大阪のうどんを守り続ける「道頓堀 今井」

大阪のうどんを守り続ける「道頓堀 今井」

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2023.10.03

文:「あまから手帖」編集部・米川夏美
撮影:伊藤信

大阪うどんを代表する、昭和21年創業「道頓堀 今井」。定番のきつねうどんを始めとした、だしを大事にして作る料理の数々は、今も多くの大阪人と観光客に愛され続けている。

目次

大阪うどんって? 戦前は楽器屋だった 店舗情報

大阪うどんって?

「大阪うどん」はたこ焼きやお好み焼きに並ぶ大阪のソウルフード。最近は麺にコシがある香川の讃岐うどんが大阪にも進出しているのが目立つが、大阪にも独自のうどん文化がある。

「道頓堀今井」きつねうどんきつねうどん880円。

讃岐うどんは、先ほども述べたように麺にコシがあり、ぶっかけや釜揚げで麺を主役に楽しむものである。

一方で、大阪うどんはだしや具材にも力を入れ、全体のバランスを楽しむものだ。大阪うどんの麺は、讃岐に比べると柔らかめでもちもちである。

「道頓堀 今井」はそんな大阪うどんをずっと守り続けている店のひとつだ。

中でも大切なのが、だし。

「道頓堀今井」レシピノート現社長のノート。受け継がれているだしのレシピ。これと同じ分量で作ったとしても「道頓堀 今井」同じものはできない。その秘密は使っている食材の質が違うから。

だしは、北海道産の天然真昆布と九州産のさば節とうるめ節を使用している。飲むと、大阪人、いや日本人なら誰もがホッとするような身体中に沁みわたる味わいだ。

「道頓堀今井」厨房厨房の様子。だしの香りが充満している空間。

戦前は楽器屋だった

道頓堀といえば、つい最近阪神タイガースのアレがあったから、どのニュース番組にも道頓堀が映し出されていたのが記憶に新しいが、海外から来た観光客も、コンサートのため来日したKアイドルたちも、大阪に来れば道頓堀で写真を撮るのがお決まりになっている。

そんな大阪を代表する有名スポットである道頓堀は、江戸時代には芝居小屋がたくさんある場所だった。

芝居を見に来た人に食べ物を売るため、その場所で繁盛したのが芝居茶屋だった。「道頓堀 今井」は、当時「稲竹」という芝居茶屋のうちのひとつだったのだ。

その後、時代の流行りを察知した当時の5代目の発案で西洋楽器を販売する「今井楽器店」を創業。

そこから、戦争をきっかけに「御蕎麦処 今井」に。

そして今の「道頓堀 今井」へと繋がるのだ。

「道頓堀今井本店」正面入り口柳が目印。(この画像のみ店からの提供)

芝居茶屋の頃から場所は変わらないというからすごい。大阪の時代の流れをずっとずっとこの場所から見守ってきたのだ。(向かい側に移動したらしいというマイナーチェンジはある)

今、本店の店前の通りは、海外にいるのかと思うほど色んな言葉が飛び交っている。

「道頓堀今井」社長の今井徹さん社長の今井徹さん

今も「道頓堀 今井」には行列ができている。長い歴史を持つ、ホンモノの味はこれからの未来にも変わらずに残っていってほしいと思う。

「道頓堀今井」親子丼親子丼(吸物付き)1500円。これにもだしが使われている。トロトロの玉子と共にペロリと食べられる。

■店名
「道頓堀 今井 本店」
■詳細
【住所】大阪市中央区道頓堀1-7-22
【電話番号】06-6211-0319
【公式サイト】https://www.d-imai.com/

掲載号『あまから手帖10月号』

Writer ライター

あまから手帖 編集部

あまから手帖 編集部

amakara techo

1984年の創刊以来、関西グルメの豊かさをお届けしてきた月刊誌「あまから手帖」編集部。 旨いものを求めて東奔西走、食べ歩いた店は数知れず。パン一つ、漬物一つ掲載するにも、関西の人気店を回って商品を買い集め、食べ比べる真面目なチーム・食いしん坊。

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