
バー連載のイラストができるまで。
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本誌最終ページのバー連載「クロージング・タイム」には、毎回素敵なイラストが。編集者がうんうん悩みながら撮影した写真を、イラストレーターさんが見事にアレンジし、文章に彩を添えてくれているのです。
酔っ払い編集者の写真がイラストに
本誌の最終ページに位置する、バーの連載「クロージング・タイム」。3か月に1度、作家の大竹聡さんを関西にお招きして、3日間かけてひたすら京阪神のバーを巡り、マスターの話に耳を傾ける。もちろん、がっつりお酒をいただきながら。ただただ至福である。
連載が始まって1年が経過し、少しずつ飲むペースがつかめてきた気がするが、未だに1日目は後先を考えずに飛ばしてしまう。大竹さんと別れた瞬間に気が抜けて一気に酔いが回り、電車の温かい椅子に沈むと爆睡。2日目になると徐々に回復、迎え酒を重ねた3日目がなぜか一番元気になるという謎のサイクルを繰り返している。
それはさておき、連載ではイラストレーターのフジマツミキさんがいつも素敵な絵を添えてくれている。取材時に撮影した私の拙いiPhoneの画像をその場の空気感までくみ取って見事にイラストに表現してくれる。
写真はお店のロゴや、コースターなどのアイテム、外観、カクテルを撮影することにしているのだが、主題となる対象を見つけるのが回を重ねるごとに難しくなってきている。最近は悩んでいる間に、酒が回ってきて判断力が低下しているせいかもしれない。バーテンダーさんのお人柄が何よりもらしさが現れる部分だとは思うが、そこは大竹さん軽妙な文章、マスターの語り口から想像してもらいたいと思い、これまでは「人」を撮影してこなかった。
ところが今回、初めて人の姿が登場する。2月号でお邪魔したのは神戸・三宮にある「サヴォイ北野坂」。木村義久マスターが生み出した有名な「ソル・クバーノ」をイラストにしてもらうため、輪切りのグレープフルーツにストローを差し、ミントを乗せるところから撮影を開始する。
「ソル・クバーノ」。思わずカメラを向けたくなる華やかな見た目。
一連の写真を見ていただいたフジマツさんからの提案は2つ。片手ですっとソル・クバーノを差し出すカットと、そっとグラスを優しく両手で包み込むような動きのある絵。
同じカクテルだが人の手の在り方で、印象がガラリと変わって見える2案だ。どちらにしようかわくわくしながら2つのイラストを見比べているうちに、口内が記憶の中のグレープフルーツの酸味で満たされていく。
きっと多くの人たちが写真に収めてきたであろうトロピカルなカクテルが、どのようにイラスト化されているのか、2月号の連載をぜひご覧ください。
■店名
サヴォイ北野坂
■詳細
兵庫県神戸市中央区中山手通1-7-20 第3天成ビル4階
078-331-8977
15:00~22:30(LO)
日曜休

Writer ライター

あまから手帖 編集部
amakara techo