
NAOTOさん【後編】スープカレーの伝道師、大阪とスープカレーを語る
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実はスープカレー協会の広報担当
――バイオリニストであると同時にスープカレー愛好家としても知られ、2023年には集大成ともいえる「スープカレー本」(昭文社)を上梓されています。
- NAOTOさん(以下、NAOTO):
- 北海道の稚内から福岡まで、実際に食べておいしかった店だけ掲載しています。僕は日本スープカレー協会の広報宣伝担当理事を務めているので、この本では協会の基準に則っていない、単なるスープ状のカレーは載せてないんですよ。鶏ガラや魚介、野菜でとっただしのスープを使うなど、札幌の作り方を踏襲してない限り、例えおいしくても一冊目には絶対載せないと決めていました。
――まさに厳選のラインナップなんですね。スープカレーにハマったきっかけは何ですか?
- NAOTO:
-
もともと日本の固形ルウのカレーも好きだったんですけど、あれはスパイスがうまく一つにまとまっているものですよね。それが正しいものだと思っていた。ところが、札幌の『MAGIC SPICE』で初めてスープカレーを食べたとき、口の中で一つひとつのスパイスがわけの分からないところで反応して。分からないことを分かりたくなったんです。
しかも、店ごとにスープのベースがインドネシアやスリランカ、南インドと全然違うんです。博多のとんこつラーメンだったら、こんなに店によって違うことはないのに。これは、知らないと好きって言えないなと…そこから沼に(笑)。
大阪でスープカレーが流行るには
――大阪は、スープカレーに馴染みが少ない気がします。
- NAOTO:
-
大阪って、スープカレーを食べなくても他にめっちゃおいしいものがあるから、大阪の人に合ったスープカレーを出さない限り流行らないんですよ。そこを“うまくやる”か、草分け的な札幌の『MAGIC SPICE』のように“そのテーマパークに行かないとそのキャラに会えない“みたいな売り方か、に二極化する。現在、大阪で札幌のやり方を踏襲しているのは難波『MAGIC SPICE なにわ店』か、あびこ『アジアンバー ラマイ 大阪あびこ店』ぐらいですね。
大阪ではまだスープカレーを食べたことない人って山ほどいるんですよ。「カレーをのばしたやつでしょ」「カレーってドロッとしててナンボや」みたいな。千鳥さんがネタにしていたけど、「友達が遊びに来たら、お母さんがカレーを水でかさ増ししてスープカレーにした」みたいな(笑)、あのイメージの人って絶対いるから、お店にもちゃんとしていただきたい。
――厳しくも愛あるコメントです。スープカレーはどれぐらいの頻度で食べてますか?
- NAOTO:
- カレー全般で言えば、一番多い時で年300食ぐらい。業界的には全然多くないですよ、カレー評論を生業にしてる方だと年650食から800食ぐらいは食べてらっしゃいます。
――スープカレーに限らず、カレー全般がお好きなんですね。
おすすめのカレー屋リスト
- NAOTO:
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協会の役職が付いたりでたまたまスープカレーの人みたいになってますけど、それ以外のカレーもよく食べます。今日のお昼も西中島南方の『旬香唐』(※2024年12月末に閉店予定)でスパイスカレーを食べてきました。好きな店は他にもたくさんありますよ。心斎橋の『デッカオ』も本当においしいし、谷四の『バビルの塔』や『curry bar nidomi』、スリランカカレーだと九条の『ロッダグループ』…。『インデアンカレー』もめっちゃ好きですよ。僕の地元の高槻では『トライバルカリー』がおすすめです。
好きなカレーのタイプは南インド、スリランカ、スープカレーの3つですね。共通点としては、ちゃんと旨みがあって、小麦粉を使わない、カロリーが低い、そしてコメに合う。
僕、コメが大好きなので。ええ、寿司や鰻も大好物です!
profile

ヴァイオリニスト
NAOTO
大阪府高槻市出身。2005年にメジャーデビュー。クラシックからポップスまで、ジャンルにとらわれない音楽センスを発揮したアクロバティックで華麗なパフォーマンスが人気。2022年に10枚目のCD「Get over it」を発表。「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズ劇中音楽のヴァイオリン、ポルノグラフィティのバンドマスター、TEAM NACSの音楽監修など幅広く活躍している。また、日本スープカレー協会広報宣伝担当理事を務め、カレーマイスターの資格を有するなど、カレーにも造詣が深い。12月25日(水)、神戸『クラブ月世界』にて「ワコーレ和田興産Presents NAOTO×鳥山雄司 live authentic vol.2」開催。
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