
大阪の閑静な住宅街に佇むネルドリップ深煎りの名店
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珈琲は喫茶店でも珈琲店でもどちらでも飲めるが、珈琲店の方が珈琲に対しての専門性が高く、造詣の深い店主が多く感じるのは気のせいか。ネルドリップ深煎りの名店に行ってみた。
往年のストロングスタイル貫く珈琲店
喫茶店のナポリタンやカレー、プリンやメロンソーダの口の日もあるけれど、珈琲の味をじっくり味わいたい時に向かう先は珈琲店と決めている。
都会の喧騒を離れ、閑静な住宅街にひっそり佇む珈琲店ならなおいい。
大阪・箕面市の「廣屋珈琲店」は、深煎りネルドリップを主軸に、往年のストロングスタイルを貫く。カウンターでは店主の廣井知亨さんが右手にポットを持ち、ネルのみを動かしながらじっくり抽出している。新聞を読みながらのんびり過ごす客やテーブル席には主婦仲間だろうか、ママさん達がハナシに花を咲かせている。
趣深いネルドリップの一杯にウルっと
すっと差し出された珈琲を即座にひと口。
濃密な味わいだか苦みは一切感じることなく、甘みが際立っている。
この一杯のために、店主が費やした時間を思う。
店主を筆頭に、さっきから同じカウンターで新聞を読んでいる人、後ろに陣取るママさん仲間、そして自分。バラバラの人生を歩んできたそれぞれが、一杯を介し交差する。
そう考えると、皆に親愛のような情も湧いてきたが、恐らく盛り上がっているのは自分だけ。 酒も呑んでないのにウルっときた。ヤバイヤバイ。
クールダウンさせるために改めてひと口。 それにしてもネルドリップとは、淹れるまでも淹れ終えてからも、すべてが面倒に違いない。
たっぷり湯に濡れた出涸らしの珈琲粉と布。洗うのを想像しただけで辟易してしまう。でも、ペーパードリップやほかの抽出法では出せないこの味。手間暇を惜しまず切々と。本気で尊敬と感謝の念が沸いてくる。
そんなこんなで一杯をじっくり飲み終え席を立つ。
レジ横の本棚にはあまから手帖の最新号天神橋筋特集が並べられている。ちなみに次回2月号は珈琲特集、その次は北摂特集。どちらにもリンクするこちらの店だが、すでに2022年10月号北摂特集にて、珈琲に精通するライター田中慶一氏が素晴らしい文章でご紹介しているため、今回はこのWEB誌面にて。
ご報告も兼ねてまた、お邪魔させていただけたらと。
珈琲を淹れる店主の廣井知亨さん
■店名
廣屋珈琲店
■詳細
大阪府箕面市桜井2-17-3
☏072-720-7055
https://www.instagram.com/kaffeehiroya/?hl=ja

Writer ライター

あまから手帖 編集部
amakara techo