気取らない本気の単品が楽しい、京都『日本料理 とくを』

ボリューミーな鱧フライに、炭火で焼いたグジの頭。京都の繁華街・木屋町にある『日本料理 とくを』の真骨頂は、夜の単品にあり!一人でも二人でも、リラックスして楽しめるお店です。

京都・木屋町で20年

阪急京都河原町から南へ歩くこと4分。高瀬川が脇を流れる木屋町通に『日本料理 とくを』が店を構えたのは、2005年です。

店主の徳尾真次さんは、京都生まれ京都育ち。『たん熊北店』や祇園の『いな梅』など、京都の和食の名店で堅実に腕を磨いて独立しました。

開業10年を機に改装したという店内は、優美な透かし彫りを施した戸棚や、丁寧に手入れされた庖丁が並ぶ飾り棚が印象的。独特の感性が滲む設えに、料理への期待が高まります。

京都『とくを』外観
看板が小さくて見逃しやすいので、お気を付け下さい。
京都『とくを』カウンター
「創業20年目を迎えたので、そろそろ透かし彫りの意匠を新しくしようかと考えている最中です」と徳尾さん。
10

夜は単品とコースの2本立て

徳尾さんの料理は、選び抜いた食材の持ち味を真っ直ぐ生かした、折り目正しい正統派。昼はコースのみ、夜は内容おまかせのコースと単品の2本立てというスタイルを、開業以来貫いています。

筆書きされた品書きを見れば、造りや焼物からご飯物までズラリ70品以上。欲望の赴くままに単品を注文するのが、ここでは断然楽しいです。

京都『とくを』の造り盛合せ
この日の造り盛合せは、淡路の鯛、姫路の鱧、シマアジなど5種で2750円。「身がふんわりとして、甘みも感じやすいんですよ」と、鱧は氷水には落とさずに、ほんのり温かい状態で。定石にとらわれすぎない柔軟さも『とくを』の魅力です。
京都『とくを』のうざく
密かなファンが多いうざくは2200円。焼き立ての鰻の蒲焼きで作るのが〝とくを流″。パリッと焼けた皮目の芳ばしさと土佐酢のさっぱり感が絶妙です。
京都『とくを』のグジの炭火焼き
ひと塩して2日寝かせ、旨みをグッと増したグジの頭の炭火焼き。頭は2750円、身は2200円。
10

必食は鱧フライとすっぽん鍋

名作揃いの中、安定した人気を誇るのは鱧フライとすっぽん鍋。どちらも開業時から変わらぬスペシャリテとして知られています。

冬に限らず年中供するすっぽん鍋は、修業先の『たん熊北店』仕込みの品。酒と昆布でじっくり炊いたすっぽんスープをベースに、具材は豆腐と焼いたネギと餅だけ。澄んだ旨みに、溜息が漏れます。

「天ぷらと寿司は、専門の職人さんの領域というのが、僕の主義。ですから当店の揚げ物はフライが基本です」と徳尾さん。素材の味を邪魔しないよう、パン粉は細挽きをさらに手で揉んで超細挽きに。付け塩も同じ理由で40分摺(す)ってサラサラに。細部までこだわった品のあるフライは、ここならではの気合いに満ちたおいしさです。

京都『とくを』のすっぽん鍋
すっぽん鍋は写真の小で2200円。3名ほどで取り分けるなら、大3300円がおすすめです。
京都『とくを』の鱧フライ
鱧フライ2750円は2~3種の旬菜を添えるのがスタンダード。この日は北海道産の極太アスパラ、原木椎茸、ズッキーニと共に。地ソースのツバメソースか塩で。
10

6名まで入れる個室も完備

こじんまりした店構えですが、実は奥に個室も備えています。どことなく隠れ家的な雰囲気が漂う空間は、より親密でプライベートな時間を過ごすのにうってつけです。

駅から近くて、アクセス良好。趣がありながらも気取りすぎない程よい空気感ともてなし。「日常から少しだけ背伸びすれば来られる店でありたい」と徳尾さんが目指す、その言葉通りのお店です。

京都『とくを』の個室
10