食のために食を断つ。そうだ、京都へ断食に行こう。~前編~

湿気のせいか暑さのせいか?カラダも頭も重い。いや、日ごろの暴飲暴食のせいだ。
そうだ、断食行こう。最近ではファスティングとも呼ばれる断食は人生2回目。
近場で探す…と、京丹波町にある断食宿泊施設『すずなり京都』にたどり着く。3泊4日の断食旅、どんな結果が待っている?

慌ただしい日々から断食突入

痩せたい、カラダもココロも軽くなりたい、とにかくゆっくりしたい…断食の目的は人それぞれだが、今回はそのすべて。

断食とは、文字通り「食を断つ」こと。
本格的にデトックスするには一定期間「食べない」期間を設けるだけではダメで、断食前後の準備食・回復食が大切。ということで、3日前から身体に負担をかけない野菜中心の食事を心掛けていた。
心も平安を保つべく穏やかに過ごして…というわけにもいかないのが世の常。

当日は、どうしても片付けておきたい仕事にまみれ、予定時刻を大幅に過ぎて出発。頭から煙を出したまま着替え一式を車に投げ込み、高速をぶっ飛ばして京丹波へ。京都縦貫道を爆走し、山が迫ってきた時はたと気づいた。

「は、今から現場じゃなくて、断食や!落ち着け私」。

30分遅刻して(どうもすみません)滑り込んだ玄関先で、2匹の柴犬に狂ったように吠えられる。

「おいお前、全然断食モード入ってへんやんけ」「ちゃんと準備してきたんか?断食やる気あんのんか?」「てか、のっけから遅刻してくんな!」と(たぶん)言っている。おっしゃる通りでございます。 「ただの人見知りなんです〜」と主のミナミさんが迎えてくれたが、番犬としてはかなり優秀。

すずなり京都
山に囲まれた京丹波町にある『すずなり京都』は、古民家を改装して作られた女性専用の宿泊施設。2014年からこの地で営業し、畑セラピーなどもやっている。不定愁訴に悩まされた経験をもとに、ケアを学んだミナミさんが2匹の愛犬と迎えてくれる。
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戦う相手は空腹か、自分自身か?

畳敷きのリビングに、土間やたたきもいい感じの古民家。2つある個室のうち「かりん」に案内される。照明を落とした小さな和室で、まずは断食をするにあたっての心構えを説かれるのかと思いきや、簡単な説明を終えるとミナミさんはあっさり出ていった。

急に部屋に一人、ぽつんと取り残される。

卓上の保冷ポットに用意された酵素ジュースでも飲もう。これが3日間の主食である。

うま。なにこれ、うま。柚子の風味で苦みも甘みもあってめちゃくちゃうまい。水で4~5倍に薄めて飲むスタイルでゴクゴクいける。いや落ち着け、これチューハイの素やない。
ついでにパンフレットにあったあまりにおいしそうな回復食を最終日の朝に所望した。回復食という名のニンジンをぶら下げ、それまでこの酵素ドリンクを命綱に耐えるのだ。

2年前、心身ともにストレスでパンパンになったカラダを抱え、伊豆まで1週間の断食旅行に出た。断食するのは丸3日で、残りは大根煮やお粥などカロリー控えめの胃腸に優しい「回復食」をいただいた。結果、マイナス4kg。ホテルライクな個室でのんびり、温泉もあって、同志も20人ぐらいいた。身も心も軽くなった経験を思い出して、再びトライすることにした。

今回は近場で、貸切の古民家で挑戦する。マッサージの時間まで室内をぐるっとひとまわり。畳が気持ちいい広いリビングにはハーブティやコーヒーも販売されているしなんとも実家的。緊張感よりも落ち着きがある。

鳥のさえずりと木々のざわめき、ときどき二匹の鳴き声がするだけの静寂。まずは、この静かな環境に慣れる。頭もカラダも空っぽにする旅なのだ。
空腹をどう耐えるか…そんなことばかり考えていてはいけない。

個室
リラックスできるよう照明をおさえた個室にはテレビも会話もない。「たったひとり」になる環境が整っている。
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酵素ジュース
酵素ジュースは、野菜や果物などを数種混ぜて発酵させた「植物性発酵ドリンク」。血糖値を安定させる意味もあり、柑橘ジュースのような味わいで美味しい。「液体だけで数日過ごすことで、カラダが体内の毒素を分解する方向にエネルギーを使い始めるんです」とミナミさん。
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極上のマッサージで「ゆるむ」初日

そうこうしているうちに、お待ちかねのマッサージの時間。ここから本格的にリラックスモードに入る。

紙ショーツ一枚で裸になり、チベットマッサージを受ける(マッサージの詳細はホームページを)。
目をタオルで覆われて暗闇になることしばし、「二人っきり」になった心地になる。ミナミさんと、ではなく「自分と」だ。

カタいですねぇとか、凝ってますねぇとか、ミナミさんは無駄なことを喋らない。
それがいい。痛いと気持ちいいのちょうど間のピンポイントを押さえてくるまさにゴッドハンド。ボディセラピストで心理セラピストの彼女にドンペリ下ろしたい気分や~と、書こうかななどと考えていたが、間も無く意識が飛んだ(ライター失格)。

150分みっちり揉みしだかれた後、不思議な感覚でふらふらと家族風呂へ。上がって鏡を見ると、目がデカい(当社比1.6倍)。

「腹が・・・・・減った」。
ゴローさん、早々のご登場である。
酵素ドリンクに救われているものの、腹は鳴り続ける。背中とお腹がくっつくどころか、もう一緒になってんちゃうかと思うほど。
そんなこんなで初日終了。体重は前日比マイナス1kg。不要な水分が抜けたらしい。

体重以外の変化は、BGMがブラックピンクから手嶌葵になったこと。
後編へつづく。

マッサージプラン
机には、3泊4日のマッサージプラン。これ以外に予定はない。
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マッサージ室
小ぢんまりとしたマッサージ室はシンプルだが心地のよい空間。マッサージ中、腹に温石を置かれてカラダが温まると、ぐうぐうと腹が鳴る。マッサージが付いていないシンプルな断食プランもあるが、絶対にマッサージ付きをおすすめする。
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柴犬
おばあちゃん犬のフクさんとサチさんが断食中の話し相手。二匹それぞれに性格があるものの、慣れれば人懐っこい癒し系。
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食のために食を断つ。そうだ、京都へ断食に行こう。~後編~

京丹波町にある断食宿泊施設『すずなり京都』にて、3泊4日の断食体験記。

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