京都『虎の目洋菓子店』日々通いたい、焼きたてフランス菓子

スイーツを心から愛する京都人、ライター・小林明子さんがときめいたおすすめの最旬スイーツをご紹介します。
今回は、ベテランパティシエが満を持して開店した洋菓子店。1つ、2つと手に取りたくなる、実直なフランス菓子です。

ベテラン菓子職人が長年の夢を実現

北山通から北大路通にかけての約1㎞にわたって、様々なジャンルの専門店が軒を連ねる新大宮商店街に今春オープンした洋菓子店。オーナーパティシエの西村雅孝さんは、都ホテル(現・ウェスティン都ホテル京都)の製菓部や市中の洋菓子店で腕を磨いた後、国内外でホテル、レストランを展開する運営会社で技術指導やメニュー開発を長く担当してきたベテランだ。

「いずれは自分の店を持ちたいと思い続けていたのですが、日々の忙しさになかなか実現させることができず…。昨年、50歳になったのを機に長年の計画を実行に移しました」

西村さん自身と販売を担当する奥様、市内のパティスリーで活躍中の娘さんが寅年であることから、店名を考案。翼を持つ3匹の虎が並ぶロゴマークには、先頭を行く親虎、後に続く子虎の頭部にコック帽が描かれている。

“お団子感覚”で買いたくなる焼菓子の数々

落ち着いた雰囲気の店内には常に甘い香りが立ち込めている。厨房から運ばれてくる焼きたてのマドレーヌやフィナンシェはあえて包装をせず、焼き型に乗せたままのものも少なくない。

「1個、2個、お団子を買うような感覚で来てもらえる、かしこまらない感じの店にしたかったのと、焼菓子は香りも魅力のひとつ。フィルム越しではわかりにくい、生地の質感なども見てもらえると思います」

虎の目洋菓子店/フランス菓子
左から、ブルターニュ名物の塩を、甘みを引き立てるための隠し味として加えいるファーブルトン330円、ふっくら生地が人気のマドレーヌミエル280円、パールシュガーのカリカリ感も楽しいシュー・ア・ラ・クレーム270円。
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手つかずの大自然のなかで採取された、焼成後もさわやかな香りが印象を残すキルギス産ハチミツと発酵バターを使うふんわりマドレーヌ。注文を聞いてから、プリンのように濃厚なバニラカスタードクリームを詰める、シュー・ア・ラ・クレーム。ブルターニュ地方の銘菓・ファーブルトンなど、カウンター上には常に15~20種の焼菓子が並ぶ。

「ブルターニュのお粥という意味のファーブルトンは、今はフランスでもあまり見かけないクラシックなお菓子ですが、セミドライプルーン入りのモチモチ生地が人気なので毎日焼いています。朝食や軽食にもおすすめです」

伝統的な焼菓子だけでなく、オリジナルのレシピも多数保有している西村さん。今後は生菓子も提供する予定だ。

writer

小林 明子

kobayashiakiko

京都在住フリーライター。缶入りクッキー、ワッフル、薯蕷饅頭、そば餅…、これらの名店に徒歩で行ける京都市の烏丸御池近くに生まれる。自動的に甘いもの好きが出来上がりました。