神戸・北野『リストランテ ハナタニ』前の自販機に、 神戸の“いい店”揃ってマス

神戸は元気がない? そんなことはありません。7月号「あまから手帖」で、『コム・シノワ』の荘司 索シェフが語っていたように、ごちゃごちゃしていなくて落ち着いて街歩きや食事ができる街が神戸なのです。神戸でもっと食事を楽しんでほしいと、実力店のシェフたちが、自販機でちょっと面白いことを始めました。

神戸の食シーンを少しでも盛り上げたい

「でも、やっぱり大阪・京都に比べたら神戸は元気ないですよね。インバウンドもほとんどいないですし…。特に夜、街を歩いている人は少ないです」と話す、ハンター坂にあるイタリア料理店『リストランテ ハナタニ』の花谷和宏さん。
嘆いてばかりいても動かなければ変わらない。「神戸の飲食店のおいしさを少しでも知ってもらうきかっけになれば」と、料理人仲間に声をかけ、この5月から神戸のレストランが手作りする冷凍レトルト商品を自店前の自動販売機販売することにしました。

『リストランテハナタニ』の花谷シェフ
24時間販売でき、誰でも気軽に買えると、コロナ禍に一気に増えた飲食店の自動販売機。花谷さんもコロナ禍の営業自粛を余儀なくされた時に設置し、ゴルゴンゾーラチーズケーキやラーメンなどを細々と販売し、好評を得ていました。
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自販機オリジナルメニューで付加価値を

参加店は、クラシックでも軽やかなイタリア料理に定評がある『VICOLO』、炭火で焼き上げる豪快なビステッカが自慢の『TAVERNA MANO』、素材を生かした優しい味わいの中国料理『うえばやし』に、シンプルで上質な料理で知られる『リストランテ ハナタニ』を含めて4店舗(2025年6月現在)。
販売するアイテムは220gのレトルト冷凍パックで、カレーやソース、煮込みハンバーグなど、湯煎で温めるだけなどワンアクションで食べられるもの。自販機といっても、そこはレストランクオリティーが揃います。

例えば、『VICOLO』の路地裏カレーは、牛スジとココナッツミルクをベースにした、あっさりとした味わいでスルリと食べられる軽やかさが特徴。『TAVERNA MANO』のカレーは牛肉に豚肉、クミン、オレガノ、フェンネルに隠し味にチョコレートが入った複雑味がウリ。『うえばやし』は、山椒が利いていてご飯にも合うパスタソース。『リストランテ ハナタニ』は店で出る牛の端肉やフォン・ド・ヴォーで作る正統派欧風カレーや、エビの殻でだしをとった風味豊かなエビだしのカレーなどが並びます。

『リストランテハナタニ』の訳ありカレー
『ハナタニ』の訳ありカレー1個220g1000円。ステーキにできない牛の端肉、スジ肉のだしで作ったリッチなカレー。10分強湯煎で温めてご飯にかけるだけ。レストランで使わない端肉や、魚介の骨やガラなどを使って、オリジナルメニューを考案しています。
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『リストランテハナタニ』の訳ありカレー
衛生的な厨房機器が揃う『リストランテ ハナタニ』で各店の商品を、真空パックで急速冷凍し、販売へ。手作りのため数量限定。売り切れ御免ですが、随時商品は補充されます。
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「儲けは度外視、お店の宣伝を兼ねていますから。どれもお店では味わえないメニューで、自販機だけのために作っています」と、花谷さんは胸を張ります。

今後は品数も、参加店も増えていく予定。味本位の方へのお土産や、夜食用にといつでも利用できるのは有難いですね。
「神戸」を愛するシェフたちの心意気。気に入ったら、ぜひ実際にお店に足を運んで、食事やシェフとの会話も楽しみながら、神戸で特別な時間を過ごしたいものです。

自販機ハナタニ
緑に包まれた店前にある自販機。現金のほか、各QRコード決済可能。持ち帰り用の紙袋も備え付けてあります。
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amakara.jp編集部

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関西の食雑誌「あまから手帖」(1984年創刊)から生まれたwebメディア「amakara.jp」を運営。カジュアル系からハレの日仕様まで、素敵なお店ならジャンルを問わず。お腹がすくエンタメも大好物。次の食事が楽しみになるようなワクワクするネタを日々発信中。