牡蛎の串カツなども。これは食べるのが大好きなマスターの趣味らしい。加えて是非モノは卵。小さいうずら卵の串カツを想像していると驚く。「新世界の卵の串カツといえば鶏卵。昔は鶉卵とかなかったからかな」とマスター。
ソースは、マスターが毎日仕込む。和歌山の地ソース「ハグルマ」のウスターソースをベースに父直伝の調味料をブレンド。甘すぎず辛すぎず、塩梅良し。
名物・どて焼きは昔のままに
名物のどて焼きは、甘めの白味噌もスジ肉も、仕入れ先を変えずに同じ味で作り続けている。スジ肉はアキレス腱ではなく横隔膜つまりハラミの皮だそう。「ハラ皮とも呼ばれる部位。ボイルして油抜きし、カットして串に刺して、もう気が遠くなる作業ですわ」と田中さんはぼやきつつ楽しそう。お土産には、コロナ禍に開発したこのスジ肉を使った「スジカレー」をどうぞ。
隣町の小阪に、田中さんの甥っ子が始めた2号店、そして布施には長らく務めていた人がのれん分けした店と、東大阪に『ちとせ』は3店舗に増殖。東大阪に出かけたら、串カツで決まり!
data
- 店名
- 串かつ ちとせ 八戸ノ里本店
- 住所
- 大阪府東大阪市下小阪5-5-25
- 電話番号
- 06-6728-3332
- 営業時間
- 17:00~22:30LO
- 定休日
- 月・火曜
- 交通
- 近鉄大阪線八戸ノ里駅から徒歩3分
- 席数
- 1階/カウンター12席、テーブル12席
- 個室
- 2階/座敷5~15名
- メニュー
- 串たまご198円、カキフライ572円、どてやき丼726円。生ビール中638円、箕面ビール935円、日本酒1合572円~。
- 備考
- ※テイクアウト可。ソース、牛スジカレーは通販可。お子さまセットあり。
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