
六甲山最高峰から有馬温泉へ。温泉街でリベンジ下山後酒場なるか。/六甲山編その6・前編
「登山の後の一杯は、登頂にも勝る至福の瞬間!むしろそれ目的に山に登る」と語る“酒飲みハイカー”ミツルさんとアラフォーの自称山ガール・おばやしが、初心者向けトレッキングと「下山後すぐに酒が飲める店」を訪ね歩く。前回有馬温泉で下山後酒場を見つけられず、甲山でお茶を濁した二人。今回改めて六甲最高峰(931m)を目指し、有馬温泉へと下り、リベンジ下山後酒場へ。
contents
クライミングの聖地から絶景を目指す
- ミツル
- さあ、いよいよ今回は六甲山最高峰を目指しますよ! コースは阪急芦屋川駅からロックガーデンを経由して六甲山最高峰。そして北斜面を下った先にある有馬温泉で汗を洗い流す、いわば六甲山の王道ルートです。
- おばやし
- 有馬温泉の飲食店は、観光客をターゲットにした店が多いイメージ。私達のような平日に昼酒を目論む“酒飲みハイカー”には条件が厳しいみたいですけど、そこんとこ大丈夫ですか?
- ミツル
- 行ってみないとわからん。私の鋭い酒飲み嗅覚に従えば、きっとどこかに入れるはずじゃ。それでも念のため、めぼしい店に電話で営業を確認しているので安心したまえ。酒場よりキミは体力を心配するべき。なにせ登って下って4時間以上はかかるからね!
- おばやし
- 阪急芦屋川駅にはハイカーが多いですね~。芦屋の高級住宅街でリュックを背負って歩くなんて、なんか不思議な感じ。
- ミツル
- 芦屋〜六甲山最高峰〜有馬温泉は超メジャーなコースですからね。住宅街の中はあまり大声でおしゃべりせず、静かに歩きましょう。所々に道しるべもあるので、見落とさないようにッ!
- おばやし
- そんなドでかボイスで言わなくてもわきまえてますよ! 地声がデカいミツルさんこそ無駄口叩かず、静かに歩きましょうねッ!
- ミツル
- 駅からおよそ30分で本格的な登山道に入ります(ヒソヒソ)。ほら、正面を見てください。囲炉裏でおでんが楽しめる『滝の茶屋』、週末に週替りの店主が自慢の料理でもてなす『大谷茶屋』など、魅惑的な茶屋が軒を連ねています。一杯やっていきたいところですが、ここからが本当のスタートですよ。
- おばやし
- (もう茶屋の話はエエって…)って、滝の横から続く道がエグい急登!どっこいしょと。あ〜、正月にお餅を食べ過ぎてちょっと重くなった体にはキツイ!
- ミツル
- 「お餅の食べ過ぎ注意!」という、かつて子ども同士の年賀状の定番フレーズを地で行く愚か者がここにいた! この先はロックガーデンと呼ばれ、日本で初めてロッククライミングが行われた場所でもあります。ほら重い体に鞭打って!
- おばやし
- お雑煮って本当においしいですよね…。しっかし、どこまでも続く岩場! 辛いけどなんとか登りきりました。ん、「風吹岩」? まぁなんて素敵な眺望!ここは休憩スポットに最適。おやつでも食べよーっと。
六甲山の懐の深さを思い知らされ最高峰へ
- ミツル
- 餅の食べ過ぎで太ったんちゃうんか!これから先も長いので、思う存分カロリーを消費してもらいますよ。
- おばやし
-
山中での行動食の摂取は大切なんですよッ!
やっと平坦になったと思ったら、何やらゲートが。え?ここゴルフ場?登山道がゴルフ場を横切っているのですね。
- ミツル
-
六甲山地は東へ行くほどに、山が深くなります。その山を切り開いてゴルフ場を作るのも、致し方ないことかもしれませんね。
さて、この先から再び登りになりますが、ピークの雨ヶ峠でちょっと早いですがランチにしましょう!
- おばやし
- ヤター! 雨ヶ峠はベンチや東屋もあってランチスポットにはちょうどいいですね。……おにぎり、ウッマ。 ワタシ決めました、今年の目標は3キロ痩せます!
- ミツル
- そのおにぎり置いてから言いなさい。雨ヶ峠は登りの中間地点。この先に難所「七曲り」が待ち受けています。体が重たくならないよう行動食はほどほどに!
- ミツル
- この先は岩場あり、眺望あり、川ありとコースが長いぶん、変化に富んだ風景が展開します。六甲山の真骨頂を味わえるのがこのコースの魅力ですな。七曲りさえ乗り越えれば、あとは最高峰です!
- おばやし
- よっと、一曲がり目を通過!はぁはぁ……つづら折りツラァ。で、たぶん次が「七」曲り目!ってまだ登りやん。七曲りの「七」って一体何なのさ!
- ミツル
-
まあそう怒んなさんな。ほら、もう山頂付近の山並みが見えてきましたよ。斜面には先日降った雪も残っています。
登りきれば茶屋やトイレのある広場に出ます。そこから15分程度で最高峰ですから!
- おばやし
- うわ!山頂手前はすっかり雪景色。滑らないように六甲山……六甲山最高峰、登頂成功!少し霞んでいるけど、南は瀬戸内海と神戸や大阪の街並み、北はどこまでも続く山々。これまで頑張った甲斐がありました!
――なんだかんだと言いながらも、見事に六甲山最高峰へと辿り着いた二人。しかし、真の目的が酒場である酒飲みハイカーにとって、本当に大変なのはこれからであった。後編へ続く。
profile

藤川 満
神戸在住のフリーライター。全国各地の低山と酒場をフィールドに飛び回る。日本酒をこよなく愛し「日本酒では全く酔わない」が口癖。

おばやし零余子
兵庫県宝塚市在住の独身アラフォー編集者。酒と酒場好きで、年々大きくなる身体に危機感を覚え山登りに目覚めるが、一向に痩せる気配なし。最後の晩餐は雑煮。

recommend