美食の宿「星のや京都」の夕食と朝食をレポート。

美食の宿「星のや京都」の夕食と朝食をレポート。

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2023.05.12

文・撮影:「あまから手帖」編集部

旅好き、宿好き、そして美食家にとって憧れの「星のや」。なかでも、2023年春に新総料理長を迎えた、京都・嵐山「星のや京都」のお料理(春バージョン)を全部お見せします!

目次

優しい日本酒と春の味で始まる夕食 季節を映す八寸と、絶妙な火入れの焼物 コースの緩急と遊び心は最後まで 朝食もおもてなしの心で溢れていた!

優しい日本酒と春の味で始まる夕食

「星のや京都」へお伺いしたのは、梅がほころぶ3月上旬。まずは京都・伏見「月の桂」で知られる、増田徳兵衛商店の低アルコール純米酒「神多呑(かみたのみ)」が。フルーティーな香りとすっきりした甘みと酸味で、食欲が湧きます。先附けは赤貝や蕨、こごみなど春の味を、酢味噌と優しい酸味を添えるレモンの泡で。モダンな遊び心が利いています。

続く椀物はアブラメ、ウルイ、筍の薄葛仕立て。しっかりとした旨みを感じる吸地は、後口が意外なほど清らかです。

星のや京都先付、赤貝、こごみ、山菜先附。酢味噌だけでも十分美味しいが、レモン泡でモダンな味わいに。


道明寺粉を纏ったアブラメの旨みがとろりと口の中に広がる。

季節を映す八寸と、絶妙な火入れの焼物

愛らしいおしどりの器で登場したマグロ、鰆、桜鯛の向附の後は、八寸の登場です。宿のある嵐峡の春景色を写し取ったような趣。黄色が美しい楽焼の蓋を取ると、中にはお弁当のように酒肴がぎっしりと。筍木の芽和えや菜の花、桜豆腐など、春の味わいにお酒も進みます。

お次の焼物は牛フィレ肉の炭火焼。隠し味に粒マスタードを加えた金柑ソースと一緒に味わうフィレ肉は焼き加減が絶妙で香ばしく柔らかで、すこし洋風な印象も。

星のや京都、造り、向付向附のマグロは醤油でも、卵黄ソースでも。

八寸、花見弁当、桜花見弁当のようで心が華やぐ八寸。現代作家ものなど、器も見どころの一つ。

星のや京都、牛フィレ肉、炭火焼、焼物甘酸っぱい金柑ソースはフィレ肉と好相性。

コースの緩急と遊び心は最後まで

先ほどの牛の炭火焼でお腹も心も満たされた…というところに炊合せが登場。コースで食事をしているとよくある、まだ出てくるの!? という嬉しい悲鳴ですが、これが聖護院大根を炊いたシンプルなもので、クレソン餡と柚子でさっぱり。緩急の付け方、一捻りのセンスが心憎いほどですね。

締めは鯛ご飯。桜エビがたっぷりで、最後まで目でも舌でも春を満喫させてくれます。さらに、デザートはメロンとブドウときな粉アイスがパフェのような仕立てで。ポルト酒のジュレが大人味で、甘すぎず、穏やかに食後のデザート欲を満たします。

星のや京都、聖護院大根、炊合せ薄味で柔らかに炊いた聖護院大根にクレソン餡が爽やか。

鯛ご飯、桜エビ、食事鯛ご飯と一緒に出される香の物、鯛の赤出汁もしっかり美味しい。

星のや京都、デザート、メロン、甘味量も仕立てもツボをつくデザート。

朝食もおもてなしの心で溢れていた!

さらにさらに翌朝! 朝食もさすが「星のや」、という特徴が随所に。夕食はお部屋からダイニングへ出かけていただくのですが、「星のや京都」ではなんと朝食が部屋食。起き抜け、身支度が整っていなくても食事ができるのは嬉しいですよね。スタッフの方が準備に来てくださいますが、寝室は別なので安心。

朝が部屋食なのに加え、魅力的なのが「朝鍋」。朝からおだしの香るお鍋をメインに食事、とはワクワクしますよね。お鍋と言っても、新鮮な野菜とだしを味わうもので、全然重くないのです。餡掛け豆腐や焼き魚と共に、滋味深い野菜鍋をいただき、締めは雑炊を。今日も一日アクティブに動ける気分になります。

「星のや京都」では食事の予約は宿泊と別になっていますが、泊まる際にはぜひ夕食・朝食を予約して、美食の宿と言われる「星のや」の醍醐味を体感したいですね。

今回は春のお料理のご紹介でしたが、初夏~夏、秋、冬へと四季折々の美味が楽しめるので、ぜひ食を目当てにお出かけください。もちろん、嵐峡の自然も季節ごとに見どころたっぷりです。

お部屋やアクティビティなどについては最新号のあまから手帖5月号に掲載していますので、ぜひそちらをご覧ください!

星のや京都、朝鍋、朝食、スタッフ朝食の準備をテキパキとする宿のスタッフさん。スタッフは皆さん親切でいて、慇懃過ぎない対応が心地いいです。

星のや、朝食、朝鍋九条ネギや水菜、シメジに椎茸、玉ネギ、金時人参などが入る朝鍋。餡掛け豆腐やサラダ、焼き魚などと共に。

■店名
『星のや京都』
■詳細
【住所】京都市西京区嵐山元録山町11-2
【電話番号】050-314-8091(星のや総合予約)
【公式サイト】https://hoshinoya.com/kyoto/

掲載号
『あまから手帖5月号』

Writer ライター

あまから手帖 編集部

あまから手帖 編集部

amakara techo

1984年の創刊以来、関西グルメの豊かさをお届けしてきた月刊誌「あまから手帖」編集部。 旨いものを求めて東奔西走、食べ歩いた店は数知れず。パン一つ、漬物一つ掲載するにも、関西の人気店を回って商品を買い集め、食べ比べる真面目なチーム・食いしん坊。

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