狙ったレトロじゃない「茶房にちりん」で、最も見てほしい“あるモノ”
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表の食品サンプルを二度見し、ゴージャスな螺旋階段に圧倒され、隣の人が頼んでいるパフェに目が釘付けになる。昭和のまま時が止まったような「茶房にちりん」には、喫茶遺産と呼ぶべきものが溢れていた。
子供の頃の夢を詰め込んだような空間
店内の螺旋階段。昔は2階でレーザーディスクを流していた
カメラマンが言った。「子供の頃の夢そのまんまの空間じゃないですか!」と。
食品サンプルを綺麗に保つのって大変なのだ
確かに、ソフトクリームがコーンごと刺さったパフェや、厚さ5㎝ほどあるホットケーキ、雪だるま姿のアイスなど、大人でも「うわぁぁ」と歓声を上げたくなるような、レトロ&メルヘンなメニューばかり。表のピカピカのサンプルを見ているだけでも面白い。螺旋階段のあるキラキラした店内にも思わず見とれる。
「今あんまり見ないよな」というビジュアルのメニューばかり
創業は1945年、なんと今年で79年になる老舗喫茶だ。開いたのは店長・荒井徹治さんの母親。「料理屋の生まれだったので、芸事が好きで。サラリーマンと結婚したんですけど、やっぱり商売がしたいって」。
パフェは「セレブなスイーツ」なんですね!
万博の頃から「焼プレスサンド」を
尼崎でもいち早くレーザーディスクの映像で音楽や映画を流し、1970年には万博で展示されたばかりのホットサンド器をすぐさま導入。常に流行を取り入れる最先端喫茶だったのだ。
そのホットサンド器は今も現役で、モーニングで人気の「五彩とーふハンバーグ」などの焼プレスサンド(とここでは呼ばれる)を作るのに大活躍。
モーニングの「五彩とーふハンバーグ&ベーコンエッグ」はなんと、ドリンク代に+100円でセットにできる
24年前の、神戸のモーニング事情を知る資料
あまから手帖3月号連載の誌面では書けなかった話が、荒井さんが24年前に作り上げた“モーニング図鑑”のことだ。
コーヒー・フェスタとは、同業者の集まる展示会
当時、兵庫県喫茶環境衛生同業組合の副会長をしていた荒井さんが、2000年に開かれたコーヒー・フェスタに出展したものだ。「よその店がいかに工夫しているかをみんなに発信したくて」、一軒一軒、喫茶店のモーニングを巡って写真に収めたという。
荒井さんが一軒ずつ店を訪問し、布を敷いて撮影。プロ並み…!
これは貴重な資料‼
トーストやロールサンドなどシンプルなセットから、イタリアンスパとオムレツなどがモリモリの名古屋級モーニングまで。もちろん、もう閉店した店もあるが、今も変わらず(さすがに値上げはしているが)同じセットを出している店もあるかもしれない。
ランチ並みのボリュームのモーニングセットも700円だったのか…
皆さんも、にちりんに行ったら、荒井さんに「モーニング図鑑(正しくはモーニング・セット拝見)見せて!」と頼んでみると良いかもしれない。
店主の荒井さん、なんと御年80!
荒井さんがたっぷりと昔話をしてくれるはずだ。ちょい話好きなので、時間に余裕のある時にどうぞ(笑)。
■店名
茶房にちりん
■詳細
兵庫県尼崎市神田中通3-57
06-6419-7755
https://www.instagram.com/explore/locations/365031604361560/
Writer ライター
あまから手帖 編集部
amakara techo