お酢ドリンク「saku」木桶文化を繋ぐ奈良の老舗からノンアル新提案

奈良で明治27年よりお酢の製造を行っている老舗醸造所『ミヅホ株式会社』が新ブランド「saku」を立ち上げた。お酢をおいしく手軽に取り入れることができる、新しいノンアルの形を提案する。
木桶を使った伝統的な製法で作られた酢をベースに、フルーティーな「saku Komezu Fruity」と、スパイシーな「saku Kurozu Spicy」の2種のお酢ドリンクをリリース。

おいしいから続けられる発酵ドリンク「saku」

「saku Kurozu Spicy」は、芳醇な甘さがありつつ、スパイシーな香り、それでいてキリリとした黒酢由来の酸が鮮やか。 一方の「saku Komezu Fruity」は、ドライフルーツの甘く華やかな香りと米酢由来の酸味が、すっと舌に馴染む。ちょっと果実酒っぽくもあり、親しみやすさが感じれる。
奈良の老舗醸造所から個性の際立つ2種のお酢ドリンクが誕生した。

禁酒法時代には、アルコールの代替品として飲まれていたお酢ベースのドリンク「シュラブ」から着想を経て生まれた「saku」。『ミヅホ株式会社』のお酢に、スパイスやハーブを漬け込み、煮出して香りや味を付ける。左がドライフルーツやディルなどを使った米酢ベースの「saku Komezu Fruity」、右がカルダモンやジュニパーベリー、バニラビーンズなどのスパイスを使った黒酢ベースの「saku Kurozu Spicy」。各300ml/2970円。
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大西佑亮さんが、若き17代目として家業を継ぎ、2024年に満を持して立ち上げた新ブランド「saku」。
「すこやかに、心地酔い」をテーマにソムリエとともに新しいノンアルコールドリンクを作り上げた。

「お酢により体がポカポカとしてアルコールを飲んだときに似た体感が得られます。食事とも相性がいいので、食中酒的な楽しみ方もできますよ。アルコールの飲めない方、妊娠中の方にも親しんでもらえたら」と大西さん。

商品1に対して、炭酸水を5~10加えて割るのが基本の飲み方。ちょっとお疲れのときには濃いめ、ゴクゴクのみたいときは炭酸多めに。爽やかな炭酸割は食欲減退しがちなこれからの季節にも飲みやすい。ちなみにロックや水割りでもおいしくいただける。
公式オンラインショップや、全国の『中川政七商店』で販売されている。

ノンアル人気や、健康を意識する人も増えている昨今、「おいしくて身体にも優しいドリンク」というのは、とても今っぽく、おしゃれなパッケージはプレゼンにも喜ばれそうだ。

木桶文化を100年後も

スタイリッシュな商品でありながら、伝統的な木桶の製法で作られたお酢がベースであることも、 この商品の重要な魅力だ。

そもそもお酢は、日本酒を発酵、熟成させることでできる調味料。
『ミヅホ株式会社』では、酒造りから自社で行われている。 明治時代に建てられたという蔵は重厚感があり、昔ながらの設備が現役で働いている。

酒槽
現役の立派な酒槽(日本酒の原料となる液体「醪」を搾るために使う道具)。
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酒ができたら、木桶へと移して3か月ほど酢酸発酵させるとお酢になる。

昭和40年代に建てられたという“新蔵”には、見上げれば高さ2mはあるであろう巨大な木桶たちがずらりと並んでいた。ここにある木桶は、50年ほど使われているものらしい。 どっしりとおおらかで、圧倒的な存在感。そこに在るだけで時代を語るには十分な説得力がある。

木桶は、コストや管理などの面で維持が難しい。そんな木桶文化を未来へと繋げるため、驚くことに『ミヅホ株式会社』は東吉野村に山を保有し、原料となる木桶用の吉野杉を育てている。

「“蔵の香りが酢の味に繋がる”ってよくいうんですが、木桶で作られる酢は、その土地、その蔵ならではの味です。100年木桶を使い、100年杉を育てる。循環させることで、100年後も木桶で仕込む酢を続けていきたいですね」と、未来を見据える17代目。

「saku」は、木桶文化を世界へと発信する手段でもあるのだ。
300ml、片手で持てる瓶のなかには、大きな日本の文化が詰まっていた。

大西佑亮さん
プレス向けの説明会で商品について話す大西さん。『中川政七商店』が開催する「経営とブランディング講座」を受け、構想をブラッシュアップし商品化。講座のビジネスピッチでは最優秀賞を受賞した。
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amakara.jp編集部

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関西の食雑誌「あまから手帖」(1984年創刊)から生まれたwebメディア「amakara.jp」を運営。カジュアル系からハレの日仕様まで、素敵なお店ならジャンルを問わず。お腹がすくエンタメも大好物。次の食事が楽しみになるようなワクワクするネタを日々発信中。