狙ったレトロじゃない「茶房にちりん」で、最も見てほしい“あるモノ”

狙ったレトロじゃない「茶房にちりん」で、最も見てほしい“あるモノ”

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2024.02.26

文・あまから手帖編集部・松崎聖子:撮影・赤鹿麻耶

表の食品サンプルを二度見し、ゴージャスな螺旋階段に圧倒され、隣の人が頼んでいるパフェに目が釘付けになる。昭和のまま時が止まったような「茶房にちりん」には、喫茶遺産と呼ぶべきものが溢れていた。

目次

子供の頃の夢を詰め込んだような空間 万博の頃から「焼プレスサンド」を 24年前の、神戸のモーニング事情を知る資料 店舗情報

子供の頃の夢を詰め込んだような空間

「茶房にちりん」の螺旋階段店内の螺旋階段。昔は2階でレーザーディスクを流していた

カメラマンが言った。「子供の頃の夢そのまんまの空間じゃないですか!」と。

「茶房にちりん」の食品サンプル食品サンプルを綺麗に保つのって大変なのだ

確かに、ソフトクリームがコーンごと刺さったパフェや、厚さ5㎝ほどあるホットケーキ、雪だるま姿のアイスなど、大人でも「うわぁぁ」と歓声を上げたくなるような、レトロ&メルヘンなメニューばかり。表のピカピカのサンプルを見ているだけでも面白い。螺旋階段のあるキラキラした店内にも思わず見とれる。

「茶房にちりん」のメニュー「今あんまり見ないよな」というビジュアルのメニューばかり

創業は1945年、なんと今年で79年になる老舗喫茶だ。開いたのは店長・荒井徹治さんの母親。「料理屋の生まれだったので、芸事が好きで。サラリーマンと結婚したんですけど、やっぱり商売がしたいって」。

「茶房にちりん」のセレブなスイーツパフェは「セレブなスイーツ」なんですね!

万博の頃から「焼プレスサンド」を

尼崎でもいち早くレーザーディスクの映像で音楽や映画を流し、1970年には万博で展示されたばかりのホットサンド器をすぐさま導入。常に流行を取り入れる最先端喫茶だったのだ。

そのホットサンド器は今も現役で、モーニングで人気の「五彩とーふハンバーグ」などの焼プレスサンド(とここでは呼ばれる)を作るのに大活躍。

「茶房にちりん」のモーニングセットモーニングの「五彩とーふハンバーグ&ベーコンエッグ」はなんと、ドリンク代に+100円でセットにできる

24年前の、神戸のモーニング事情を知る資料

あまから手帖3月号連載の誌面では書けなかった話が、荒井さんが24年前に作り上げた“モーニング図鑑”のことだ。

「茶房にちりん」のモーニング図鑑コーヒー・フェスタとは、同業者の集まる展示会

当時、兵庫県喫茶環境衛生同業組合の副会長をしていた荒井さんが、2000年に開かれたコーヒー・フェスタに出展したものだ。「よその店がいかに工夫しているかをみんなに発信したくて」、一軒一軒、喫茶店のモーニングを巡って写真に収めたという。

「茶房にちりん」のモーニング図鑑荒井さんが一軒ずつ店を訪問し、布を敷いて撮影。プロ並み…!

これは貴重な資料‼
トーストやロールサンドなどシンプルなセットから、イタリアンスパとオムレツなどがモリモリの名古屋級モーニングまで。もちろん、もう閉店した店もあるが、今も変わらず(さすがに値上げはしているが)同じセットを出している店もあるかもしれない。

「茶房にちりん」のモーニング図鑑ランチ並みのボリュームのモーニングセットも700円だったのか…

皆さんも、にちりんに行ったら、荒井さんに「モーニング図鑑(正しくはモーニング・セット拝見)見せて!」と頼んでみると良いかもしれない。

「茶房にちりん」の店主荒井徹治さん店主の荒井さん、なんと御年80!

荒井さんがたっぷりと昔話をしてくれるはずだ。ちょい話好きなので、時間に余裕のある時にどうぞ(笑)。

■店名
茶房にちりん
■詳細
兵庫県尼崎市神田中通3-57
06-6419-7755
https://www.instagram.com/explore/locations/365031604361560/

テーマは「地元密着」。外から北摂へ戻ったお店のストーリーから、新店情報が満載の「ほくほく北摂ニュース」、ご近所バー、ほろ酔いおでん酒場、毎日通いたいパン屋などなど。地元人へのアンケートや常連さんが映った写真も掲載しているので、あなたの知り合いが載っているかも!?

Writer ライター

あまから手帖 編集部

あまから手帖 編集部

amakara techo

1984年の創刊以来、関西グルメの豊かさをお届けしてきた月刊誌「あまから手帖」編集部。 旨いものを求めて東奔西走、食べ歩いた店は数知れず。パン一つ、漬物一つ掲載するにも、関西の人気店を回って商品を買い集め、食べ比べる真面目なチーム・食いしん坊。

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