原田マハさん(前編)いつも感動するのは、京都のあの名店

原田マハさん(前編)いつも感動するのは、京都のあの名店

関西ファン !

2023.12.04

文:柴田くみ子 撮影:香西ジュン

関西ラバーな著名人のインタビュー連載「関西ファン!」第3回目のゲストは作家の原田マハさん。10代で東京から岡山に引っ越し、学生時代を神戸で過ごしたこともあって、関西は「ホームグラウンドな感じ」というマハさん。2022年、京都にオープンしたマハさんプロデュースのセレクトショップ『YOLOs(よろず)』で、関西の好きな場所やお店についてお聴きしました。

目次

関西は私のホームグラウンド 京都国立博物館は“整うスポット” 溢れ出す京都の名店

関西は私のホームグラウンド

—東京ご出身で、長野やパリにも拠点をお持ちですが、マハさんにとって関西はどんな場所ですか?

生まれは東京ですが、親の仕事の関係で10代の時に岡山に引っ越し、そこから関西の大学に進学して神戸で暮らしていました。一番多感な時期に、西のカルチャーを吸収して育ったので、行きたいところや好きな食べ物、観たいものもたくさんあって、関西にいるとすごく気持ちが落ち着くんです。自分のホームグラウンドな感じですね。
特に京都は、精神的に安定するし、凪いだ気持ちになれるところ。暮らしにおいても、創作においても、もっと言えば人生全体においても、定期的に京都へ来ることは私にとってすごく大切なことなんです。

原田マハさん

京都国立博物館は“整うスポット”

—京都の中でも特に好きなところはありますか?

私は美術館を巡るのがすごく好きなんですが、整いたい時に行くのが京都国立博物館です。心が落ち着く場所なので、なるべく人のいない時間を狙って行くんです。京都って街がコンパクトだから、洛中からなら30分ぐらいでどこへでも行けるのもいいですね。

—パリにも拠点をお持ちですが、京都と似ているところがあったりするんですか?

とても似ていると思います。どちらも古都っていうのもあるけど、文化的なものに対してオープンというか。表向きには結構心のドアを閉ざしているんですが、作家とかアートとか、カルチャーを切り口にした突破口があると、急にパッとドアが開いてオープンになるようなところ。すごく似ている気がします。

溢れ出す京都の名店

—日本だけでなく世界の国々を旅されて、食にまつわるエッセイなどもたくさん書かれていますが、ここがイチ推し!というところを教えてください。

最近は、美味しいお店しか行かないので、迷うところですが、いつも感動するのが京都の『美山荘』です。料理はもちろん、しつらえやサービス、ロケーション、すべてにおいて素晴らしい。バランスシートを作ったら、ほぼ満点に近いかも。季節ごとにお料理も変わるので、いつも次が楽しみなんです。

—なるほど!やっぱり京都のお店なんですね。

そうですね。日本は旬の食べ物が豊かなので、四季折々の料理が楽しめます。特に関西は瀬戸内も日本海もあるし、山の幸も湖の幸もあって、食の楽しみが尽きませんよね。
中でも京都は、和食も洋食も、中華も独特の『糸仙』さんみたいな京中華があったりして、すべてのレベルが高い。洋食では上七軒の『グリル彌兵衛』さん、ほかにも串かつの『お初』さん、天ぷら『松』さん、大人気店『食堂おがわ』さん、ランチなら湯葉の老舗『千丸屋』さんの湯葉鍋などですね。まだまだもっとありますが、これくらいにしておきます(笑)。
私は和菓子も大好きなんですが、季節ごとに美味しくて、見た目も美しい和菓子がたくさんありますよね。西陣の『塩芳軒』さんや、天神さんの門前にある『粟餅所・澤屋』さんみたいに、シンプルだけど奥深いお菓子を作っておられるお店もあって、京都は本当に美味しいものの宝庫だと思います。

原田マハさん

――美味しいものの話題になれば、とめどなくネタが溢れ出るマハさん。後編では、マハさんプロデュースのセレクトショップ『YOLOs』の誕生秘話や推しの商品を聞いてみました。

YOLOs


原田マハさん

森ビル森美術館設立準備室在籍中に、ニューヨーク近代美術館に派遣され同館にて半年間勤務。その後独立、フリーのキュレーター、カルチャーライターへ転身。2005年「カフーを待ちわびて」で第1回日本ラブストーリー大賞受賞、2012年「楽園のカンヴァス」で山本周五郎賞など、受賞歴多数。2010年「本日は、お日柄もよく」は累計70万部突破のロングセラーに。アート系作品から号泣必至の勇気をもらえる本まで、多数の著書で読者を魅了している。最新刊は「黒い絵」「お帰り キネマの神様」。


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