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子どもとごはんvol.10:子どもに合わせた即興キッズメニュー!神戸・北野『軽食スカーレット』

子連れでの食事は、行き先を選ぶものですよね。連載「子どもとランチ、ときどきディナー」では、お子さまウェルカムなお店を紹介します。
今回訪れたのはアットホームな空気感にファンが多い、神戸・北野のダイニング『軽食スカーレット』。実はお子様専用メニューは“無い”けれど、訪れた子ども自身が希望する料理をゼロベースから作ってくれる(!)という、この連載初のパターン。そんなオーダーメイドな即席キッズメニューとはいかに?

“軽食”とは気軽さと軽妙なメニュー

北野のパールストリート沿いから、地下に降りた秘密基地のような場所にある『軽食スカーレット』は消防士を経て神戸の人気酒場『豆皿小皿』の3代目シェフとして腕を振るった石川葵さんによるダイニング。
「一人でも、お子さま連れでも、お酒だけでも、デザートだけでもいい。気軽に来て、軽やかに食べてほしい」と、店名に“軽食”を冠したアットホームな雰囲気が魅力です。

料理はウンドゥイヤ(辛いサラミ)とリンゴを合わせたフレンチ風の1品からナシゴレン風のご飯もの、ハムカツといった洋食まで。訪れるたびに違う料理があり、ワインに合うスパイスやハーブを駆使した無国籍&多国籍なメニューは、ジャンルという枠をひょいと飛び越える軽妙さが、まさに“軽食”。その幅広さとゆるさがステキです。

子どもの希望により沿い、特別な体験を

一見するとメニュー表には「お子様用メニュー」といった文字は見当たりません。
「お子様には、いつも本人やママさんに、何が好き? 何が食べたい? どれくらい食べられる?と聞いてから作っているんです」と石川さん。

そのココロは?
「もともとメニューにない料理を頼まれることが多くて、型にハマらないレストランがやりたくて今があります。
それに、“子どもってコレ好きやろ”というに出されたメニューが、僕自身、小さい頃嫌だったんですよね(笑)。
だから何が好き? 何が食べたい? と訊かれて作ってもらった体験って、特別感があるのではないかな、と思って今のスタイルになりました」
例えば卵が大好きな子どもの場合は「具材いっぱいのオムライス」やエビ好きの子には「ドーナツ生地のエビフライ」など、オリジナルの創作を加えた料理が登場。
さらにカレー好きならば「ソースをカレーにしようか?」などといった提案もあるそう。「自分の希望による、自分のための料理」というサービスが子どもにとって忘れられない体験になりそうです。

オムライス
ピーマンやナス、ボロニアソーセージなど具沢山のライスに、生クリームや塩を使わずバターだけで仕上げる卵3個分のオムレツを乗せて。ケチャップやハチミツ、生クリームを合わせたまろやかなソースをたっぷりと。写真は小学生低学年を想定した量。具沢山オムライス600円。
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エビフライ
アメリカンドッグの生地とエビという、子供が好きなものを融合。小麦粉や砂糖、ベーキングパウダーを炭酸水でのばしたふんわり生地に包まれた甘塩っぱさが美味。レモン果汁とマヨネーズを合わせたソースで。ドーナツ生地のエビフライ600円。
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料理人として原点に返る貴重な時間

「お子さんに料理を作る時って、苦手な食材はないかな、心の底からおいしい思いをさせてあげたいな、と思うことが多くて。料理人として、料理を他人に向けて作りたいと思った原点に戻れる特別な時間です」
そのため、ゼロベースから希望を聞いて作るというオペレーションが大変な即興スタイルでも「定期的に、お子さん連れのお客様が来てくれると嬉しいですね」と大きく笑う石川さん。
こうした思いを持つ料理人が、店があることを知るだけでも、パパやママにとっては「子連れ外食」のプレッシャーがぐっと軽くなる、感激するほどのありがたい存在です。

石川さん
「お子様のために作る料理はどんな料理も600円までと決めています。食事や会話を大切にしたくて」と誰でも手の届く価格に設定したそう。
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子連れに嬉しいポイントまとめ

・子どもそれぞれに合わせた即興メニュー
・子ども用カトラリーやお皿、コップあり
・ベンチシートあり

ベンチシート
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店名の「スカーレット」は石川さんの大好きなお酒から。神奈川県「伊勢谷酒造」の国産アマーロ「スカーレット」より。
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子どもとランチ、ときどきディナー

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writer

佐藤 良子

satoryoko

料理取材に徹して20年の食ライター。歴史が好きなため、料理史の観点から見るレストラン取材がライフワーク。日々賑やかな小学生2児の母。
instagram@ryocosugar