台湾茶と点心に癒される茶藝館。大阪・池田『時光舎』から彼の地へトリップ

阪急池田駅近くにある、商店街の細い露地。中国・台湾料理や台湾茶をいただける茶藝館『時光舎』がそこに。場所も時間の流れも、本当に日本?と錯覚するような。丁寧に作られた点心や香りの良いお茶と向き合ったとき、身体の力がふっと抜けて、穏やかな気持ちに包まれます。

商店街に、大正風の茶藝館

阪急池田駅前のシンボルともいえる商店街の細い露地へ。切り絵をモチーフにした看板が印象的な古民家が佇んでいます。
そっと引き戸を開けたら、靴を脱いでお邪魔します。日本のような、台湾のような、いや知らない異国かも…時間までゆっくりと流れだしたように感じる、不思議な空間がそこに。

時光舎外観
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時光舎内観
時光舎内観
時光舎内観2階
築100年の風情ある木造町家を探し出し、古本や家具、茶器などを配置。「時光」は日々や時間、「舎」は心身をのびやかにしてとどまるという意味なのだとか。2階では不定期で台湾関連のワークショップなども開催しています。
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ランチはお得な「八宝美人粥」セット

香港や大阪のホテルで腕を振るっていたオーナー・福中宏明さんが、『時光舎』を開いたのは2017年のこと。「台湾の“茶藝館”のように。丁寧に手間をかけた台湾、中国料理やお茶で、ゆったりとした時間を過ごしてもらう店」としてオープンし、その思いは現在へと続いています。

11時からのランチタイムに訪れたら、お手頃なのは「八宝美人粥の膳」、「時光舎のごはん膳」という2種のセット。いずれも主食は、中華圏で定番の八宝粥を福中さんがアレンジした特製中華粥「八宝美人粥」。ハト麦やハスの実、数種の豆などをじっくり煮込んだお粥は、ほんのり塩味に癒される一品です。手の込んだ小菜がたくさん付いてきて、“ちょっとずついろいろ食べられる”のがなんとも嬉しいですよね。

時光舎のごはん膳
時光舎のごはん膳2800円。主菜は3種から選ぶことができ、6種類の小菜がついてくるお膳。この日の主菜はメバルの香り蒸し。小菜は、三度豆とウコンの揚げ物、骨付きスペアリブの煮込み、フルーツトマトの甘酢漬、水ナスと四川山椒の醤油漬、ニンジンの炒め物、台湾茶の煮卵。魚や野菜は季節によって変わります。台湾茶とデザート(仙草ゼリー)も。
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さらに、2日前から2名以上の予約限定で、ランチコースや鴛鴦(おしどり)鍋という薬膳火鍋も食べられます!

ティータイムは選べる点心&甘味と台湾茶のセット

この店の看板ともいえるのが、14時~17時のティータイムに提供される飲茶セット。

蓋碗(一人用の蓋付き湯飲み)でいただく台湾茶と、塩味の点心7種・甘味5種の計12種のなかから、4種をセレクトできるんです。小腹が空いたティータイムに丁度良いボリューム感、「ここはやっぱり塩味、甘味2つずつかな…」と選べる、贅沢なセットです。

飲茶セット
飲茶セット1700円。写真のセレクトは、愛玉子(オーギョーチィ)ゼリー、生湯葉焼売、大根餅、東方美人の茶葉を入れたマーラーカオ(中国風蒸しケーキ)。
飲茶セット
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日曜限定で朝ごはんも

実は毎週日曜日限定で9時~10時半まで、朝ごはんの営業もしています。豆乳スープや八宝美人粥をメインにしたセットがあり、いずれも1100円というお手頃価格。台湾といえば朝ごはんをイメージする人も多いはず。より旅行気分が味わえるかもしれませんね。

台湾茶は15種以上

食べずとも、15種以上の台湾茶を蓋碗でいただくことができます。香りのよい温かなお茶がゆっくりと胃に流れると、日常を忘れてほうっと静かな気持ちに。この1杯のために、この池田駅で降りても後悔はありません。

お茶はすべて、福中さんが現地で吟味して仕入れてきたものばかり。「日本では烏龍茶というとみんなが同じものをイメージするかもしれませんが、台湾には緑茶みたいなものもあれば、紅茶みたいなものも。色は薄いけれど、香りが立っていて、そういうところが魅力ですね。歴史をさかのぼると、実は日本統治下の影響もあったりして…」と、福中さんのお話から、その奥深さに圧倒されます。

時光舎、福中宏明さん
ご店主、福中宏明さん。
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台湾に魅せられたご店主

『時光舎』のオープン前から、コロナ禍を除いて毎年台湾を訪れている福中さん。台中や台南の街や山村を訪ね、原住民や客家(ハッカ。大陸から移住してきた人々)の独特の文化に触れ、そこで出合った料理を自分なりにアレンジし、お店の味へと落とし込んでいます。例えば先ほどの「ごはん膳」のスペアリブに使っていたスパイスは、原住民の馬告(マーガオ)という珍しいものなのだとか。

福中さんは、「行く度に新しい発見があって、行けば行くほど“わからなくなる”」のが、台湾の魅力だと言います。「うちを台湾文化の入口として、もっと知っていただけたら嬉しいですね」。

時光舎の八宝美人粥
時光舎
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amakara.jp編集部

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関西の食雑誌「あまから手帖」(1984年創刊)から生まれたwebメディア「amakara.jp」を運営。カジュアル系からハレの日仕様まで、素敵なお店ならジャンルを問わず。お腹がすくエンタメも大好物。次の食事が楽しみになるようなワクワクするネタを日々発信中。