昼夜で顔を変える、京都・松原京極商店街の『割烹 喜多』
祇園仕込みの割烹スタイル
ご主人の北聡仁(あきひと)さんは、愛媛出身。日本料理人を目指して京都市内の調理師専門学校を卒業した後に、カウンター割烹の名店『ぎおん 阪川』へ。丁寧なもてなしと、旬の素材を生かす術を、10年かけて学びました。
ひとりでも無理なくこなせるサイズ感をと探して見つけたお店は、7席のカウンターのみ。かしこまりすぎない雰囲気が、気さくな商店街に馴染んでいます。
昼の天むすは常時10数種類
昼と夜で料理が異なるのが、『割烹 喜多』一番の特徴。昼は京都市内ではかなり珍しい‟天むす専門店“になっています。
天むすは『ぎおん 阪川』修業時代に芸舞妓さんの差し入れ用に作っていた品をアレンジ。定番の海老や穴子・鮭のほかに、春ならタケノコ、夏なら賀茂茄子やトウモロコシなどの旬菜など常時10種ほど用意しています。
食べやすいようにエビは身を開き、鮭は塩を当ててひと晩寝かすことで旨みを深く。割烹で学んだ仕事をさりげなく生かしているところが素敵です。
夜は季節の一品がスタンバイ
予約時のみ店を開くという夜の品書きは、カジュアルスタイルの昼と打って変わって季節の一品が20種前後。お造りのほか、旬菜のお浸し、旬魚の天ぷらや炭火焼など、少数ながらも前菜から焼物、締めのご飯ものや麺類まで、幅広く揃えられています。
例えば初秋なら、琵琶湖から届く本モロコを目の前で炭焼きに。熱々をジュっと酢醤油ダレに漬けて、焼き浸し風でいただきます。『ぎおん 阪川』 で学んだというイチジクの酒蒸しは、味は濃厚ながら香り爽やかな柚子味噌ダレで。どちらも思わず日本酒が欲しくなる乙な味わいです。
推しは和のビーフシチュー
随所にちょっとした遊びを巧みに交えているところが、北さんの料理の魅力。なかでも徐々にファンを増やしているのが、近江牛のビーフシチューです。
見た目は洋風ながら、口にすれば和の味わい。その秘密は、赤味噌と白味噌を使った味付けと、バター替わりの練りゴマ。コクがありながらもさっぱりとした後味がクセになります。
かき揚げ天丼や天茶のほかに、天むすに使うエビや鯛の頭でだしをとったカレーや、蕎麦だしベースの中華そばなど、締めの一品も気になるラインナップ。「天むすは脇役なので」と、夜はあえて品書きから外していますが、締めとしてなら天むすをリクエストすることも可能です。
また、先述したカレーやビーフシチューは冷凍状態で持ち帰りもOK。特にカレーは1人前800円と手ごろな価格。親しい友人への手土産やホームパーティーの一品などにもおすすめです。
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- 店名
- 割烹 喜多
- 住所
- 京都府京都市下京区松原通西洞院西入ル天神前町340
- 電話番号
- 075-365-3636
- 営業時間
- 10:30~14:00、17:00~22:00(夜は前日までに要予約)
- 定休日
- 月・火曜休
- 交通
- 地下鉄四条駅・阪急烏丸駅から徒歩8分
- 席数
- カウンター7席
- メニュー
- 昼/天むす1個350円、だし巻き1切れ150円、夜/造り1500円~、すっぽん鍋3800円。日本酒半合700円~。
- 外国語メニュー
- あり(天むすのみ。英語)
- https://www.instagram.com/tenmusukita/