『MOTOÏ』前田 元さんが作る「リブロースの和風プレート」

『MOTOÏ』前田 元さんが作る「リブロースの和風プレート」

お家でキャンプ飯

2022.11.25

文:「あまから手帖」編集部・森 千尋 / 撮影:佐伯慎亮
料理制作:前田 元

ソロキャンプに情熱を注ぐシェフたちによる、本誌との連動企画第4弾。今回は京都モダンフレンチの先駆け的な存在、『MOTOÏ』前田 元シェフに「リブロースの和風プレート」のレシピを教えていただきました!

目次

飯盒炊飯にこだわり40年 サーフィンの合間に英気を養う 「リブロースの和風プレート」どう作る? 米をいかにおいしく炊くか 店舗情報

飯盒炊飯にこだわり40年

実家が京都の老舗古書店で、絵本代わりに料理書を読んで育ったという前田さん。高校卒業後ホテルに就職し、中華レストランに配属。以来10年に渡り中国料理を極めるも、フレンチへの想いが強く、渡仏を決意します。

帰国後は大阪『HAJIME』などで経験を積み、2012年に『Restaurant MOTOÏ』オープンへ。2020年からは新業態『モトイギョーザ』を展開しています。

「山岳キャンパーだった父の影響もあって、薪拾いやナタ使いはお手の物。40年以上使い続けているこの飯盒も、父からのおさがりで。宝物なんです。重くて避ける人もいますが、僕はメスティンよりも、断然飯盒派。厚みがあるので直火への耐久性も高く、調理の幅が広がります。米を炊きつつ、外蓋をフライパンとして活用すれば、おかずも同時に作れますしね。焦げ目も傷も勲章です」

キャンプ中の前田シェフ石などの重しを乗せ圧力をかけると、よい炊き上がりに。

サーフィンの合間に英気を養う

サーフィンを目当てにソロキャンプを始めたという前田シェフは、常に「飯盒で炊いた米を、よりおいしく食べる」ためのおかず作りを考えます。

「サーフィンをやられたことがある方なら分かると思うのですが、このスポーツ、とにかくお腹が減るんです」。人間は体温を高めようとする際に、大きくエネルギーを消費します。そのため、自身の体温より低い水中で行うスポーツは、思っている以上に大きくカロリーを消費していることになります。

お酒も飲まれる前田シェフですが、サーフィンの合間に食べるのは、英気を養うためのガッツリとした漢飯。ワンプレートで完結し、思い切りかき込めるものが多いとのこと。

リブロースの和風プレート(寄り)

「リブロースの和風プレート」どう作る?

【材料】(1人分)

・牛リブロース…250g
・舞茸…60g
・シメジ…60g
・ナス…1本
・白米…1合分
・ニンニク…1/2片
・バター…8g
・オリーブ油…適量
・塩、コショウ…適量
・水…320㎖

【ソース】
・玉ネギ…1/2
・醤油…大さじ2
・ミリン…大さじ2
・米酢…大さじ2

【作り方】

牛リブロースを冷蔵庫から取り出し、調理台の上などに30分ほど置いて常温に戻す。解凍時に出てきた水分は、キッチンペーパーで丁寧に拭き取る。
塩、コショウを肉に揉みこんで10分ほど置く。
フライパンにオリーブ油を少々、温まったところへ②を入れる。強火で両面を2分ずつ焼いてから、弱火にしてじっくりと火入れする。焼き上がったら皿に取り出しておく。
舞茸、石づきを取ったシメジをひと口大にカットする。
バター、オリーブ油少々、潰したニンニクをフライパンに入れ中火で熱し、香りが立ったら④を入れて炒める。キノコに焼き色が付いたら塩で味を調える。
魚焼きグリルの中央にナスを並べ、強めの中火にかける。時間は10~12分ほどが目安。
途中ナスを転がして均一に火を通し、皮全体が黒く焼けたら取り出す。
熱いうちに、ヘタの付け根の皮をすくうようにして剥いていく。
皮が剥けた焼きナスは食べやすい大きさにカットし、オリーブ油と塩で調味する。
プレートに炊いたご飯をよそい、③、⑤、⑨を盛り付ける。上からソースをかけて完成。

【ソース】

鍋におろした玉ネギ、バター、塩少々を加え、飴色になる手前まで炒める。
醤油、ミリン、米酢を加えひと煮立ちさせる。
火を止めて冷ます。

おにぎり

米をいかにおいしく炊くか

今では炊飯専用のクッカーが多数販売されており、思い立ったらすぐにでもソロキャンプを始められるほどになりました。飯盒での炊飯は少々難易度は高めですが、それが楽しいのだと前田シェフは笑います。

昔ながらの兵式飯盒は、豆のように湾曲した形をしています。兵隊が腰につけて運びやすいように等、諸説あるのだそう。主に外蓋、中蓋、飯盒本体で構成されており、ハンドルが付いている外蓋はフライパンとしても使用できます。

飯盒で1合分の米を炊こうとすると芯が残ってしまうので、2合炊きがベスト。中蓋一杯に米を入れると、ちょうど2合分が計量できるようになっています。米を研いだら30分程度置いて浸水させることがポイント。この工程を省いてしまうと、芯まで火が入らず、コシのない炊き上がりとなってしまいます。余ったご飯は翌朝のおにぎりに。

他にもロケ地・福井県産の野菜を駆使した「目鯛のエチュベ(蒸し焼き)」など、フレンチの要素を取り入れたキャンプ飯を作ってくださった前田シェフ。19歳の頃から続けているというサーフキャンプの様子は、2022年12月号「バツグン酒場」特集の巻末連載にて。

■店名
『Restaurant MOTOÏ』
【住所】京都市中京区富小路通二条下ル俵屋町186
【電話番号】075-231-0709
【営業時間】12:00~13:00入店、18:00~19:00入店
【定休日】水・木曜
【お料理】昼/ランチ11000円、夜/22000円。シェリー酒マンサニージャG1080円。※サ10%別。

あまから手帖/2022年12月号
バツグン酒場
ご時世的に今行きたいのは、少人数でしっとり酔える、こんな酒場。上等居酒屋、日本酒、焼鳥、肴コース…バツグンな店へご案内。

Writer ライター

あまから手帖 編集部

あまから手帖 編集部

amakara techo

1984年の創刊以来、関西グルメの豊かさをお届けしてきた月刊誌「あまから手帖」編集部。 旨いものを求めて東奔西走、食べ歩いた店は数知れず。パン一つ、漬物一つ掲載するにも、関西の人気店を回って商品を買い集め、食べ比べる真面目なチーム・食いしん坊。

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