3月号の裏話シリーズ①代わりに取材してくれた先生

3月号の裏話シリーズ①代わりに取材してくれた先生

今月の…お蔵入り

2023.02.22

文:「あまから手帖」編集部・松崎聖子 / 撮影:佐伯慎亮

日本語が通じない。取材の約束も「知らない」と言われる。そんな島之内でのガチな中華料理店では、ハプニングもあったけど奇跡的な出会いもあった。誌面では伝えられなかったのでこの場でお礼を言いたい。

目次

取材に行ったら「やっぱりやめます」と言われる 見知らぬ教授が代わりに取材してくれた 懺悔します。写真載せられませんでした

取材に行ったら「やっぱりやめます」と言われる

中華特集のコア企画となる「ガチ中華」の取材では、まさに言葉の壁との闘いだった。店員も客も中国人、電話しても「喂你好」。在日・訪日中国人をターゲットにした店だから、そもそも日本語の必要性がないのだろう。

望湘楼の豚肉料理「望湘楼」にて。中国版アイスバインと言うべき巨大な豚の肉塊料理

私はかれこれ20年ほどチンタラと中国語を勉強しているが、恥ずかしいほど初心者レベル。カタコトで話せても、相手が言っていることがチンプンカンプン。今回はなんとか直アポで「関西の一番有名なグルメ雑誌に載せますよ」と唆し(?)、取材にはこぎつけたが、そのうちの1店が、約束の日に行ったら「やっぱりいいです」とのこと…!

どうやら日本語ができるスタッフがその日は来ておらず、誰も意思疎通ができない状態だったようだ。カメラマンとライターと私で途方に暮れていたところ、なんと、たまたま中国語ができる大学教授とその仲間たちが、新年会で店にやってきたのだ。

見知らぬ教授が代わりに取材してくれた

望湘楼料理麺のように見える干豆腐の和え物は、予想以上に旨い

救世主! しかも教授が教えている大学は私の出身校。さらに店の社長とも仲良しで、さっきまでのピンチが嘘のように取材の全てがスムーズに進んだ。教授が通訳してくれたり、中華料理について店主に聞いて教えてくれたり、飲んでいる様子を撮影させてくれたり。取材を終えると彼らのグループに我々も加わって宴会となった。

教授の名は大形徹先生。中国哲学や漢語を教えており、仲間の女性は鍼灸師などやはり中国に関係のある職業の方々だ。職場以外でこういった方との出会いがあるなんて嬉しい。時々彼らは集まって中国料理パーティーなどを開いているようなので、私も乗っかって一緒に美味しいもん食べたい。と図々しいことを目論んだ。

懺悔します。写真載せられませんでした

と言いつつ先生、ごめんなさい。あの時撮らせていただいたみなさんの写真、誌面では載せることができなかったのです。料理でドーンといこうという話になってしまったんです…。

大形先生たち大形先生(手前)と、東洋医学関係の女性たち

なので代わりにこの場で写真を公開させていただきます。ちなみに先生は私など比ではないぐらい現地でガチな中国料理を食べてきたそうで、「カイコの串焼き」を美味しいよと薦めてくださった。感想は……(´▽`)。

カイコ串焼き厨房でカイコを焼いています。クリーミーで皮がサクッとしています

ともあれ、大形先生ありがとうございました。また何かありました時はお助け下さい(笑)!

■店名
『望湘楼』
■詳細
【住所】大阪府大阪市中央区宗右衛門町3-11 リバーサイド磯ふくビル B1F
【電話番号】06-6211-7518

掲載号
あまから手帖2023年3月号『中華の町へ』
おそらく関西の雑誌史上、最もディープに攻めた中華料理特集。「鉄鍋炖」に「第三の王将」…、中華の沼は深いのだ。

Writer ライター

あまから手帖 編集部

あまから手帖 編集部

amakara techo

1984年の創刊以来、関西グルメの豊かさをお届けしてきた月刊誌「あまから手帖」編集部。 旨いものを求めて東奔西走、食べ歩いた店は数知れず。パン一つ、漬物一つ掲載するにも、関西の人気店を回って商品を買い集め、食べ比べる真面目なチーム・食いしん坊。

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