食のために食を断つ。そうだ、京都へ断食に行こう。~後編~

京丹波の断食宿泊施設『すずなり京都』で3泊4日の断食旅。前編ではうま過ぎる酵素ドリンクを飲みつつ、極楽のようなマッサージを堪能。お腹が空いて、ツライツライ断食かと思いきや…の後編。

カラダの声を聞く2日目

2日目の朝。太陽の光とともにスッキリ起きられるかと思いきや、ぐっすり寝れたとは言い難い。というかほとんど眠れなかった。
何も食べていないのに胃がムカムカするし、カラダが重い。頭も痛いしとにかくダルい。まさに絶不調。カラダに悪いものどころか、昨日から何も口にしていないのに、一体なぜ?。

断食中は「オートファジー」というものが働いているらしい。「16時間断食」とかのアレか。ミナミさんによると、細胞の新陳代謝を促すものらしく、飢餓状態になるとそれが一気に促進されるとのこと。
三大栄養素(炭水化物・脂質・タンパク質)を断たれたカラダは、筋肉と体脂肪をエネルギーに変換する。ミナミさん曰く、その過程で人によって様々な反応が起きるという仕組みらしい。

酵素ジュースや水をしっかり飲んで、リビングに置いてあるペパーミントとラベンダーのアロマをお腹やこめかみに数滴垂らして寝そべっていたら、気持ち楽になってきた。

パソコンで時々この記事のメモを書いているけど、すぐ疲れて布団でゴロゴロしている。脳は考えようとしないし、カラダは動こうとしない。双方お休みモードに入ったみたいだ。しかし腹は動く。初日と同じく、ぐうぐぐう鳴る腹をさすりながら気が付く。

「腹が・・・減らない」。なぜか、減らない。
酵素ジュースで水分と糖分を摂っているせいか? 強い意志のせいか?? ゴローさん登場せず。

本日のマッサージを受け、二の腕の裏を触ると、心なしかしっとりしてる気がする。おいしいものを食べると手の甲がすべすべになり、その逆だとザラザラになるという特異な肌を持つ先輩がいたが、あれはこういうことだったのか?人のカラダは食べたものでできているとすれば…普段の手癖の悪さ(食の、です)に思い当たる節が多々。もしやこれ、デトックスというやつ?

風呂に入ってパックをしていると、いつもは気にならない香りが鼻につく。嗅覚まで鋭敏になっている?
部屋に戻り、日暮れを眺めて今日も一日が、終わっていく。

BGMは手嶌葵がシューベルトになった2日目。体重は初日夜から変化なし。

庭の緑
敷きっぱなしの布団から庭の緑を眺めて過ごす一日は長いようで短い。
10
柴犬
時折二匹が庭を横切り、例のごとく宅配業者にギャン鳴きしていた。かわいい。
10

恐怖の「なにもしない」3日目

やっぱり熟睡できなかった3日目の朝。

今日も何もしない。とにかく何もしない。玄関で二匹と戯れ、ゴロゴロ、うたた寝、ゴロゴロ、うたた寝の繰り返し。

こんなんでいいのか? 散歩にでも行くか?
とにかく「予定がない」ことにそわそわ落ち着かない。断食よりも、これが結構ツライ。
意味もなくスケジュール帳を開いてみたりする。
「もしかして私…必要とされてないんじゃ?」いやいや、無理くり予定空けたんやん。などと、自分との会話も支離滅裂気味。

「考えない」ことって、とても難しい。

時間ができたら読もうと思っていた鈍器本を片手にリビングをウロウロしていると、ミナミさん。 ワタシのモヤモヤした気持ちを見透かすようにひと言。

「あんまり“行動”せず、とにかくゆっくり休んでくださいね~」。

そうだ、休みに来たんだった。本を置き、再びのゴロゴロ。
唯一の予定であるマッサージ後、風呂に浸かっていると、窓の外にへばりついたヤモリが、蛾を捕食している。人間、食べないと生きていけない。だが食べ過ぎて、カラダが苦しいのはどうなんだ?と、湯船で考えたり考えなかったりする。もう思考もままならない。

明日は最終日。念願の回復食。祝いだ祝い!早く寝よう。ずっと寝てるけど。

体重は初日比マイナス2kg。そろそろ脂肪が落ちてくるタイミングらしいので明日以降が楽しみ。

蚊取り線香
冷房はあるが、6月中旬でも使うことはなかった。蚊取り線香を焚いて、ザ・ニッポンの風景でゴロゴロする。
10
ゴロゴロする柴犬
「もっと力抜いて、わたしらみたいにゆっくりしたらええねんで~」と(たぶん)お手本を見せてくれている二匹はもはや「ゆるみ」の師匠。
10

最終日のご褒美!回復食

最終日の朝。遠足前の子どもよろしく、回復食が楽しみ過ぎてよく眠れなかった。ただ、日がな一日うたた寝をしているせいか、眠気はない。

早朝少しだけ小川沿いに歩いて、さて念願の回復食!
ミナミさんがお盆にのせて持ってきてくれたのは、しめじと玉ネギのポタージュスープとリンゴ。

回復食
回復食はオプションで1食500円。ゴボウや菊芋など、季節の野菜で作られる。汚い話で恐縮だが、ご褒美ポタージュは帰路早々の道の駅で、水となって“出た”。胃腸がびっくりしたのだろう。
10

たまらずひと口。

くうぅ~沁みるぅぅぅぅ!うんまぁぁ。

ポタージュなのに、素材そのものを食べている感覚。

しめじは肉っぽい味もするし、玉ネギの辛みとコクも迫ってくる。なんというか、味の“解像度”が高い。
舌がリセットされたような、味覚センサーが研ぎ澄まされている感じがあるからか、一杯でもボリューミー。身も心もあっという間に満足してしまった。
思わず手を合わせる。食事のありがたみが沁みたからだと思う。

一杯のポタージュに感動。よし、帰ったら自宅で回復食のポタージュを作るぞ(単純)。車で5分の道の駅に寄って、野菜を買って帰ろう。「今やったら万願寺唐辛子とかトマトとか夏野菜が出てるはずですよ~」。

バックミラーに、ミナミさんと二匹が小さくなる。帰りは下道でのんびり帰ろう。


~後日談~
3日間は自宅でこしらえたポタージュ中心の食事。心なしかカラダが軽いぞ!これから徐々に固形物を増やして…と思っていたが、間もなく「食べる」仕事で焼鳥を爆食してしまった。

1週間後、初日比マイナス3kg。
カラダが(少し)軽くなると、カラダを動かしたくなる。肉体が元気になれば、不思議とココロも晴れやかになる。
食べるために食を断つ期間を設ける、これからも続けよう。カラダとココロってつながっているのよね。

して1カ月後の体重は……ミナミさん、またお世話になりますね…。

ポタージュ
帰ってすぐ、道の駅で買い込んだ小松菜と玉ネギ、豆乳をミキサーにかけてポタージュを作った。道中の和食『おやじのめしや』で購入した焼きナスとともに。このあとしばらくはポタージュを中心に過ごしてみた。
10
南さん
大阪でマクロビオティックを学んだ主の南かおるさん。農業部門の拠点『山胤(やまたね)』@kyotanba_yamataneでは、夏場はかき氷、秋以降は大人気の干し芋の販売をしている。
10

食のために食を断つ。そうだ、京都へ断食に行こう。~前編~

京丹波の断食宿泊施設『すずなり京都』で3泊4日体験記。

詳しくはこちら