想い出の味は、都はるみさんと行ったあの老舗

―今日は大阪にまつわるお話を聴かせていただけたらと思っています。

そうそう、こないだね、『たこ梅』に行きたかったけど行けなかったの。あそこはネタの値段別に赤、青、黄とかに色分けした札をくれるのを知っています？　それを集めてお会計するんですけどね。いちばん最初は、昔、先輩の都はるみさんが連れて行ってくれたんです。いっとき、はるみさんとはウチの娘も一緒にご飯食べに行ったりしていましたね。

「大阪のお客さんは、ご自身の尺度を持っているんです」

―早速、良すぎるほどのエピソードを聴かせてもらえました…。他に大阪というと、どのような印象やイメージがありますか？

やはり大阪はフェスティバルホールとかの劇場公演ですね。それに何度も大阪の歌も歌っています。あと、これは他でもよく言っているんですが、デビューして4、5年目はビッグヒットが無くて、アルバムの中に収録されていた「津軽海峡・冬景色」を、当時の劇場公演でエンディングに歌ったんですね。そしたら、大阪の方は観たもの聴いたもので良いなと思った事をちゃんと声にしてくれまして、実際に「シングルにして下さい！」と言ってくれたんです。そこから、シングルカットして、大阪から全国に広がっていったんですよ。

―実は大ヒット曲「津軽海峡・冬景色」が大阪と縁があったという話は、意外と知らない人は多いと思います。それにしても、大阪のお客さんの反応って凄いんですね…。

劇場公演で緞帳が閉まる時に「おおきに～！ 今日も儲かったで～！！」と声が掛かった事があって、大阪だなって思いました。みなさんお金を払って来てくださっていて、その中で得した損したって考えておられるんだなって、私には聴こえたのね。よその地域では「ありがとう～！」は聴いた事あるけど、あまり得した損したという考え方は無くて、大阪のお客さんは自分の尺度を持ってらっしゃるんですよ。昔は海の近くの地域では威勢が良いとか元気が良かったりとかありましたけど、そういう特色が今は薄くなってきていますね。でも、大阪は変わる事なく現実主義な方が多いです。

以前、近松門左衛門のお芝居で、おさんと茂兵衛が「死のう死のう」と言っていて、でも茂兵衛が「好きでした」と打ち明けて、おさんが「死ねんようになった…、茂兵衛と添い遂げたい」と言ったら、大阪のお客さんが良いシーンなのに笑ったの。現実主義だから、「そやそや！　死んだらあかん！」となるみたい(笑)。

―大阪らしいですね(笑)。大阪の劇場公演中によく行かれるお店とかはありますか？

劇場公演中は食べると声が出なくなるから、あまり食べないんですよ。大体、1日2回公演で終わるから、食べないままになってしまうの。でも、よくスタッフとかと行った場所でいうと、そばめしで有名な『やきやき三輪』は行きましたね。今は東京の恵比寿にも出店しているんですよ。

大好きな京都。行列が絶えない人気店の豆大福が大好物

―関西で大阪以外ですと、京都もお好きですよね？

京都は好きですね。今度、“50年後の修学旅行”といって、同級生たちと町家へ泊まったりもするんですよ。同級生が旅のしおりも作ってくれるんです。私は一番京都に来ていますから、どこでご飯を食べるかの提案をしたりしますね。それと舞妓体験もしようと言っていて！　普通の家族旅行だと絶対にする事もないでしょうから(笑)。よく食べる京都のものだと、『出町ふたば』の豆大福が好きです。昨日も差し入れで頂いて、半分スタッフたちと食べて、もう半分はお家に持って帰ろうかなと。あと、三条大橋のところに豆屋があるんです。弥次喜多終点の像がある道の反対側の『本家 船はしや』も行きますよ。

――後半に続く